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誰も教えてくれない、友達の作り方(社会人編)

社会人になってから、いかに友達を作るのが難しいのかということを痛感している。僕が同棲している彼女は、社交的で友達が多く、初対面の人ともすぐに打ち解けることのできる人である。そして、彼女は何故か彼女の友達と、僕を仲良くさせようと画策する。彼女の友達と、その彼氏と、4人で遊ぶということが、これまで何ケースか。僕はその度にオロオロして、毎回、自分の不甲斐なさを感じてしまう。僕も、もう28歳となり、いつまでも人見知りだなんて言っていられないし、友達だって欲しい。そう思っているのに、初対面の人、特に同性となると、知り合いのラインを超えて、友達になるということができないのである。

学生時代の頃だって、友達を作るのは苦手だった。だが、思春期の男の子なんて、ち○ち◯を連呼して、ち◯ち◯を掴み合いさえすれば、すぐに友達になれた。だが、どうだ、社会人になって、そんなことをしたら、すぐに御縄である。コンプライアンスの厳しい昨今、僕の得意な下ネタコミュニケーションが封じられてしまった。だから社会人になってからの僕は、真面目な仕事の話か、何の変哲もない普通の世間話(休日何をしているか?みたいな聞かれても何と答えていいのかわからないような話題や、今日天気いいですね、みたいな何の会話の広がりもできない話題)しかできず、ただでさえ口数の少ない人間だったのに、その口数の少なさに、さらに磨きがかかってしまった。

そんな僕を思いやってか、彼女は僕に友達を増やそうとしてくれる。先日、彼女から「同期のNちゃんに最近彼氏ができたんだけど、一緒に遊ぼうよ。」という誘いが。初対面の人とのコミュニケーションに貴重な休日の時間を当てなければならない状況を、何とか回避しようと、どっちつかずな回答をしていると、彼女から「Nちゃんの彼氏も友達少ないみたいだから、友達が欲しいんだって、安田くん友達になってあげて」という謎のお願いが。いや、絶対、Nちゃんの彼氏も僕と同じで、狭く深い人付き合いをする人で、友達欲しがってないって、それに、"Nちゃんの彼氏も"ってなんだ、僕が友達少ないってことを暗にディスっているのかと思ったが、そんなことを言えるはずもなく、「あ、うん、友達欲しいねぇ」となんか本当に友達が少なくて、寂しいやつみたいな返事をしてしまったが故に、週末にNちゃんと、その彼氏が我が家に遊びに来ることになってしまった。

そして週末、Nちゃんとその彼氏のS君が、うちに遊びに来た。Nちゃんは明るくよく喋る子で、S君は友達が少ないという情報通り、自分と同じ匂いがした。会話の軸は、女性陣に任せつつ、僕らは4人でスマブラをして、マリオカートをして、たこ焼き作って、なんだかんだ6時間くらい一緒に過ごした。6時間もあれば、多少はお互いのことを知れてくる。ただ僕は彼女から、S君は1つ歳上らしいという話を事前に聞いていたこともあり、S君には、謎に敬語とタメ語が混ざった日本語を喋ってしまっていた。距離感が難しい。年上だから敬語で喋った方がいいのか、1つ位しか違わないのであれば、むしろタメ口で距離感が近い方がいいのか。さらに言えば、なんて名前を呼べばいいのか・・・。この6時間一緒に過ごしていて、気づいたことなのだが、人の名前を呼ばないとコミュニケーションが取りづらい(今更感)。グループでいれば、何となくコミュニケーションが回るのだが、やはり名前を呼ばないと、話を振ることができないので、その人と1対1でのコミュニケーションができない。名前を呼ばずに話を振ろうものなら、急なキラーパス感が出る。ロナウジーニョが、背面へノールックで、ヒールパスを出すようなものだ。そんなパス、心の通じている人でないと、パスがうまく繋がらないのだ。そんな状態を察してか、僕の彼女が、「S君のこと、なんて呼べばいいかな?」と聞いてくれた。これがコミュ力というやつだ、勉強になる。S君は彼女であるNちゃんから、"ちゃん"付けで呼ばれていたので、それがしっくりくると思い、僕もSちゃんと呼ばせてもらうことにした。僕も、"ちゃん"付けで呼んでもらったら?と彼女は提案してくるが、男2人がお互いに"ちゃん"付けで呼んでいたら、変な感じがするので、僕は"無天"と下の名前で呼んでもらうことにした。

そんな会話を終えて、最後にと、僕らはまた、マリオカートをやった。名前の呼び方を確認し終えた僕たちは、互いにお互いの名前を呼びあってゲームしていた。「舞天に邪魔された」「Sちゃんには敵わない」。初対面の人に、呼び捨てで、下の名前を呼ばれるのは、くすぐったい感じがするが、悪い気はしなかった。最初にやったマリオカートよりも確実に白熱していたし、本当に友達になっていた気がした。気づけば、あっという間に日を跨いでいた。僕らは、きっとお互いに何か手応えみたいなものを感じて、名前を呼び合って、バイバイした。
社会人になって友達作るのが難しいと思っていたけれど、大切なのは、名前を呼ぶことなのかもしれない。そんな小学生の日記みたいなことを書いてしまうのでした。


ムムム。