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『SeaBed』聖地巡礼記⑨福岡編

今回紹介する聖地は、東京・大阪から遠く離れた福岡県である。しかし正直、聖地と言える聖地が本当に一箇所しかない。それが終章「旅立ち」より、貴呼と繭子が一緒に旅行に出かけるシーンに出て来るこの場所だ。

聖地特定がかなり難しい場所だった。
同じ画角では撮れなかった。というのも…。
2023年1月に事業終了する、ぱしふぃっくびいなすが寄港していたためだ。巨大な壁だった。

ここは、福岡は北九州にある門司港である。背後にある大きな橋を関門橋と言い、九州と本州を繋いでいる。正直、これまでの聖地の多くが関西圏(大阪・兵庫・岡山)であったことを考えると、この門司港はやや異質な位置にあると言えると思う。もしも港の写真だけが必要なのであれば、近くの神戸港でも良かったような気がする。以下、少しこのことについて掘り下げてみたい。

まず、第五章の「夕食と噂」にて、繭子が話題に上げる「喫茶店のおじさん」と、第八章の「安ホテルと喫茶店」で楢崎が出会う喫茶店の店主はおそらく同一人物だろう。どちらも「世界旅行中の蒸気船が港に停泊する」という話を共通して行っており、また楢崎は商店街の近くに船着場があることを教えて貰っていたりするため、いずれにしても舞台の「近く」にあることを考えると、直感的には神戸の方が近いような気がする。

第五章より。かなり何気ない会話だが、終盤に関わる重要なシーンだ。
第八章より。何気にこの会話の前後で楢崎は飲酒運転をしている。

しかし他方、門司港にもそれなりの理由があるようにも思える。まず、歴史的に門司港は海外貿易の港として栄えていたという事実がある。次に、第八章で楢崎が床屋で出会った店員に、自身が九州出身である(こちらは理由としてはやや弱いが)と告げていたこと、そして最後に、第三章「画廊」での貴呼と繭子の次のやり取りが挙げられる。

素直に考えると別府辺りだろうか?一応門司港から小倉経由で別府まで1時間半ほどで出れるが…。
門司港が名指しで挙げられるシーン。覚えている人はいるだろうか。

たったこれだけしかないが、門司港の名前がここで挙げられている(とはいえここから門司港に辿り着くにはあまりに距離があるように思うが)。しかし、物理的な距離の近さをさておいても、門司港が物語の終結部において取り上げられる理由とは何だろうか。そこには作者の気まぐれでなければ、それ相応のメッセージが込められていてもおかしくはないと思うが、今のところその理由は判然としない。別に「門司港」でなければならない理由がないように、「神戸港」である必然性もないためだ。

そして、上記以外に門司港を思わせるような要素は、作中では存在しないと言っていいだろう。バナナの叩き売りは、門司港が発祥の地と言われており、実際にそれにまつわる石碑があったのも確認したが、それ以外の名所はいずれも無関係のようだ。

門司港駅の広場付近にある石碑。

本当にこの門司港の一点しか聖地が存在しないため、よほどの理由がない限りはここだけを狙って来るのはオススメできない。他にも聖地が一箇所しか存在しない場所に北海道があるが、これらの場所は、何か別の目的があった上で行った方が良いだろう(以下、せっかくなので門司港散策の記録を載せておく)。

門司港の観光地。やはりバナナ由来のお土産が多かった。
門司港名物の「焼きカレー」。
バナナビアは意外にも美味しかった。
タイ国王妃殿下ご来店・絶賛とあった店の隣には…
「上戸彩さん大絶賛」とある焼きカレー屋が。門司港では、タイ国王妃殿下VS上戸彩の奇跡のマッチが勝手に開催されていた。

次回はいよいよ、最大?の山場である立山・黒部編となる。かなり多いので前編・後編とに分かれるだろう。

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