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Rings of Saturn / Gidim

2009年結成、2010年デビューのアメリカ、カリフォルニアのデスコアバンド。Burrn!誌別冊のBastards!で取り上げられていたので聴いてみました。YouTubeで見たMVではぶっ飛ばされたのですが、アルバム全体としてみるとちょっと息切れ気味。衝撃盤でも選んだBeneath the Mascreに比べると激走感やはっちゃけぶりが不足しています。MVの曲(下に貼ってあるHusk)はカッコいいですが、映像はちょっとグロテスクなので閲覧注意。というか、音だけ聞いた方がいい気がします。もともと笑えるホラー(宇宙人が攻めてきた!的な)なテイストのバンドっぽいのに、このMVはシリアスすぎるんだよなぁ、メイデンのX Factorでいきなりエディが実写化されて「やりすぎだろ」と感じたのと同じというか。

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

2019リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Pustules (feat. Charles Caswell) 4:30
轟音とブラストビート、グロウル
ドラムは正確で音数は多いが整理されている
飛び跳ねるような、SFの効果音のような音程移動の激しいギター
途中で急に展開してメロウな、宇宙旅行のようなフレーズに
心地よい展開
とにかく目まぐるしく展開していく
ボーカルは怒号でドラムもかなり手数が多いがギターやキーボードのメロディは奔流のように押し寄せてくる
マシンガンブラスト、Igorrrの激烈さを人力でやっているような(むしろ逆なんだろうけれど)
DragonForceばりの速弾き、メロディアスなギターフレーズ
ボーカルとドラムも絡み合う、カリカチュアされたというか、メタルの要素を抽出してディフォルメしたような音像
ヘヴィなリフがところどころに入りつつ、合間を異常な速弾きとグロールが埋める
ドラムはドリルのような超高速回転
★★★★

2.Divine Authority 3:32
ヘヴィなリフの上でギターが舞い踊る
そこから怒涛のボーカルとドラムの展開、最初からカオスに
そこからギターリフが入ってきてボーカルと絡み合う
あまり分析的に聞くというよりただ身をゆだねて楽しむタイプだな
集中して聴いているとわけが分からない笑
ただ、とにかくおもちゃ箱をひっくり返したというか、「エイリアン・メタル」だったかな、そういう名称らしいがまさに宇宙人
Zappaとかに近い曲展開のおかしさ、もちろんゴリゴリのメタルの音像だからだいぶ聴感は違うのだけれど
★★★☆

3.Hypodermis Glitch (feat. Dan Watson) 4:28
目まぐるしく変わるリズム、乗りやすいリズム
ブラストになり美しいギターパート、モービッドエンジェルにもこういう轟音の中に美しいパートがあったな
合間合間は乗りやすいリズム、そこから激走に移る
激走パートはジェントというかプログレ的な音移動、ギターテクニック
そこからまたヘヴィな音像に戻る
グロールはけっこう芯が強く聞きやすい、倍音多め、ところどころピッグスクィール
ただ、比較的2曲目3曲目はメロディが弱いな
展開は面白いのだけれど、印象的なフレーズが少ない、怒涛の手数と音圧、テクニックというか
もっとハッとするわけわからん展開とか笑えるメロディとかあるいは「おっかっこいい!」と思うようなフレーズが欲しい
前のアルバムにはそれがあったんだけどなぁ
この後出てくるかな
なんというか運指練習のような、派手に音程は移動しているがメロディとしての面白みはあまりないフレーズが多い
★★★

4.Bloated and Stiff 4:37
こちらもテクニカルな始まり、音程移動、変拍子のリフ
こういう音像自体は好物だけれど
ちょっとギターフレーズに美しさが戻ってきた、ボーカルの絡み合いもいい
なんというか、スティーヴヴァイみたいなギターの音やフレージングが時々出てくるんだよね、パッションアンドフォーウェアあたりの
このバンドのそういう瞬間が好き
途中、キーボードをバックに少し抒情的なメロディ
うーん、でも抒情性が薄いなぁ、ピコピコする速弾きフレーズはあるのだけれど
かなりメロディがストイックというか、テクニカルだがコード展開とか曲の展開感が薄い
3分30秒過ぎからのパートはメロディアスでいい
★★★

5.Tormented Consciousness (feat. Yo Onityan) 5:02
いいリフ、ちょっとメロスピのような、それこそDragonForce的な
ただ、ドラムがもっと連打系なので雰囲気はだいぶ違うけれど
ギターの感じが似ている
こういう組み合わせは面白い
ギターフレーズがゲーム的、撃墜音のような音を超速弾きで入れてくる
遊び心のある曲
リフとボーカルの絡み合いがいい、メロデス的な展開でもあるがドラムがかなりカラッとしているのでだいぶ雰囲気は違う
確かにエイリアン的
4分ぐらいから曲の表情がガラッと変わる、次の曲になったのかと思った
★★★★

6.The Husk 4:57
勢いの良い始まり、乗りやすい
次々と勢いよくボーカルが飛び出してくる、リフもカッコいい
美しいメロディ、これだよこれ、VAI的
スリリング、テクニカルだがメロディがいい
途中からの抒情パートも美しい、アルペジオとギターソロ
こういうメロディが弾けるんだからもっと出せばいいのに
ドラムの超絶連打、リフ、ソロのクライマックスが絡み合う
★★★★☆

7.Mental Prolapse 4:34
6~7曲目のつながりが素晴らしい、急にメロディアスに
いいメロディでスタートするリフ、抒情的でカッコいい
そこから素っ頓狂な金切り声というかピッグスクイール
絞め殺される豚のような声
グロールに、ギターメロディと絡み合う
ちょっと8ビット、ゲームミュージック的なフレーズ
メロウなリフというかギターのメロディパートからの金切り声の落差が面白い
思わず笑ってしまうぐらい落差がある、確信犯だな
その後のヘヴィリフとグロールのパートはシリアス
ミドルテンポのノリの良いリズムに乗せてどこか陽性な、民謡的なメロディ
★★★★☆

8.Genetic Inheritance 3:56
手数の多いドラムの連打、リフ
暴虐性が強め
ちょっと演劇的、オペラティックなメロディ
からピアノのような音が入ってくる
ドラムは音の壁、音の雨、雨あられ
ギターがピコピコモードに、そこからボーカルの一人芝居的な、金切り声とグロールを交互に出してくる
間奏、猛烈な連打に対してメロディアスなギター、ツインリード、クラシカルなメロディ、イイね
全体的にクラシカル(バロック)な印象を受けるフレーズがこの曲は多い
変拍子の使い方が上手い
★★★★

9.Face of the Wormhole 3:42
かなりテクニカルなフレーズからスタート、ドラムは連打、ドラムの連打が特徴的
ボーカルが金切り声、この声は面白いな
けっこうユーモアがあるというか、3rdを聴て、いたずらっぽい音を入れるのがこのバンドの特徴かと思ったがこのアルバムはけっこうシリアス
もちろんところどころ本気だか冗談だか分からないパートはあるのだろうけれど
普通にかっこよさを追求しているというか、シリアスになってしまっている
ピアノのフレーズ
★★★☆

10.Gidim (Instrumental) 3:23
緊迫感のあるキーボードのイントロ
そこからヘヴィなリフが入ってくる
メロディアスなギターが入る
ドラムの激烈さ、バンド全体、すべての楽器の手数の多さが迫ってくる
★★★★

全体評価
★★★☆
6~7の流れは良かったけれど、全体的に魅力的なメロディが少なかった
3rd(Lugal Ki En)に比べるとちょっと微妙、期待が大きかっただけに残念
なんというかテクニカルに寄りすぎてメロディが無機質なわりに曲構成もあまり破綻していない
ハチャメチャさが生むユーモアか、あるいはもっとかっちりしたシリアスなカッコよさなのか
音楽的にパワーアップしているしすべての能力が上がっている気はするが
個人的には面白み、魅力が減ってしまったように感じた

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