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【他の人よりチョット詳しくなれるフィンランドの教育】Phenomenon-Based Learningの実践②


前回に引き続き、今回もフィンランドで行われたPhBLの実践を文献からご紹介します!



PhBLについての教師の意識


基礎学校2年生と3年生におけるPhBLの実践を通した、教師のインタビュー調査の結果があります!


調査時に児童らは「安全の現象(safety phenomenon)」について、


グループに分かれ、毒物や交通、消防士などについて学んでいたそうです。


教師らの見解では、2年生と3年生の児童の一部では独自に学習を進めることができる者もいるようで、


自己中心的な一面もある一方で、グループでプレゼンを作成する能力もあるとのことです。


独自に学習を進めたり、グループでプレゼンを進めることが困難な子でも、


教師と協力したり、教師からの支援を受けて学習は進められたそうです。


つまり、児童間での協働だけでなく、教師も同様に、協働して学ぶ仲間であると捉えることができそうです!



Naik(2019)より



PhBLの教材研究


同じく、インタビュー調査の結果があります!


基礎学校8年生(日本では中学2年から3年)において、


英語、化学、生物、芸術、地理の教師が協働して取り組んだ、


アントレプレナーシップ、生態系、環境に関するプロジェクト学習についてです!


実践の準備段階、言い換えるならば教材研究段階についての記述があります。


教師たちは、この学習に関するトピックについて、生徒たちに話をするために、家畜を飼育している農場へ行き、そこで働く人の仕事について話を聞いてきたといいます。




Naik(2019)より



教員養成課程におけるPhBL実践


PhBLは基礎学校だけで活用される教育方法ではありません!


教員養成課程において、PhBLの形態で学んで、教師は学校現場で実践をするのです!



ある大学では、幼稚園、特別支援、一般の教員養成課程の大学1年生を対象とした、「教育と社会の変化」という講義において、


社会学に関する講義を行うのではなく、学生が教師になったときに起こる、実際の出来事などを考え、話し合うことを通して、社会学的なアプローチを考えるという取り組みを行なっているそうです!



Naik(2019)より



どう考えても、教員養成の段階で役立ちそうですね!


教育実習で現場に送り出されて、大学に戻ってきたら現場での体験の記憶も薄いままま、上っ面だけの話し合いをするより断然タメになりそうです!




次に、ユヴァスキュラ大学の教員養成課程におけるPhBLの実践についてです!


この大学のPhBLのアプローチによる教員養成の主な理念は、学生は自分の経験を通して、様々な科学の理論と概念を活用し、現実の文脈で教育現場の現象を研究することにある、というものだそうです。


実際、学生は教育現場の現象を観察、分析し、それらに対応するためのアクションプランの開発するそうです。


当然、教育現場は理論や理屈でまとめることのできない複雑なものであるため、


学生たちは心理学、社会学、哲学、教授学等の様々な理論を学際的に活用して分析し、概念化と解釈に取り組むそうです。


また、このような取り組みを通して、卒論や修論を執筆するそうです。


Moilanen(2015)より



「学校現場では理論は役に立たない」とよく耳にします。


嘘とまでは言いませんが、学際的な視点を持ってして、多角的に分析した上で、解釈を試みたのでしょうか?と疑問に思います。


「教育の話は教育学で考える」では限界がありますよね!


まさに!PhBLのアプローチである、学際的な学びは教師に求められて然るべきだなぁと思いました!




チョット面白いPhBLの実践


ヘルシンキの英会話学校における、基礎学校1年生から6年生のPhBLの実践です!


テーマは「時間」


1年生と2年生は、フィンランドの時計職人について学び、段ボールを使って振り子時計を作成!


3年生は、歴史を通じて、さまざまな文化のカレンダーを作成!


4年生と5年生は、ブループリントと地図の設計を通して、彼らの未来の都市を予想!


6年生は、イギリスへの旅程を資格的に作成!


どれも「時間」というテーマをもとに、児童らの疑問から生じたトピックだそうです!


Northern(2018)より



うーん。「時間」というテーマで私なら何を思い浮かべるでしょう…。


これらのトピックは子どもならではの柔軟な発想なのかもしれませんね!



参考文献


Moilanen, P.(2015)「Reforms in Teacher Education. A Phenomenon-Based Curriculum for Teacher Education.」Pusztai, G., Ceglédi, T. (ed.)『Professional calling in higher education. Challenges of teacher education in the Carpathian Basin』pp.12-18。



Naik, R. P.(2019)「Phenomenon-Based Learning in Finland」Master’s Thesis in Education University of Jyväskylä。


Northern, S.「Phenomenon-Based Learning in Finland Inspires Student Inquiry」Education Week、2018/10/31。


まとめ


ここまで書いてきて、だんだん楽しくなってきました!


面白さが伝わればいいなと思います。



さて、PhBLはフィンランドで以前から取り組まれており、どの学校段階でも取り入れられていることも見えてきました。




では、日本でどう取り入れるか?どうやってPhBLの要素を取り入れる?




イチから考えずとも、その他の国ですでに実践されています!


これも面白いので次回以降、紹介してきますね!!





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