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東芝テックで得た事と、セーフィーにかける思い

はじめての投稿になります。佐々木と申します。
22年の3月よりセーフィー株式会社にジョインし、デザインセンターにてディレクター職で働くことになりました。

長年勤めていた会社からの転職という自分の人生の中でも大きな節目となる機会でもあるので、これまでの経歴や振り返り、それを通して得たことや見出した自分のポリシーなどをまとめてみました。

情報デザインと出会った学生時代

デザイン、特に情報デザインに出会ったのは大学生のときでした。それまでは”デザイン=見た目の良さ”という認識でしかありませんでしたが、情報をどう伝えやすくデザインするかという”情報デザイン”というジャンルがあることを知り、とても興味が湧いたことを覚えています。

授業でも”ドナルド・A・ノーマンの誰のためのデザイン?”を教科書に、ドアノブや空港のサイン、ソフトウェアのインターフェースなど、どのようにしたらユーザーが迷うことがなくスムーズに使えるか・理解できるかを学びました。インターフェースのデザインを通して"より便利な製品・社会を作ること"ができるんだという可能性にワクワクしました。

しかし、当時は情報デザインが活かせる職種も多くはなく、UIデザインがやりたいという気持ちだけで、稚拙ながらも自分たちで制作・デザインしたソフトウェア・UIのプロトタイプを持ち込み、ダメ元就活の面接を受けていたことを覚えています。

東芝テックの応募では、もともとデザイナーの募集口は空いていない(美大中心のリクルートだったので)と聞いていたため、少しでもインタフェースに近い職種ということでプログラマー希望で面接を受けました。幸いなことに配属発表でデザイン部・UIグループへの採用が決まり、熱意持って動いていれば奇跡って起きるんだなと実感したことがあります。

世に出す喜びを知ったUI/UXデザイナー時代

東芝テックはPOSレジなどの流通機器、複合機と呼ばれるオフィス向けのプリンターなどを製造・全世界に向けて販売している企業です。顧客としても大口のお客様も多く、普段の生活でも自分たちの製品を目にする機会は多々あります。

デザイナーとして、スーパーマーケットで使われているセルフレジや、コンビニ向けのPOSレジ、クレジット決済するための決済端末はじめ、プリンターや製造工場・倉庫で使われるRFID(ICタグ)関連の製品などと、数多くの製品に携わりました。

得た・学んだこと

  • 自分の仕事が世に出る喜び
    東芝テックのデザイナーとして働いた中で、一番良かったと思えるのは、やはり"自分がデザインした製品が実生活の中で使われること"です。
    スーパーやコンビニに行くと自分のデザインした製品を店員さんが使っていたり、自分で使ってみたりする機会に出会うことができ、学生時代に憧れていた"より便利な製品・社会を作ること"を実現できているという実感を得れるのが一番良い経験でした。両親や家族にも自分がどのような仕事をしているか伝えやすかったですし、子供にも自慢できたのは東芝テックならではだと思っています。
    一方、ユーザーからのダイレクトなフィードバックも得やすく、親族から"あのレジ使いにくい"といった直接的な言葉や、POPという操作説明を示すシールがレジ本体にペタペタと貼られる経験をしました。ユーザビリティテストなどを十分行っていても現実の環境では情報リテラリーの有り無し含め様々な方が使うので、自分たちの想像以上にスムーズに操作できるデザインとは何かを突き詰めなければならないなと肌で感じました。

  • 限られた制限の中でデザイン
    UI/UXと一言で言っても製品開発との関わり方は様々です。製品の初期段階から関わることもあれば、大枠の仕様が決まっていてその中で使いやすいデザインを実現しなければならない状況、マイナーチェンジのためほとんど仕様が変えられなくちょっとした見た目の変更しかできない状況など依頼は様々です。
    ただ、依頼された通りに仕事をこなすだけでは"より便利な製品・社会を作ること"を達成することが難しい状況にも遭遇します。現場のSE・技術者の方が必死に作った仕様だったとしてもユーザー視点に立てていないことはままあるので、その仕様を鵜呑みにすることはせず、一度は"こちらの操作性の方が使いやすい"という提案はした方が良いと実感しました。予算やスケジュール、またOSやライブラリの関係から実現できないこともありますが、提案することで依頼側が考え直してくれ設計を見直してくれたという経験をしたこともあります。
    制限があることは分かりつつも、その制限の中で、または制限を少し超えて提案していく姿勢が大事だと気づきました。

  • 生活・仕事を豊にするためのデザイン
    先程まではどちらかというと少し堅めの内容でしたが、デザインである以上、導入して嬉しいという所有感や、使っていて楽しいという高揚感を演出する役割も担っています。B2Bの製品のためデザインが導入決定の大きな要因になることは少ないとは思いますが、現場の方が普段接する製品となるため、店舗の雰囲気に合わせた佇まいの筐体・UIデザインであったり、毎日使っても飽きない操作がちょっと楽しくなる工夫とを取り入れる必要があると思います。ただ、プレゼンテーション含め顧客や関係各所にその良さを理解いただくために"なぜそのデザインであるべきか”という理由が説明できる論理的な視点もとても重要です。パッと見で良さが伝わらなくても、説明や謳い文句でそのデザインである理由・メリットを伝えられると顧客の印象もガラリと変わったりすることもありました。

ビジネスの厳しさを知った新規事業部

デザイン部門では幸運なことに色々な製品に携わることができ、本当に良い経験ができたと感謝しています。ただ、UXを突き詰めて考えていくと製品企画・サービス設計の上流から関わる必要があると感じ、新規事業部への異動を願いました。

新規事業部ではこれまでと打って変わって社内・社外関わらず多くの方とコミュニケーションする機会が必然的に増えました。実務としてUI/UXを活かせる場面は多くありませんでしたが、顧客・パートナー企業・現場担当者・ボードメンバーなどなど、様々な方へプレゼンテーションしたりネゴシエーションを通じて、デザイナーとはまた違った意味で色々な経験をしました。文字にしてみると当たり前とも思えるようなことですが、肌で実感できたという意味では稀有な経験をできたと思っています。

得た・学んだこと

  • 利益・市場規模・トレンド
    ごく当たり前のことですが、ビジネスとして成り立つためには利益を出し続けられるビジネスモデルである必要があります。顧客のペインであってもお金を払ってまで解決したい課題でなければ事業継続できませんし、会社としても投資判断が通りません。営利目的である以上この視点は避けて通れない課題となります。一方、いくら市場規模が大きくても腹落ちできていない内容であれば関係各所が中々動いてくれないという経験もしました。デザイナー時代はどちらかというと数字に関わることが少なかったため、簿記や統計の勉強するきっかけにもなり自分のキャリアとしては良い転機だったなと思います。
    最終的には数字を示して合意を取る必要があることを念頭に置きつつ、提案やディスカッションを進めていく姿勢を得れたと思います。

  • 人との繋がり・協力関係
    こちらも当たり前のことですがビジネスは一人では成り立ちません。企画・営業・開発・アフターサービスやバックオフィス、様々な職種の人が協力して会社が運営されています。既存ビジネスであればある程度決まったルールがありその延長線上でスムーズに進むケースも多いと思いますが、新規ビジネス・サービスの場合、関係各所も経験してないような内容だったりすることがままあります。
    そのような暗中模索状況の中でも話を聞いてくれ協力してくれる人を得るためには普段のコミュニケーションが重要だとひしひしと感じました。人によっては鼻から否定的な態度で望んでくる方もいますが、人間関係を通じて建設的な議論、または協力してくれる方も現れます。利益などの数字面も大事ですが、何かを始めるときにはウェットな人間関係が作用して事が動くんだなという経験もしました。

  • Win-Winを意識したコミュニケーション
    デザイナー時代はどちらかと言うと口下手でコミュニケーションは苦手な方だと自認していました。新規事業部門にて否応にもなくコミュニケーションやプレゼンテーションを行う機会が増え、場慣れしたというのもありますが、何かパターンというかコツみたいなものも見出しました。プレゼンテーションや打ち合わせも1つのツールだと認識すると、そのツールを活用して見出したい目的・目標があるはずです。その目的・目標を明確にした上で聞き手の考え・思いを想像し、相手が興味持ってもらえるような提案ストーリーや資料を準備しディスカッションを行う・・・取り組む内容は違えど、その根底にあるエッセンス的なところはUI/UXデザイナーと共通する点があるなと感じました。
    また、資料作りでも1スライド1スライド何を伝えたいのか整理し、リード文を設定したり、パッと見で概要が理解できる図解などデザイナー時代の経験が活かされ、同僚などから"とても分かりやすい”と好評を得ました。

セーフィーにかける思い

東芝テックにてデザイナー・新規事業と充実した日々を過ごしていましたが、元々あった"UI/UXの知見を活かしながら上流から関わりたい”という思いがふつふつと再沸騰してきました。この思いを達成すべく新しい企業探しを行う中でセーフィーの事業内容・企業姿勢にとても興味を持ち応募いたしました。
実勤務はこれからになりますが、現時点での思いと言いますか可能性を感じているところをまとめてみようと思います。

  • 映像のプラットフォーム
    世の中ではAI・自動化が大きなトレンドです。Amazon Goを始め小売・流通業界でも画像認識への興味は一つの大きなジャンルになっていると思います。セーフィーでは"映像から未来をつくる"というビジョンの元、使いやすく連携しやすいクラウドカメラを提供することで、他社との連携を通じ様々な業種・業態へソリューション展開を行う事業方針に強く共感しました。
    AIベンダーは数多く存在するものの、その元データとなる映像を入手するというハードルは依然として大きな課題になっていると想像します。セーフィーでそのハードルを下げ、様々な場面で映像を通した自動認識ソリューションが実現できると"より便利な製品・社会を作ること"の一助になる可能性を強く感じました。

  • これまでの経験・ドメイン知識が活かせそうなこと
    セーフィーでは映像という業種・業態を問わない製品特徴がありますが、1つの業種セグメントとして小売・飲食ドメインが設定されています。長年小売業界で勤務していたため、その経験も活かしつつ新しいことにチャレンジできそうな親和性を感じました。その他、建設業界などこれまで触れてこなかった業種にも関われる可能性にもワクワクしています。

  • UI/UXを通じてより便利な世の中を実現すること
    画像認識やAIと言いつつも普段の人々の生活の中で使われるソリューションのため完全な無人化まではまだ時間がかかり、人が介在して確認や判断する場面は必然になると思っています。様々な情報リテラシーの方が使うような状況の中で、より使いやすく選んでもらいやすい製品を作るためには"UI/UXが重要な差別化”になると信じています。自動化という最先端の技術を駆使しつつ、業務を素早く完遂するためのつなぎ役という意味でのインターフェースデザインをこれからも意識しながら働いてきたいと思います。

おわりに

文字化してみると、あれも書きたい・これも書きたいと色々なことが出てきましたが、今回はこれまでの経験を通してUI/UXやビジネス感に影響を与えてくれたこと・学んだ内容をまとめてみました。プレゼンテーションのコツなどもっと掘り下げることができる内容は改めて別の記事で投稿してみようと思います。

これまでのデザイナーや新規事業で得た知識・経験を直接的・間接的関わらずディレクターという職種で活用し、"より便利な製品・社会を作ること"の実現に向けて精一杯努力していきたいと思います。


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