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【他の人よりチョット詳しくなれる】フィンランドの教育史


私はフィンランドの教育『Phenomenon-Based Learning』について研究しています。




研究の過程で見えてきたのは…




教科横断的な学習


異年齢学習集団の編成


教育の平等性の追求




フィンランドはこれらの点で世界的にみて先進的な取り組みを行なっているようです!





では、そんなフィンランドの教育の構造はどうなっているのでしょうか?


教育史の視点から見てみましょう!


特に平等性の真髄が見えてくるのではないでしょうか?





1155-1809年



スウェーデンによる統治時代



土地:スウェーデン領


公用語:スウェーデン語
(ちなみに現在は、フィンランド語、スウェーデン語、サーミ語が公用語。)


宗教:スウェーデンと同じ、キリスト教のカトリック


教育制度:スウェーデンと同じ




教育を受ける権利は、特権階級のスウェーデン人のみに与えられた。


ちなみに、ラテン語で教育は行われた。




1809-1917年



ロシア支配下の自治体公国時代




1850年代にかけて、徐々にスウェーデンによる統治時代の制度が廃止されていった。


1860年代以降は、公立の6年制初等教育機関が設立された。




そして、なんと!




すべての国民無償で教育を受ける権利が与えられた!




ただし、就学率約30%だった…。





1917-1968年



1917年:フィンランド独立!


1921年:6年間の民衆学校(≒小学校段階)教育が義務化


ちなみに、就学率約60%



1943年:戦争中であるにもかかわらず、小学校へ通う児童に無償学校給食が提供された!

すごい!





1968-1991年



1968-1970年:進学コースと職業コースに分岐していた義務教育を基礎学校として一本化!


1977年:フィンランド全土で基礎学校の設立9年間の義務教育の制度が整った




1991-現在



1991年:教育の地方分権化


これまでは国による厳格な中央管理と外部統制があった。


カリキュラムやシラバスには、学校の検閲、必須事項、禁止事項等が詳細に決められていた。



それが!


地方自治体と学校が中心となって行うことができるようになった!



まさに!


ボトムアップ型の教育!




それから…


2001年:小学校入学1年前すべての子ども無償就学前教育を受ける権利を得た



2015年:就学前教育の義務化






参考文献


Aho, E., Pitkänen, K. and Sahlberg, P.『Policy development and reform principles of basic and secondary education in Finland since 1968 』The World Bank 、Education Working Paper Series No. 2、2006。



石井三恵「フィンランドの教育におけるコミュニケーションのあり方-PISA調査結果と1970年代までの教育改革を中心として」『広島女学院大学論集』第56集、2006、pp.19-35。



北川達夫、髙木展郎『フィンランド×日本の教育はどこへ向かうのか』三省堂、2020。



Sahlberg, P.『Finnish ED Leadership』CROWN、2018。






フィンランドの教育史を調べる…



私はフィンランドの教育史について調べるのに思いのほか時間を使いました。


歴史的背景をどう捉えるか


どう解釈するか


地域(例:ヨーロッパ)や他の国(例:スウェーデン、ロシア)等の歴史とどう結びつけて理解するか




難しいけど、物事を知る際には歴史を学ぶことは欠かせないですよね…!

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