【読書メモ1】プロジェクトマネジメントの基本が面白いほど身につく本
「プロジェクトマネジメントの基本が面白いほど身につく本」を読んだのでメモしておく。
第1章 プロジェクトの基本をおさえよう
01.プロジェクトとは「独自の目標」と「期限」を含む「活動」
プロジェクトには必ず「始まり」と「終わり」がある
独自の目標 + 期限 = プロジェクト
02.プロジェクトには「制約」が付き物
制約:コスト、スケジュール、品質、納期、人材要件、仕様
不確実性(リスク):事件- 事故、市場の変化、経営状態の悪化
プロジェクトごとにメンバーが変わる
上記3つのような特徴に対し、決められたマニュアルがない中、活動を「やりくり」して目標達成を目指す
03.プロジェクトとルーティンワーク
プロジェクト:新しいモノやコトを生み出す(製品、サービス開発、新規事業開発など)
ルーティンワーク:生み出されたモノやコトを安定的に運用する
「プロジェクト」で生み出したものを「ルーティンワーク」につなぐ
04.プロジェクトマネジメントとは「やりくり」
独自の目標と期限という2つの要素を含んだ活動 = プロジェクトを「やりくり」することです
上記を「プロジェクトマネジメント」という。
05.プロジェクトマネジメントの有名な2つの手法
【ウォーターフォール型】
プロセスやタスクを順番に完了させていく
比較的長期のプロジェクトや明確なものを確実に生み出す場合に使われる
【アジャイル型】
短い期間で要件定義からテストまでの各プロセスを完了させていく
市場変化が速いシステムやアプリ開発などで使われる
06.プロジェクト- マネジャーが「やりくり」するもの
スケジュール:スケジュール管理、タスク管理
リスク:目標達成に向けたリスク管理(不確実なものに対する事前準備、対応)
チームメンバー:チーム育成、生産性向上
調達:プロジェクトに必要なものを計画的に調達(管理、コントロール)
ステークホルダー:関係者に応援してもらうよう働きかける
品質:要求される品質を満たすように管理
スコープ:作業範囲の管理- コントロール(作業の肥大化を防ぐなど)
コミュニケーション:適切なコミュニケーションを実施し生産性向上を図る
コスト:予算管理
これらを「やりくり」する人 = プロジェクト- マネージャー
07.「ステークホルダー」を知り良好な関係を維持
ステークホルダー(利害関係者)
ステークホルダー例:オーナー、経営者、顧客、チームメンバー、社内関係部署など
プロジェクトの「ステークホルダー」が誰なのかをしっかりと把握し、良好な関係を築くことが大切
08.管理するために未来を「見える化」
目標設定や計画など、未来を言語化- 可視化して「見える化」することが大切
言語化- 可視化:いつまでに、何を、どのように生み出すか
工程表にして測定可能にすると、プロジェクトの管理がしやすくなる
09.言語化・可視化のための2つの法則
プロジェクトに関わる多くのステークホルダーが、同じ未来の目標や目標達成までの計画を確認するように言語化- 可視化する必要がある
【MORSの法則】
Measured(測定):カウントできる、数値化できる
Observable(観察):誰が見ても、どんな行動をしているのかがわかる
Reliable(信頼):客観性があり、誰が見ても同じ行動だと認識できる
Specify(明確化):何をどうするかが明確になっている
【SMARTの法則】
Specific(明確性):設定した目標や計画は具体的で明確でわかりやすいか
Measurable(測定可能):目標や計画の進捗などは計測や測定ができるか
Assignable(割当可能):誰が行うかが明確で役割や権限が割り当てられているか
Realistic(現実的):現実的な目標や計画を設定されているか
Time-bound(期限設定):期限が設けられているか
例)
Aさん、Bさんの2名で100件の訪問営業をし、○月○日までに40件のお客様に新製品のパンプレットを渡す
第2章 未来の目標を明確にしよう
10.「どうしたらできるか」を考える
プロジェクトは「ゴールから考える」活動
達成すべき目標をまず明確に立てることが大切
目標達成時と現在のギャップを埋めるべく「どうしたらできるか」を考える
11.目標設定に重要な「6W2H」
目標設定において「6W2H」はとても重要な要素
「6W2H」を明確にすることで目標がイメージしやすくなり、以降の計画もスムーズに進む
What:このプロジェクトで「何を」するのか
Why:「なぜ」このプロジェクトを行うのか
When:このプロジェクトは「いつからいつまで」なのか
Who:「誰が」このプロジェクトを行うのか
Where:「どこで」このプロジェクトを行うのか
How:「どのように」このプロジェクトを行うのか
How Much:このプロジェクトの予算は「いくら」か
12.6W2Hを明確にして目標を決める
13.情報をダイレクトに得て、6W2Hをまとめる
ステークホルダーへのヒアリング
プロジェクト化される前の資料やデータ類
上記の情報を活用して6W2Hをまとめ、目標を設定する
14.「やりなおし!」を防ぐために「要求事項」を確認
ステークホルダーの「誰が」「何を」要求しているかを確認して要求事項を具体的にまとめる
15.利害が衝突した要求には優先順位をつける
利害た衝突している要求は、該当のステークホルダーと話し合い、優先順位をつける
要求事項管理表に優先度を設ける
16.プロジェクトの目標をまとめた「プロジェクト憲章」
プロジェクトの前提となる資料のまとめ
ステークホルダーへのヒアリング、要件事項の調整
上記をしたらプロジェクトの目標を書類としてまとめる
17.プロジェクト憲章のまとめ方
【最低限まとめておくべきプロジェクト憲章】
プロジェクト名
プロジェクトの背景と目的
成果物/要素成果物の納期
前提条件/制約条件
予算
実施場所
プロジェクト体制
主要ステークホルダー
リスク
変更コントロール
承認日/承認者/改定履歴
18.プロジェクト憲章は必ず承認を得る
プロジェクト憲章の承認は重要なエビデンス(証拠)の一つ
19.プロジェクトを円滑に進めるための「ステークホルダーマネジメント」
ステークホルダーマネジメントとは「利害関係者のやりくり」
普段から良好な関係性を構築してプロジェクトの「応援団」を増やすことが大切
20.「ステークホルダー管理表」でマネジメントする
各ステークホルダーの関心事項、影響度、関心度、賛否などをまとめる
21.目標設定が難航したときは「スモールスタート」する
長期や大きなプロジェクトになればなるほど、決裁者も意思決定しづらい
その場合、フェーズで細切れにして、決裁を得るもの一つの手(スモールスタート)
第3章 プロジェクトを計画しよう
22.計画するために目標を「細分化」
計画は、未来の目標と現状のギャップを埋める「ロードマップ」を描くようなもの
はじめにすることは、目標を「細分化」
23.本とカレーライスの「要素分解」
要素分解してヌケ・モレを防ぐ
要素分解で目標達成に必要なパーツや作業の全体像(スコープ)を導きだす
24.要素分解ツール「WBS」の基本
WBS(Work Breakdown Structure)=作業分解構成図
【WBSの基本的な構造】
一般的なWBSは4層構造の「ツリー図」
1層目:プロジェクトの目標や名称
2層目:成果物 目標を達成するために必要なパーツ
3層目:要素成果物 成果物を完成させるために必要なパーツ
4層目:活動タスク
プロジェクト憲章や、プロジェクト憲章を作成する前の「前提資料」「インタビュー結果」をもとに「未来の活動をイメージ」して作成
25.WBSを使って要素分解する
WBS作成時には、自分が管理しやすいサイズで分解する
「細かい」と進捗を把握しやいが管理しづらい
「粗い」と管理しやすいが進捗を把握しづらい
26.「成果物」「要素成果物」を可視化する
プロジェクトが大きくなるほど、「成果物」や「要素成果物」にはプロジェクト・マネージャーの専門外のものも含まれる
適切に承認するために「可視化され測定可能なもの」を設定する
27.進捗を管理する「ガントチャート」
ガントチャートはタスクの前後関係や「いつからいつまでに実施するのか」を明確にするために作成する
プロジェクトの実行中に進捗を管理し、遅延を防止するために、ガントチャートを高い頻度で活用する
WBSやガントチャートは一人で作らない。それぞれの活動の専門家やプロジェクトチームメンバーと相談し作成する
28.大事なスケジュールのつくり方
【Step1】
WBSを左に90度回転させる。すると、ガントチャートの「成果物」「要素成果物」「活動タスク」のリストになる
【Step2】
成果物、要素成果物、活動タスクを「早めに着手すべき順」に並び替えてガントチャートに反映する
【Step3】
各活動タスクに「開始日」「終了日」を設定して時間の概念を加える
29.「マイルストーン」を決める
マイルストーン=ゆずれない時間的ポイント(プロジェクト期間内での重要な「時間的目印」)
マイルストーンに間に合うように、関連する活動タスクのスケジュール調整(※)を行う
※人的リソースや高性能の機械を投入、同時並行で複数のタスクを実行など
30.どうしてもスケジュール内でおさまらないときの手段
対処法1:合理的な理由をもとに提案・調整して期日を変更する
対処法2:合理的な理由のもとに要求事項のレベルを下げる
対処する場合、プロジェクト憲章を修正して再度、決裁者の承認をもらう
31.スケジュールが遅延する2大要素
【スケジュール遅延要因1:チームの生産性】
「チームの生産性」を考慮せずにスケジュールをつくると遅延しやすい
チームの生産性は、プロジェクト開始当初は低く、チーム力の向上にともなって徐々に向上していく
チームの生産性の変化を考慮したスケジュールを策定する
【スケジュール遅延要因2:決裁者の意思決定時間】
「決裁者の意思決定時間」を考慮せずにスケジュールをつくると遅延しやすい
「会議のスケジュールが合わない」「意思決定に追加の資料が求められる」など意思決定にも「時間」がかかる
決裁者の意思決定には時間がかかることを想定して、スケジュールを策定する
32.適切な「バッファ」の設定
プロジェクト期間終了前、またはマイルストーン前に、「まとめて」バッファを設ける
本当にバッファが必要なときに、貯金を切り崩すようにする
タスクごとにバッファを設け、スケジュールに余裕をもたせても、バッファを使い切ってしまうことが多い(※)
※人は時間や資源の余裕があると、その余裕を残さずに使い切ってしまう(パーキンソンの法則、学生症候群)
33.「役割分担表」には名前を明記
ガントチャートの各タスクには、「誰が担当するのか」を明記
タスクの「実行責任者」を明確にすることが大切
実行責任者は極力1人。複数の場合は副担当などを設定。責任者をあいまいにしない
34.予算オーバーを防ぐ「コスト計画」
コスト管理表を作成し、「いつ」「いくら」のコストがかかるかを計画する
コスト管理表で可視化することが大切
35.WBSやガントチャートから見積る
要素成果物内の各活動コストの合計=要素成果物のコスト
成果物内の各要素成果物のコストの合計=成果物のコスト
プロジェクト内の成果物のコストの合計=プロジェクトのコスト
「タスク」「要素成果物」「成果物」の各コストを足すことで、コストの全体が見えてくる
36.「コスト管理表」をつくる
WBSで定義した各要素成果物や活動タスクをイメージしながら、ヒト・モノ・ジョウホウ・ジカンに「いくら」かかるのかをイメージして見積もる
外注する場合は、見積書を取る
過去に企業内・組織内で同様の作業をしている場合は、過去のコスト実績を参考にすることも大切
37.予算オーバーへの2つの対処法
【基本対応1:「ECRS」で効率化
ECRS:「Eliminate(排除)」「Combine(結合)」「Rearrange(入替・代替)」「Simplify(簡易化)」
コスト内におさめるように成果物の機能や作業を「排除」「結合」「入替・代替」「簡素化」する
【基本対応2:プロジェクト憲章の予算を変更する】
決裁者との会議を設定し、予算を変更することの承認を得て、プロジェクト憲章自体の予算を変更する
38.リスクには2つの種類がある
リスクとは不確実性
ネガティブリスク(脅威のリスク):設定基準(計画)から「悪いほう」に外れる
ポジティブリスク(好機のリスク):設定基準(計画)から「良いほう」に外れる
プロジェクト実行中に計画どおりに行かないときや、目標達成の確度を高めたい場合には、「リスク対応計画」を立てる
39.リスク管理は「洗い出し」からはじめる
作成したWBSやガントチャートなどのあらゆる計画書を見て「具体的」なリスクを洗い出す
洗い出したリスクが「3×3のマトリックス(※)」のどこにあたるかを検討し配置する
※縦軸:リスクの発生頻度(発生する可能性)
※横軸:リスクの「影響度(発生した際の目標達成への影響)」
40.対応するリスクの優先順位をつける
【Step1】
発生頻度と影響度に任意のポイントをつける
【Step2】
発生頻度と影響度が交わる象限(ショウゲン)に対して、それぞれのポイントを掛け合わせてリスクポイントを算出する
(例)発生頻度3ポイント×影響度3ポイント=リスクポイント9
【Step3】
決裁者とともに、リスク対策のための「予算」や「工数」を決める
決裁者とともに、どこまでリスク対策するかの「リスク対応範囲」を決める
41.リスク管理表のつくり方
【リスク管理表に最低限必要な項目】
リスクの洗い出しで特定した「リスク内容」
リスク対策
コスト
リスク対応の「開始日」「終了日」
リスク対策をする「担当者名」
何をすれば「リスクポイントを下げられるか(なくせるか)」に基づいてリスク対策を考える
より「効率的」かつ「コストがかからない」リスク対策を考えることも大切
42.リスク発生に迅速対応するための「コンティンジェンシー計画」
「対策をしなかったリスク」「リスク対策をしても発生するリスク」がある
【コンティンジェンシー計画】
リスク発生時の対応体制や手順、意思決定手順などを文章で明確にしておく(災害発生時マニュアルのようなもの)
【コンティンジェンシー予備】
ヒト・モノ・カネ・ジョウホウ・ジカンのリソースの予備を準備しておく
(例)生産性の低下のリスクには、予備の人
(例)スケジュールの遅延リスクには、時間余裕(バッファ)をプロジェクト全体の予備としてもっておく
43.「まずは実践すること」が大事
プロジェクトマネジメント計画書は、「ガントチャート」「WBS」「コスト管理表」「リスク管理表」「ステークホルダー管理表」などをまとめたもの
【「計画」するときのヒント】
計画策定には「労力」と「時間」が必要(一朝一夕にはいかない)
プロジェクトマネジメントに慣れていない場合、または小規模なプロ要素が含まれている「最低限の計画書」から作成を開始する
プロジェクトを経験し、改善したい領域に対して計画書を追加していくことが大切
44.生産性を高めるためのコミュニケーションのルール
コミュニケーションが不足すると活動タスクに割り当てる時間が少なる。またプロジェクトの生産性が落ちる
生産性の高いコミュニケーションを実現するために、ルールを決めておく(計画書)
【コミュニケーションマネジメント計画書の必要項目】
コミュニケーション内容:資料名・会議名など
目的:進捗報告・課題共有など
頻度:週次・毎週月曜日・月次など
場所:会議室・Zoomなど
発信者:プロジェクトマネージャー、など
受信者:メンバーなど
45.進捗管理のルールを明確にする
プロジェクト開始時には、メンバーからの進捗報告が忘れられがち
「コミュニケーションマネジメント計画書」で「いつまでに」「何を」「どのような内容で」「どの方法で」進捗報告する「ルール」を明示
チームメンバーが着任する際に周知徹底
46.「変更要求」への対応を決める
プロジェクトを実行していると、計画どおりに進まず、目標や計画を修正しなければならないときがある(変更要求)
変更要求について、事前に段取りを決めておく
【変更要求の事前段取り】
どこまで変更権限をプロジェクトマネージャーに割り当てるのか
どのレベルの変更から変更会議を実施するのか
変更会議にはどの役割の人が出席するのか
承認の意思決定は誰がどのように行うのか
47.最初に必ず行う「キックオフ」
キックオフ会議=プロジェクトの実行フェーズを「開始する」ための会議
【キックオフ会議の目的】
プロジェクト概要、メンバーの相互理解などで、不安を取り除く
プロジェクトに対するモチベーションを高める
【キックオフ会議のアジェンダ例】
プロジェクトマネージャーの自己紹介
プロジェクトの概要
プロジェクトメンバーの自己紹介
重要なチームルールの共有
質疑応答
キックオフの良しあしでプロジェクトの実行開始時点での「チームの生産性」が大きく変わることもある
48.キックオフで大切な2つのこと
【1.細かい話はせずモチベーションをUP】
キックオフでは、プロジェクトの社会的意義や会社としての意義などを伝えて「細かい話はしない」
細かい話はキックオフ会議後の個別会議で行う
【2.メンバー同士の交流を促進させる】
プロジェクト実行フェーズ開始時にお互いをより理解していると開始時の生産性が高まる
49.進捗管理は「週1回」が基本
進捗管理とは、計画とチームメンバーによる各種の実績を確認すること
計画と実績の「ギャップ」を確認し、ギャップがある場合には、ギャップの程度や発生理由などを把握する
50.スケジュールの進捗管理のルール
進捗管理のルールを決めて進捗を確認することで、各ステークホルダーにも明確な基準で報告できる
【50%-50%ルール】
各タスクの進捗を「未着手:0%」「着手中:50%」「完了:100%」とする
割り当てた各タスクの「進捗率の平均値」=「プロジェクト全体の進捗率」として進捗を管理する
51.投資を無駄にしないための「マニューバリング」
計画どおりに進むように、問題・課題に対し軌道修正=やりくりする
合理的な理由により計画通りに進まない場合は、決裁者との合意形成を経て、目標や計画を適切に変更していくことも大切
52.進捗に異変を感じたら、すぐに「是正措置」する
計画と現実のギャップを発見したら早期に対処することが大切
着手が遅れれば遅れるほど、計画どおりに戻すことが難しくなる
早期発見のためには「情報収集」が必要で、そのためには「コミュニケーション」が大切
53.是正措置を「予防措置」につなげる
「予防措置」とは、計画どおりに進めるにあたり、「想定できる問題や障害を事前に取り除く」こと
特定のチームの問題が、他のチームでも発生する可能性があれば、迅速かつ積極的に情報共有する
54.変更要求を適切に管理する
予防措置や是正措置をしても、計画どおりに進まないことがある
合理的な理由であれば「目標や計画を変更」する(変更要求)
【変更要求から変更会議までの流れ】
1.プロジェクトマネージャーやメンバー、ステークホルダーから変更要求
2.変更要求を管理表にまとめる
3.自分に決定権があるものは、「承認・否認」する
3.自分に決定権がないものは、「変更会議を招集」する
55.変更したらどうなるかを考える
要求どおりに変更したらプロジェクト全体にどのような影響があるかを「俯瞰」してとらえる
【プロジェクトの変更管理に必要な視点】
変更によってほかの要素(※)に影響はないか
影響があるなら、ほかの要素(※)をどう変化させればよいか
※スケジュール、コスト、リスク、機能要件、リソース(ヒト・モノ・カネ・ジョウホウ・ジカン)など
56.重要な活動「チームの育成」
プロジェクトにはさまざまな「文化」「価値観」「仕事のやり方」をもつ人たちが集まる
メンバーをまとめ、チームを育成するためにも「対話の機会を設ける」ことが重要
【チームを育成するために大切な3つのこと】
1.各自の目標達成へのモチベーションを高める
2.チーム内でプロジェクトの共通文化を醸成(ジョウセイ)する
3.コミュニケーションを円滑にして生産性を高める
57.「ホット」と「コールド」のコンフリクトを解消する
プロジェクトでは価値観や仕事のやり方が異なるメンバーが、1つの目標を目指すため、ときに「コンフリクト(衝突)」が発生する
プロジェクトマネージャーが間に入り、会議やランチ、会食などのお互いを知る機会をつくり、改善を促進する
ホットなコンフリクト:口論や悪口など、問題が顕在化している
コールドなコンフリクト:無視・無関心など、問題が顕在化していない
58.週1回「進捗レポート」を送る
進捗レポートは、「定期的」「安定的」に配信することが大切
進捗レポート配信後に、プロジェクトの進捗や内容の詳細について確認や問い合わせを受けたら、なるべく早く対応する
59.進捗レポートの3大ポイント
1.現在:プロジェクト状態の事実を明確に記載する
2.過去:なぜ現在の状態に至ったのかを明確に記載する
3.未来:現在の状態に対して未来に何をするのかを記載する
60.必ずつくる「プロジェクト終了書」
成功・失敗にかかわらず、プロジェクトが終了したらその証として、必ず「プロジェクト終了書」を作成する
【プロジェクト終了書の内容】
名称:終結するプロジェクトの名称を記載
概要:終結させるプロジェクトの概要を記載
実績:①目標が達成できたかどうかを記載
実績:②WBSを確認して成果物の納品完了概要を記載
実績:③実現できたこと・できなかったことを記載
評価:「うまくいった部分」「改善点」などの評価を記載
終結の概要:「完了」「未完了」を記載。残課題、引き続き項目なども記載。
61.未来のために「教訓」を残す
「プロジェクト終了書」で教訓を残す
教訓を活用する「サイクルを回す」ことで、組織のプロジェクトマネジメントの成熟度が高まる
62.「プロジェクト終了会」も必ず実施
チームメンバーへの「ねぎらい」と「モチベーションアップ」のための施策
チームメンバーが「気持ちよく元の部署に戻れる」「新しいプロジェクトにチャレンジできる」ように会食の場などを設けてねぎらうことが大切
第5章 「戦略的思考」を身につけよう
63.目標から逆算する「バックキャスティング思考」
プロジェクトは「ゴールから考える」活動
バックキャスティング思考:目標を見て、次に現状を見てそのギャップを把握し、目標から逆算して「いつまでに何が必要か」を考える
64.マネジメントしやすくするための「エンジニアリングアプローチ」
エンジニアリングアプローチ(工学的手法):あらゆるモノやコトを可視化させてマネジメントしやすくすること
「言語化」「可視化」「構造化」する習慣を身につけることが大切
【例1:スケジュールが厳しいと感じるのはなぜだろう?】
時間を可視化する(タスクを可視化)→どこを改善すればよいかが具体的にわかる
【例2:プロジェクトにリスクを感じるのはなぜだろう?】
リストを可視化する(リスク管理表作成)→どこにリスクがあるかが具体的にわかる
65.問題の「ボトルネック」を見抜く
ボトルネック:一連の作業プロセスの中で「最も」生産性が低く、全プロセスの生産性に影響を与えている部分
プロセス全体のアウトプットは「ボトルネック部分の生産性」で決定づけられる
66.マネジメントでは「クリティカルパス」を意識
クリティカルパス:所要期間が最も長い経路=プロジェクト全体のスケジュールの所要期間
プロジェクトマネージャーはクリティカルパス上の活動タスクを優先的にマネジメントすることが大切
67.「問題志向」と「解決志向」
プロジェクトではさまざまな問題が発生する。状況に応じて2つの志向のアプローチを使い分け、問題解決を目指す
①問題志向のアプローチ:問題の原因を特定し、解決する(過去視点)
②解決志向のアプローチ:問題の原因があることを許容しつつ、「どうしたら問題を解決できるか」と考える方法(未来視点)
68.大切な「論理的バランス思考」
すべての計画書(※)の内容が「筋が通っている」ことが大切
計画の一部を変更する際にも、全体のバランス感を考えて「筋が通っている」ことを必ず再チェックすること
(※)プロジェクト憲章、WBS、ガントチャート、コスト管理表など
69.3手先を読んでやりくりする
何かを能動的に実行する際、3手先まである程度予想しながら行動する必要がある
3手先までをイメージし、マネジメント活動の打ち手を複数もっておくことが大切
70.明確に異なる「目的」と「目標」
【目的】
目指すもので「ありたい、あるべき状態」
目で見たり、触ったり、数字で表すことが難しい
【目標】
「目的に近づくために設定」するもの
目で見たり、数字で表したりできる測定可能なものが理想
【大切なことは「目的をわすれないこと」】
何の目的のために頑張っているのかを忘れてしまうと、目標の修正時に「目的とまったく関係のない目標」に修正してしまうことがある
プロジェクトを行っている「目的」を常に頭に入れ、目的に近づけるための「目標」に修正する
第6章 リーダーシップを発揮しよう
71.プロジェクトマネジメントを成功させる「人間力」
プロジェクトは、チームメンバーやステークホルダーと協働して目的達成を目指す
そのため、人の心を動かし、プロジェクトに関わる人々を1つにしていく必要がある
プロジェクトマネージャーに求められるのは「人間力(※)」
(※)リーダーシップ、コミュニケーション、モチベーションマネジメントなど
72.マネージャーとリーダーの違い
【マネジメント】
効率的な「箱」をつくって管理・運営する
(例1)ビジネスの目標を達成するための「計画立案」
(例2)組織構造や人材配置の整備による「組織の最適化」
(例3)仕組みやルールの策定と、そこから逸脱した際の対応
【リーダーシップ】
箱に「血」を巡らせて箱を生かす
(例1)未来のビジョンを提示
(例2)メンバーの団結力を高める
(例3)メンバーに対して動機づけを行う
【プロジェクトマネージャーの心得】
仕組みや組織、ルールで効率的に活動するための「マネジメント」だけでなく、プロジェクトを促進する「リーダー」としての役割も担う
73.リーダーシップ論の共通点
【リーダーシップの共通点】
リーダーシップは2名以上の組織で発揮できる
リーダーがいれば、フォロワーがいる
【リーダー】
志やミッションをもとに、目的と目標を明確に示す
目的・目標を達成するための意思決定をする
フォロワーへの動機付け
フォロワーの活動を支援 など
【フォロワー】
目的と目標達成に向けて行動する
意思決定に必要な情報を提供する
リーダーの活動を支援 など
【リーダーの心得】
リーダーは、フォロワーの感情や心に働きかけて組織全体がビジネスの目的や目標に向かって歩んでいくための行動を取る必要がある
74.組織を活性化させる「5大要素」と「サイクル」
【①知恵・技術・組織】
コトをなすには適切な「箱」や「道具」が必要
【②モチベーション】
「箱」や「道具」を使って目的・目標に向かう「意思」が必要
【③リーダーシップ】
自分で自分にスイッチを入れてモチベーションを高めるのは難しいため「推進役」が必要
【④コミュニケーション】
リーダーシップを発揮するためには「コミュニケーション」が不可欠
【⑤チームビルディング】
組織内のコミュニケーションを活発化させることで「チームビルディング」が進む
75.複数のリーダーシップスタイルを使い分ける
リーダーシップを発揮するために大切なポイントは、「対象のフォロワーや環境によって、リーダーシップスタイルを使い分ける」ということ
プロジェクトマネージャーは、様々なリーダーシップスタイルを習得する必要がある
76.「指示型」と「支援型」の2つのスタイル
【指示型リーダーシップ】
リーダーが率先して意識決定をし、意識決定内容をフォロワーが実行できるように指示するスタイル
緊急を要する問題発生時や、業務や作業に対するフォロワーの知識や技術の成熟度が「低い」場合に適しやすい
【支援型リーダーシップ】
フォロワーを主体とし、フォロワーの意見や考えを尊重して、リーダーが支援しながら結論に導いていくスタイル
緊急を要さない平時や、業務や作業に対するフォロワーの知恵や技術の成熟度が「高い」場合に適しやすい
77.フォロワーの状況に合わせて、リーダーシップスタイルを変える
【「知識・技術」低い・「モチベーション」低い】
指示型で確実に活動してもらう
【「知識・技術」低い・「モチベーション」高い】
指示型と支援型を強くする(コーチ型)
【「知識・技術」高い・「モチベーション」低い】
支援型で、自分が決めたことを、自ら成功させてモチベーションを高める
【「知識・技術」高い・「モチベーション」高い】
指示型と支援型を弱くする。委任し、独り立ちさせる
78.リーダーシップに重要な「非公式のパワー」
「権利」や「権力のうちの『公式のパワー』」だけでは、人の心や感情を動かし、推進力を高めるのに限界がある
組織の推進力を高めるには、他人や集団を行動させる「人間的魅力」や「能力」が必要(非公式のパワー)
同じ「役職」「役割」「権利」をもっている人でも、成功する人と成功しない人の差は、「非公式のパワーの有無」によるところが大きい
79.リーダーシップを発揮するプロジェクトマネージャーの特徴
謙虚でフォロワーを尊重している
前向き
志が高い
粘り強く頑張る姿勢
etc
80.プロジェクトの成功に必要な「モチベーション」
プロジェクトマネジメントの仕組みを高度化しても「モチベーション」がないと、うまくいかない
リーダーシップを発揮し、フォロワーのモチベーション(※)を高めることが大切
(※)持続的かつ精神的なモチベーション
81.メンバーの感情を動かしモチベーションを高める
メンバー個々の価値観を知り、その価値観に訴えかけるようにコミュニケーションを取る
【①専門能力・職能別】
専門家として能力を発揮することに意欲を持つタイプ
【②全般管理】
責任を負うことで成長していくタイプ
【③自律・独立】
自分のやり方で仕事を進めていくことを望むタイプ
【④保障・安全】
社会的・経済的な安定を求めるタイプ
【⑤起業家的・創造性】
クリエイティブに新しいものを創り出すことを望むタイプ
【⑥奉仕・社会貢献】
社会的に意義のあることを成し遂げたいという思いが強いタイプ
【⑦純粋な挑戦】
きわめて困難な問題の解決や、手ごわいライバルとの競争にやりがいを感じるタイプ
【⑧ワークライフバランス】
ライフスタイル全体のバランスと調和を重視したいと考えるタイプ
82.「モチベーション」と「マズローの欲求5段階説」
【モチベーションが高まる3つの要因】
①生理的衝動要因 (例)空腹時に食べ物を探す
②外的要因 (例)表彰など
③内的要因 (例)自分の技術でもっと便利な世の中にしたい
【マズローの欲求5段階】
自己実現欲求 ← ③内的要因
承認欲求 ← ②外的要因
社会的欲求 ← ②外的要因
安全欲求 ← ①生理的衝動要因
生理的欲求 ← ①生理的衝動要因
83.「ハーズバーグの二要因理論」
動機付け要因:与えれば与えるほど「満足度が上がる」
衛生要因:その水準が下がったときに「不満足度が上がる」
(例)給料を与えればモチベーションが高まる。
しかし、それは一時的であり、給料を増やしてもそれが当たり前になると、それが減るときの不満足要因の方が大きくなる
プロジェクトマネージャーは、満足要因を与えてメンバーのモチベーションを向上させつつ、不満足要因の水準の維持を徹底し不満足を発生させないようにする
84.マネジメントの基本は「ほかを通してことを成す」
プロジェクトマネジメント手法を実行しただけでは、プロジェクトはうまく回らない
プロジェクトに関与する人の「モチベーション」が、プロジェクトの成功や生産性に大きく影響する
自分を変化させて相手に応じたリーダーシップやコミュニケーションをし、メンバーのモチベーションを維持・向上させる
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