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九谷焼の持つ、クリエイティブの多様性 - #KUTANISCAPEs を通じて伝えたいこと

九谷焼の産地のことをもっと沢山の人に伝えたい。私がイベントの開催を通じてそのように思って、noteを書き始めて10日が経ちました。

先日、2本目として書いた記事も沢山の方々にお読みいただいて、Twitterで呟かれているコメントをみては嬉しくなったり、一方でもっと上手に伝えられるようになりたいなぁと思ったり、そんなことを日々思いながら産地にいます。

今日は私がnoteを始めるきっかけになった、九谷セラミック・ラボラトリー(以下、CERABO KUTANI)にて開催中の企画展「KUTANI SCAPEs - 九谷の視界」について綴ろうと思います。

KUTANI SCAPEs - 九谷の視界
https://cerabo-kutani.com/news/exhibition-now/kutani-scapes/
日時|2020年2月21日(金)〜4月28日(火)
時間|10:00-17:00(最終入館は16:30まで)
会場|九谷セラミック・ラボラトリー(CERABO KUTANI)
住所|〒923-0832 石川県小松市若杉町 ア91
入館料|一般 300円、学生(高校生以下)150円
主催|九谷セラミック・ラボラトリー

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昨年の5月にCERABO KUTANIが開業してから、開業時に行われたOPENING EXHIBITIONや、産地の総合芸術祭 KUTANism(クタニズム)にて開催となった『カラフル・オーナメント・オブジェ・クタニ』など、

およそ9ヶ月に渡ってCERABO KUTANIでは産地の関係各所による展示企画を行わせていただいていました。(経緯や理由は割愛します)

つまり今回の企画展は、初めてゼロから企画の趣旨を考え、九谷焼作家さんへお声がけし、様々なご協力を経て開催することができた、念願の企画展となりました。出展作家は以下の5名です。

木戸優紀子/Yukiko Kido @kido_yukiko
学生時代にヨーロッパを訪れた際、歴史的な街並に心を打たれ、伝統に関わる仕事を志す。2005年~2008年「妙泉陶房」山本長左先生(宮内庁御用達九谷焼作家)に師事し、染付の技法を学ぶ。2019年3月伝統工芸士(加飾部門) 認定。現在、線の密度により染付の濃淡を表現する『優細描』という技法を確立し、染付を中心に、伝統を重んじながらも発展的な制作に励んでいる。

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今西泰赳/Hirotake Imanishi @hirotake_imanishi
1984年奈良県生まれ。大学ではミトコンドリアを中心とした生命現象(ガンや免疫作用機序)についての研究を行い、博士(理学)取得。その後、陶芸作家に転身。滋賀県信楽で陶芸の基礎技術を学び、九谷焼技術研修所で九谷焼の技法を学ぶ。研究生活の中で感じた生命現象を主題に「土という骨格、釉薬という皮膚、そして上絵による細胞」という作品を展開中。現在金沢にて制作中。

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中田雅巳/Masaru Nakada
1977年石川県能美郡川北町生まれ。高校卒業後、九谷焼技術研修所にて九谷焼の基礎を学ぶ。卒業後は窯元で約3年勤務、その後退職と同時に陶芸から離れる。2年後、陶芸教室(グリーンアーツ陶芸教室)のスタッフとしての誘いを受け再び陶芸の道へ、現在は川北町を拠点に作品を制作し国内外で発表している。

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船木大輔/Daisuke Funaki @kisentobo.funaking
1977年石川県金沢市生まれ。父方の祖父、父の弟が輪島塗職人を、母方の祖母の弟が加賀友禅作家をしており、身近に伝統工芸は感じる環境ではあった。それに加えて母に子供の頃より、県立美術館によく連れて行かれた記憶が影響してか、高校受験の頃から九谷焼をすると心に決めて、現在に至る。2009年より能美市に移り住み作陶。

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早助千晴/Chiharu Hayasuke @chiharu_hayasuke
兵庫県西宮市出身。大学では神学を学び、聖書におけるワインの役割を研究。卒業後はワイン専門商社に勤務し、ワインエキスパートの資格を取得。退社後京都で陶芸を学び、2018年より石川県に移転し、中村陶志人先生に師事。現在は能美市にて制作活動を行っている。

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・・・どうですか!このクリエイティビティの豊かさ。この企画展を開催するにあたって、まず最初に考えたのは「どんな企画展を行おうか?」というコンセプトメイキングにあたる部分でした。

皆様は”九谷焼”と聞いた時に、どんなイメージを浮かべますでしょうか。私たちの考える九谷焼の魅力。それは脈々とした歴史の中にあるクリエイティブの多様性です。
九谷焼は360年以上の歴史をもち、石川県において広域的に創出されてきた伝統工芸です。つづく歴史の中で色絵を中心とする技法が継承され、様々な時代背景の中で幅広い作風が作り出されてきました。
今回の展示では九谷焼に広がる世界の奥深さを”視界”として紹介し、多種多様な九谷焼の魅力に触れてもらえるように構成いたしました。九谷焼の持つ創造性の豊かさと奥深さをお楽しみください。

こちらは今回の企画展に向けて私が書いたご挨拶文です。展示エリアに入ってすぐのテーブルの上で、出展作家5名のご紹介と共に設置させてもらっています。

九谷焼の持つ、クリエイティブの多様性。これは私が産地に来て半年くらい経ってから感じた、九谷焼の魅力の一つです。今回はこの幅広くも奥深い九谷焼の魅力を伝えたくて、企画させていただきました。

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一方で産地で日々様々なお客様と接していると、”九谷五彩”と呼ばれる赤・黄・紺青・青(緑)・紫の五色が一面に描かれた、転写技術が用いられた九谷焼を求めにいらっしゃる方も沢山います。

モノを持たない時代となってきている現代において、モノの魅力を伝え、理解していただくことは、それほど簡単なことではありません。

現に今日も1組、元々イメージされていた九谷焼(おそらく転写技術の用いられたもの)を求めにきたものの、思っていたものがなくて帰られた方もいました。

よく産地で唱えられる、美術九谷産業九谷。私はどちらも素晴らしい技術と歴史の賜物だと思っていますし、それぞれにそれぞれの良さがあると思っています。

だからこそ、それぞれの良さが届くべき人にしっかり届くように、このようにして伝えていくことが大事だと思って、noteをはじめました。楽しく続けたいなって思っています。


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ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございます☺️ 皆様にいただいたサポートは九谷焼のつくり手のお手伝いに使わせていただきます。