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Turnstile / GLOW ON

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ターンスタイルは2010年に結成されたメリーランド州ボルチモア出身のUSのハードコアパンクバンドです。新感覚ハードコアと呼ばれ、ストリーミングサービスではハードロックとしても分類されています。メロディックハードコアなのでしょうか。Kerrang!で表紙を飾るほど人気のようです。

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本作は3枚目のアルバムで、マストドン、アヴェンジド・セヴンフォールド、エミネム、ジョナス・ブラザーズなどを手掛けたマイク・エリゾンドがプロデュース。UKのSSW、ブラッドオレンジも「Alien Love Call」と「Lonley Dezires」の2曲にゲスト参加。各種メディアでもほぼ絶賛という評価で、従来の音楽性をさらに拡張し、グランジ、ポストパンク、R&B、シューゲイザーの要素を取り入れているようです。参加早速聞いてみましょう。

活動国:US
ジャンル:ハードコアパンク、メロディックハードコア
活動年:2010年-現在
リリース日:2021年8月27日
メンバー:
 Brady Ebert – lead guitar (2010–present)
 Daniel Fang – drums, percussion (2010–present)
 Brendan Yates – lead vocals (2010–present)
 "Freaky" Franz Lyons – bass, percussion, vocals (2010–present)
 Pat McCrory – rhythm guitar (2016–present)

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総合評価 ★★★★★

カッコいい。15曲34分、1曲平均3分以下で駆け抜けるけれど、アルバム全体として夢と現実というか、ジャケットの通りピンクの雲のようなドリーミーな音像とストロングなハードコアサウンドが同居している。ただ、むやみとマッチョで攻撃的というよりはどこかしなやかで、平静な感じもある、激情に走りすぎないボーカルスタイル。1曲として何か突出しているというより曲が短いのでどんどんさまざまなシーンが切り替わっていく、といった作り。さまざまな音像が出てくるけれど一本軸がしっかり通っていて、聞いていてただカッコいい。基本的な曲構成はハードコアスタイルであり、ハードコア的なノリ、大きく体を揺らすビートが主体。ボーカルもメロディアスではあるが軟弱ではない。その硬派な質感を保ちつつ、どこか哀愁というか包容力というか、聞きやすさ、「より多くの人に伝えようとする意志」のようなものを感じる。また、ハードロック的な手法、ギターソロだったり、アリーナ的なリバーブであったりシンガロングなコーラスであったり、を違和感なく取り入れているのはうまい。あっという間に聞ける短いアルバムなので、何度も聞きたくなる1枚。

4曲つないだ短編映画的なショートムービーも発表されている。使われているのは次の4曲。

HOLIDAY - 0:00
NO SURPRISE - 3:13
MYSTERY - 3:58
T.L.C. (TURNSTILE LOVE CONNECTION) - 6:40

01. Mystery ★★★★☆

ドリーミーなシンセ音、夢へいざなうような音像をギターノイズが切り裂き、遠くで響くカッティングの後、バンドが入ってくる。暴れるハードコアリズム、ただ、ボーカルがメロディアスというかシンガロングなフレーズ。アリーナロック的な壮大さがある。ギターソロも入ってくる。ハードコアはソロは基本的にないので、曲構成やビートはハードコアだがスタイルはハードロック的。あと、1曲が短い。全曲ほぼ3分以下(1曲だけ3分4秒の曲がある)。

02. Blackout ★★★★☆

こちらもハードコアmeetsハードロックなスタイル、ハードコア的なリフ、ビートだがボーカルはメロディアスで極端な絶叫はない。ただ、ハードロックとはいえロックンロール的、アジテーション的な歌唱であり高音を駆使するオペラティックなものではなく、グロウルでもない。曲構成はハードコア。そこにメロディアスなシンセが空間を包み込むように入ってくる、多少シューゲイズ的。ブレイクダウンパートが入る。ただ、メタルコアよりは軽やか。最後少しトライバル的なパートへ。

03. Don't Play ★★★★☆

疾走ハードコア、と思わせて、すぐにリズムが変わる。ダンスパンク的な、ラテン音楽の影響も感じるビートに。アジテーショするボーカル。短い曲の中にストーリーがきちんとある。ボーカルはそれほどメロディアスなわけではないが、音像全体の緩急、バッキングのメロディが効いていて全体としてフックがある。ギターソロも入ってくる。間奏部分、ビートが変わったリズムとソロが絡み合うのはワイルドハーツとかテラービジョンとか、90年代UKハードロックのひねくれた感覚にも近い。

04. Underwater Boi ★★★★

テンポが速い、なにしろほとんど2分、下手すれば1分台の曲もある。この曲は最長の曲でそれでも3分4秒。全体としてはフックが合って聞きやすさも感じるものの曲そのものはハードコアマナー、で、メタルほどの重厚さはない。ハードコアの持つフレッシュさというか瞬間の煌めき感を持ちつつ、ハードロックやメタルが持っている鑑賞音楽としての完成度、練られた曲構成を持っている。この曲はややドリーミーな雰囲気を持っていてドリームポップのような感じ。ギターソロも入ってくる。ただ、曲全体から受ける印象はあくまでハードコアバンドのそれ。

05. Holiday ★★★★☆

デジタルっぽい反復するリフが遠目で鳴っている、と思ったらそれをバンドが入ってきて轟音でなぞる。緩急がはっきり出ている。シンガロングなボーカルメロディ。メタルコア的なリズム。かなり展開するリフ、これは最近のメタル、同じプロデューサが手掛けたA7Xやマストドンっぽさもある。あくまで曲構成全体としてはハードコアの中で、各種いろいろな音像を取り入れている。なるほど、ハードコアも(メタルと同じように)純粋なサウンドスタイルであり、入れ物としての可能性を秘めているんだな。

06. Humanoid / Shake It Up ★★★★☆

ポップパンク的な、いや、これこそワイルドハーツ的な、コール安堵レスポンスのオイパンク的なメロディからどんどん展開してねじくれたリフが入ってくる。ただ、USのバンドらしくカラッとしている。曲が短い(1:58)のにしっかり展開する。

07. Endless ★★★★☆

80年代ハードコア的な、力任せのコード進行、そこにちょっとスケール感のあるボーカルラインが乗る。面白い。ハードコアっぽさを失わずに洗練させ、普遍性(とはいえ激烈さはあるが)を手に入れている。

08. Fly Again ★★★★☆

ピアノフレーズ、魔法のような音。それを切り裂いてリフが来るが、ちょっとレイドバックしたギターの音、サーフギターみたいな音が残る。ミドルテンポで大きく体を揺らすような力強いリズム、ボーカルスタイルも特異で、声を荒げるわけではないから聞きやすいのだがアジテーション、激烈さを失っていない。素直に発声しているというか。叫ばず、少し脱力したような感じでうまく熱を逃がしながらも力強さがある。

09. Alien Love Call (feat. Blood Orange) ★★★★

揺れるコードカッティングの音、スローテンポのバラード、いや、R&B的なスタート、ボーカルが朗々と歌っている。揺れるギター音がちょっとサーフギター、60sエレキインストっぽい。メロディアスで透き通るようなボーカルが重なっていく。ジャケットの通り、ピンクの煙に包まれるようなドリーミーな曲。後半、語りのようなパートがあり、夢見るようなシンセサウンド、夢の中を表すようなSEに吸い込まれていく。

10. Wild Wrld ★★★★☆

スロウダウンした前曲の余韻を切るように轟音が入ってくるが、すぐにひいてかなり隙間が増える、余白のあるリズム、からのハードコアスタイルでバンドが走り出す。スケーターっぽい疾走感がある。ミクスチャースタイルで少しスラッシー。シンガロングで初期モトリーのようないかがわしさもある。単にWildと叫ぶから「Wild Side」を連想するだけかもしれないが。でもモトリーも初期はハードコア的な疾走感もあったからね。

11. Dance-Off ★★★★☆

ミドルテンポで進んでいくが、かなりねじ曲がったリフ、ひねくれたコード展開。ポストパンク的な展開。やけくそ感がありつつ曲全体としては整合性が取れている。グランジのサウンドと曲構成。ダンスグランジとでも言える音像。

12. New Heart Design ★★★★★

最初だけハードコア的な音から、ファンキーなシティポップのような音像に。いきなり変わるな。洗練された、コンテンポラリーR&Bの影響も感じるようなメロディ、からギターがしっかりかき鳴らされるコーラスへ。その後のヴァースではファンキーなカッティングに戻る。これは面白い。Dead Kennedysみたいな実験精神とポップさを感じつつ、曲の洗練度合いというかそうしたものが格段に増している。最後ギターポップ的な音像で終わる。最後、子供が「父さん、帰ってきて、愛しているよ」と話している声で終わる。

13. T.L.C. (Turnstile Love Connection) ★★★★☆

シンプルな疾走曲、TLCと連呼する。ビートが変わる、行くぞ!的なビートだがここでシンセビートが入り、そこからまさかのハードロック、アリーナロック的なビッグビートへ。またストロングさを取り戻し、かっちりしたギターの刻みの上でボーカルが乗る。これはふり幅が大きい。

14. No Surprise ★★★☆

一番短い曲(45秒)、ドリーミーなシンセサウンドの上にボーカルが乗る。この「ドリーミーさ」はこのアルバムの特徴かもな。ジャケットも含め、なにか夢見ているような感覚と、現実的な力強いハードコアサウンドが両立している。インタールード。

15. Lonely Dezires (feat. Blood Orange) ★★★★

力強く疾走するハードコアサウンド。その上に踊るようなボーカル、ゲストだろう。メロディアスなフレーズをゆったりと展開する。ハードコアサウンドの上でボーカルだけが浮遊している。そのままあっさりと潔くフェードアウトしていき、ドリーミーなシンセ音がまた入ってくる。そのまま終わりかと思ったらバンドサウンドが戻ってくる。夢と現実がぶつかり合いながらアルバムが終わっていく。

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