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「表層の現象」を求めて シマカミリッカ

「幾何学紋様」には終わりがありません。
同じ操作を繰り返すことで、同様のパターンを無限に繋ぐことができます。
空間に限りがなければ、それは永久に繰り返す事ができます。
古代の人々がその「幾何学紋様」というパターンに気づいた時、それは人類の認識を超えた遥かに「大きなもの」への憧憬を紡ぎ出す手がかりとなりました。

日本というエリアで考えても縄文土器に刻まれたパターンは、「大きなもの」へのイメージを身近にしたことでしょう。
そして大陸との交流によって様々なパターンが取り入れられ、それらは時に宗教的な意味を持ち、時に着物や器に描かれてファッションとしても親しまれてきました。
またそれらのパターンには「縁起もの」としての意味が付与され「伝統紋様」として伝えられているものも現代に多く残されています。

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シマカミリッカ『Vase Room』

これらの「伝統紋様」のパターンそのものに新たな価値を見出し、ユニークなアプローチで絵画作品として表現する作家が、今回ご紹介するシマカミリッカです。

シマカミリッカは現在鹿児島にて陶器の絵付師としても活動しており、その技法を平面作品に転用してモチーフが緻密に絡み合う重層的な作品を描き出しています。

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シマカミリッカ『Vase Room』(部分)


「いっちん」と呼ばれる陶器の絵付技法から着想を得て描かれる、盛り上がった紋様がまず目に映ります。
表層に描かれた幾何学紋様はパネルの外への拡張可能性を示しながら、そしてその奥の様々なモチーフが平面空間の向こう側へと連なっていく事で、パネルの大きさに関わらず、観る者には実際よりも大きく深い連なりを想起させます。

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シマカミリッカ「Bouquet」

シマカミリッカとの出会いは2018年の神戸アートマルシェでした。
ホテルの1フロアを使って開催されるこのアートフェアでは毎年「Artist Meets Gallery」という公募による新人発掘イベント、いわゆるギャラリーと新人作家のマッチングイベントも行われています。シマカミさんはその新人作家の一人でした。
神戸アートマルシェ実行委員でもある白白庵代表・石橋圭吾が司会をするオープニングレセプション。ここで参加作家によるプレゼンとギャラリーのマッチングも行われます。
本来、「この作家を取り扱いたい!」と手を挙げるのはギャラリー代表者の役割なのですが、石橋は司会もしている事だしこれで誰も手を上げなかったら僕が勝手に名乗りを挙げようかと考えていました。(さらには同席していた白白庵からの出展作家たちも「あのシマカミはすごいぞ。」と盛り上がっていました。)
そしてシマカミリッカのプレゼン直前に司会をしていた石橋さんが僕に近づき「俺は司会をしなきゃいけないから、次のシマカミの番で青山君が手を挙げてくれ」とそっと耳打ちをしたのです。
(結果は複数ギャラリーからの大注目でした。)

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シマカミリッカ『祥瑞ROOM』

そんな形でスタートしたシマカミリッカと白白庵のお付き合い。
2019年以降、様々な白白庵企画でメインビジュアルを担当、作品出展をして頂いています。

白白庵ではいわゆる「工芸」とされる領域の取り扱いも多く、茶ノ湯文化を主軸に様々な「しつらえ」を試み、紹介しています。
シマカミ作品単体としての魅力もさることながら、多くの工芸作品との親和性、うつわたちと共にしつらえた時に心地よく馴染みます。

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シマカミリッカ「表層」

作品所有者が絵画作品を飾るのは実際の住空間です。
そこには家具があり、うつわがあり、諸々の生活道具があります。
「その空間にあるべきもの」として落ち着く力は単純に作品のモチーフや技法が陶磁器のものを転用しているという点のみには収まりません。
無限に連なる紋様がパネルの外側にまで続くような、伸びやかで自由な気配をその空間にもたらします。

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シマカミリッカ「仏Ⅰ」


近年、シマカミリッカが新たに取り組むシリーズが「仏画」。
その時代のあらゆる技法を駆使して描かれた仏画に施された装飾の数々。
そこに与えらた装飾そのものに深い興味を抱いたシマカミリッカは、「何でもない顔や姿」に装飾を施す事で「仏画」として表現します。

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シマカミリッカ「仏Ⅳ」

表層に描かれた装飾そのものが本質的な現象として立ち現れる可能性を追い求めるアプローチはこれまで描いた作品シリーズと同様です。
模様の連なりとその立体的なテクスチャーに強く心惹かれ、理想の模様と質感を追い求め描き続けていると彼女は言います。


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シマカミリッカ「As Painting【IMARI】」

そして最新作では盛り上がったレース生地の上に絵柄を描き込む事で、これまでの作品と異なる表層の反転が起きています。
立体感と平面的なモチーフが絡み合う事で生じる新たな現象をシマカミリッカは追い続けるのです。

白白庵オンラインショップではここでアップした画像よりもたっぷりとその表層をご覧頂けます。
どうぞ隅々までお楽しみください。

白白庵オンラインショップ シマカミリッカ作品一覧はこちら

シマカミ リッカ SHIMAKAMI Rikka

絵描き / 鹿児島県在住

【略歴】
1991 愛知県生まれ
2014 愛知県立芸術大学油画専攻 卒業
2015 京都府立陶工高等技術専門校図案科 卒業
2015~現在、鹿児島県にて絵画制作と薩摩焼(陶器)の絵付けに励む

「絵画と伝統美の要素を用いて作品へと昇華させます。 」


Painter / Resident in Kagoshima pref.

【Brief Personal History】
1991 born in Aichi
2014 graduated from Aichi University of the Arts Oil Painting Division
2015 graduated from Kyoto Prefectural Ceramics' Technical Institute Pottery Design Course
2015~ Present Concentrate on painting and decorating ceramics (Satsuma ware) in Kagoshima Prefecture

" I sublimate the elements of painting and traditional beauty into artworks. "

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白白庵 マネージャーPAKUPAKUAN Maneging Directorhttp://www.pakupakuan.jp/japanese.html

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