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Bullet For My Valentine / Bullet For My Valentine

Bullet for My Valentineバレットフォーマイバレンタイン(しばしばBFMVと略される)は、1998年に結成されたUKはウェールズ、ブリジェンド出身のヘビーメタルバンドです。カーディフ(ウェールズの都市で、世界最古と言われるレコードショップがあるUK有数の音楽都市)の音楽シーンの一員とみなされており、最初はJeff Killed Johnという名前で、メタリカとニルヴァーナのカバーバンドとして音楽キャリアをスタートしました。バンドは、彼らの音楽はメタリカ、アイアン・メイデン、スレイヤーなどの古典的なメタルアクトの影響を受けていると述べています。

本作は3年ぶり、7枚目のスタジオアルバムで、バンド名を冠したセルフタイトルのアルバム。00年代以降のUKメタルシーンの中ではかなり成功したバンドで前々作は全米(ビルボード)8位・全英3位、前作も全米13位、全英17位と商業的成功も収めています。本作はセルフタイトルということでかなり力が入ったアルバムですがチャートアクションはどうでしょうね。ここのところ、コロナ禍のせいでライブができず、やはりロック系、メタル系は全般的にチャートアクションが落ちている印象です。ライブを通してファンを増やし、ライブの予習として新譜を買うというサイクルが弱くなっていますからその影響か。最近、UKメタルコアシーンも盛り上がっている印象なので、その筆頭格の一つであるBFMVがどれだけ持ち直すか。UKメタルシーン的には注目作です。と言いつつ、実はBFMVをきちんと聴いたことがないんですよね。メタルコア系はそんなに聞いてこなかったので、本作をしっかり聞いてみようと思います。

活動国:UK(ウェールズ)
ジャンル:メタルコア、ヘヴィメタル、スラッシュメタル、ハードロック
活動年:1998-
リリース:2021年11月5日
メンバー:
 Matthew "Matt" Tuck – lead vocals, rhythm guitar (1998–present)
 Michael "Padge" Paget – lead guitar, backing vocals (1998–present)
 Jamie Mathias – bass, backing vocals (2015–present)
 Jason Bowld – drums, percussion (2017–present)

総合評価 ★★★★☆

惜しい、中盤、5-8曲目ぐらいでテンションが下がってしまう。グルーヴィーでヘヴィな曲、モダンな曲が続くがあまりここが魅力的に感じなかった。ちょっと性急な、疾走するスラッシーな感じの曲が好み。このバンドならではの特性が出ていると思う。9~10の最後の流れは盛り上がる。ベストトラックは10で、それ以外は1,2,4,9がおススメ。ただ、いい曲はあるものの全体としてはなんとなく散漫な感じもしてしまうアルバム。バンドのポテンシャルは感じ取れた。個人的にはTriviumみたいな方が好みだなぁ。好みの問題だけれど。ようやくメタルコアも聞きなれてきて聴きどころとか盛り上がりどころはわかってきた感じはする。

1."Parasite" 5:40 ★★★★☆

ギターノイズ、ラジオのチューニング、ザッピングのように、各チャンネルが断続的に聞こえる。波長を合わせるかのようなSEが続く。性急なツービートが立ち上がってきてバンドサウンドが入ってくる。スラッシーな疾走だがボーカルスタイルはハードコア。高速メタルコア。ギターはザクザクしておりメタリックなリフを奏でる。この性急な疾走感はいいね。ツービートでスタスタいくのはUK(アイルランド)のGama Bomb感もある。途中からメロディアスなコーラスへ。ちょっとメロコア的なメロディ。全体的にちょっとUK的なひねくれた感じがある。こういう「UK的なメタルコア」って、案外The Almightyの「Crank」がかなり早い時期に確立した気がするのだけれど、その後の影響ってどうなのだろう。あまりこの文脈では語られないけれど。スウェーデンのEmtombedのデスエンロール(Death'n’Roll)も影響を与えている気もするが、その源流はMotorheadなのかな。

2."Knives" 4:16 ★★★★☆

こちらはちょっとグルーヴィー、Bring Me The Horizon(BMTH)感もあるがもうちょっと性急。スラッシー。改めてBMTHも聞いてみるかな。たぶん今のUKメタルシーンだとBMTHとBFMVが二大バンド、になるだろうか。アーキテクツも入ってくるか。ヘヴィネスが強めだが、Code OrangeやLamb Of GodなどUSメタルコア勢に比べるとどこかメロディアスなのと、このバンドは直情的な疾走感がある。ドラムがけっこうドコドコ感があるのもいい。突進力がある。

3."My Reverie" 4:42 ★★★★☆

ヘヴィネスさが増した。グルーヴィー。これはだいぶモダンだな。そこからクリーントーンだがダーク目な雰囲気を持ったボーカルパートへ。エモ的。うーん、でも音数が少ないというかなんだかテンションが下がったなこの曲。お、途中からギターが増えて壁感が出てきた。緩急か。音数が増していき緊迫感が増していく。そしてツービートというか疾走、スラッシーに。なんだか80年代、90年代初頭のスラッシュ感もあるな。曲構成といいプロダクションと言い、何かあの時代の空気感を持っているのは好ましい。出だしはあまり好みじゃなかったけれど間奏あたりから盛り上がってくる。けっこうフックのあるコーラス。

4."No Happy Ever After" 4:08 ★★★★☆

ドラムの連打から、ギターリフが入ってくる。これはいいオープニング。そこからパワーメタル的なリフに。ややアップテンポだが疾走までいかない、ミドルテンポ。ヘドバンに適したリズム。いいビートだ。脂が乗っているころのSlipknotみたいな体が動くリズム感。かなり硬派、アグレッションが高いトラックだがしっかりメロディアスなコーラスが入ってくる。ちょっとコーラスのメロディにもう少しひねりが欲しいが、90年代以降のUKロック的なメロディライン。どちらかといえば最初のリフが一番快楽性が高いな。

5."Can't Escape the Waves" 4:35 ★★★★☆

緊迫感があるサウンド、飛び回るサイレンのようなリフ。乱打されるドラム。蠢くベース。ボーカルパートになりやや低めの音程でだんだんとテンションを高めるボーカル。メロディアスなブリッジからコーラスへ。リフが入ってくる。演奏のテンションが高い。ただ、間奏以降、最後のコーラスのリフレインがやや冗長。惜しい。そこからリフに切り替わるところはスリリング。

6."Bastards" 5:25 ★★★★

ドラムの乱打、トライバルなリズム。アジテーションするような、遠くの方で響くスクリーム。そこからパレード的なボーカルへ。マイケミのブラックパレードを彷彿させる。マーチング的なドラム。2回目のヴァースではメロディアスなツインリードが控えめにリフを奏でる。メロディアスなパートが出てくる。アーキテクツにも近いな。悪くないけれどややメロディが単調に感じられてしまうようになってきた。

7."Rainbow Veins" 4:58 ★★★★

ややダークで控えめな歌いだし。そこからスローテンポで大きな音空間が広がる。途中からベースの動きが大きくなり、ボーカルの節回しが変わる。ギターが絡みつくように入ってきて、コーラスへつながる。こういうメロディはLinkin Parkのハイブリッドセオリー、メテオラで明確に確立されて、そこをなぞっているように聞こえる。メタルコアシーンにおけるあの2作の影響は大きいなぁ。

8."Shatter" 5:24 ★★★★

グルーヴィーな曲。ボーカルが畳みかけてくる。クリーントーンとスクリームが入り混じる。スローでモダンな曲。リフは耳を惹く。

9."Paralysed" 4:11 ★★★★☆

ちょっとリフに勢いが出てきた。おー、ビートも性急に。このバンドは性急なビートの方が魅力的というか持ち味が生きる気がするなぁ。中盤、ミドルテンポでヘヴィな感じで少しテンションが下がったように感じたがこの曲でテンションが戻ってきた。メロディアス、メロコア的な、いかにもメタルコアなコーラスだがバックでツーバスを軽快に叩きまくり、スクリームがテンションを上げる。やけくそなスラッシーさが好ましい。

10."Death by a Thousand Cuts" 4:24 ★★★★★

さらなるテンションアップ、ドラムの連打。テンションが高い。これは素晴らしい。こんな曲を作れるなら全編こんな感じでアルバム作ってくれたら素晴らしいのに。中盤のテンションダウンが嘘だったかのように素晴らしい曲。






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