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Creeper / Sex, Death & The Infinite void

UKの新星Ceeperの2020年リリースの2ndアルバム。かなりオールディーズに接近したサウンド。もともとメイクや世界観はゴシック的でしたが音的にもゴシック感が強まっています。今のUKロックシーンのメロディと、自分たちなりのバンドの特色を模索する過程でたどり着いた独自のハイブリッド加減が新世代を感じさせます。以前取り上げた記事はこちら。

2020年リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Hallelujah!
雨の音、雷の音、ドローン音
暗闇の中からのスタート
裏路地のハレルヤ
スポークンワードのみで終わり
★★

2.Be My End
メロコア的な刻みにゴシックなボーカルが乗る
歌メロは耽美
明るいが英国的、ピエロの悲哀
展開が早い、この辺りはメロコア的
ヘヴィさはあまりないがどこかゴシックな雰囲気はある
ボーカルの歌い方か
サーフ、エレキサウンド的なギターソロ
ベースが刻み、ギターは空間を埋める
ドラムは軽やかできらびやか
軽快に駆け抜けて終わり、2分半
★★★☆

3.Born Cold
コードカッティングとボーカル
軽やかでコンパクトにまとまった印象
70年代ハードロックのテイストも感じる
メロディのアイデアが強い、歌モノとしての魅力がある
ベースの刻みはどっしりしている
ポップに展開して約3分で終曲
★★★

4.Cyanide
ちょっとナヨナヨした美意識を感じるバラード
ジギースターダストの頃のボウイを連想させる
サビの展開、開放感はどこかスぺイシー
コード展開がうまい、転調をうまく取り入れている
ボーカルのねちっこい感じが合っている
テラービジョンあたりにも近いかも、ちょっとユーモアも感じる
★★★★

5.Celestial Violence
語りだけの小曲
★★

6.Annabelle
前の曲から続いて展開、オープニングは明るい展開
ミドルテンポで70年代ロックのテイスト
ちょっとブギっぽい
きちんとメロディが盛り上がり、壮大なコーラスに
耳に残るメロディがあり、娯楽性が高い
ちょっと爬虫類系の喉を閉めた感じのボーカルも合っている
だんだん曲が長くなってきている、2分台、3分台ときてこの曲は3分49秒、前の曲をイントロと考えると4分台
中高音域が強調された音作り
★★★☆

7.Paradise
ガレージ的なドラム音からスタートし、サーフミュージック的なギター
50年代ポップス、オールディーズ的なボーカル
歌い方はゴシックというかプレスリー的ともいえる、深いブレスがはいっている
ダンジグがプレスリーをカバーしたように、共通点は多い
この曲も4分、やはりだんだん曲を長くしているのだろうか
ダンサブルというか、ジルバのリズム
オールディーズマナーにきちんと沿っている曲
歌謡曲的なマイナー調をところどころに織り交ぜたメロディ
ボーカル、歌メロが主だが楽器隊とボーカルがせめぎ合う場面もある
楽器隊がボーカルラインをなぞっていく
★★★★

8.Poisoned Heart
続いてプレスリー的な歌唱が続く、この曲もオールディーズ感
ちょっと曲が短くなり3分半
低音でボーカルが歌う、ゴシック・プレスリー
サビでは歌い上げる
このボーカルの変容は気持ちいい
低音のプレスリーまたはダンジグ的なパートも表現力がある
若手だけあって声質は軽やか
★★★★

9.Thorns of Love
これもオールディーズのブルースバラード的
バックにドゥワップ的なコーラスが入る
ちょっとミートローフというかジムステインマン色のあるブリッジが入る
コーラスで中高音域に音が偏っているがもう少し低音に振ってもいいのに
★★★☆

9.Four Years Ago
これもオールディーズ的な音作り
女声と男声ボーカルが掛け合う
弦楽器が入ってくる、アコギのコードが鳴っている
70年代ロックテイスト
歌メロはハードボイルド
じわじわと盛り上がっていき、きちんと収束する
★★★★

10.Holy War
前の曲から間髪入れずに展開
スポークンワードのみの短い曲
★★

11.Napalm Girls
ギターの細かい刻みとボーカル、エレキ弾き語り的
と思ったら女声コーラスが入ってくる
80年代パンク的な、刹那的なきらめきがある曲
ドラムが入ってくる
パンク程荒々しくはなくプロダクションは洗練されている
コーラスで展開するが、コーラスが高音のややスクリームっぽいパターンが多い
ヴァースの中低音のボーカルラインは魅力的、コーラスでオクターブ跳ねあがるみたいなところが多い
そこはもう少しバリエーションが多い方がいい
間奏、アルペジオとボーカルと女声コーラスが絡み合う
ドラムがタム回しで近づいてきて四つ打ちへ
サビで明るくなる、サビだけゼブラヘッドみたいな高音なのがちょっと惜しい
もう少し翳りを残してもいいのでは
だいたい3分半
★★★☆

12.Tha Crown of Life
これもスポークンワードの小曲
★★

13.Black Moon
ニューオーダー的ともボウイ的ともとれるニューウェーブ色がある曲
サウンドはギター主体、メロディのつながりが自然
Ghostにも通じるゴシックでホラーで少しコメディアスなヴァース
サビは高音のスクリームと悲しみのあるマイナー調のメロディ
哀愁がいい感じでかみ合っている
サウンドの重心が少し低い
★★★★

14.All My Friends(Hidden Track)
ピアノとボーカルの曲
ピアノ弾き語りのようだ
2回目のコーラスでハーモニーと弦楽器が入ってくる
曲が終わった後、語りが入り終わり
★★★☆

全体評価
★★★★
語りが多い、コンセプトアルバムなのだろうか
かなりオールディーズに接近している、歌メロはイマドキだがサウンドはビンテージ
どの曲もポップなフックがあり、若手のフレッシュな勝負作ではある
もう少し低音の響きや音に深みがあればよかった
だいたいヴァースは低音、コーラスで高音という対比が多い
編曲のパターンだけでなく歌メロのパターンも増えるといい
単曲で切り出せばどの曲も高品質だが、アルバムを通すとちょっと一本調子にも感じる

リスニング環境
夜・家・ヘッドホン

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