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プロダクトマネージャー(PdM)になるために_#12_PdMはイノベーションが生まれる文化まで意識する

IT業界で引く手あまたのPdMについて学習しています。
前回の#11_企業成長に合わせた変化の導入テクニックでは、企業のスケールアップに伴い減衰する持続的なイノベーション(変化)をどう起こすかというテクニックでした。

結論は

企業が成長すると変化を導入することは難しい!

ということでした。(本当にそう思います)

今回は本書では明言していませんが、#11の延長戦上にある話だと思っています。
スタートアップ期に成功するのは幾多の挑戦と変化であり、それを実現したマインドを企業が成長しても如何に失わないか、そのためには文化が必要ということです。
文字数:約3,400

参考図書

⑤ 成功するための文化

■Chapter64 良い/悪い製品開発チーム

<良い開発チームの文化>
1、人を魅了する製品ビジョンがあり、伝道師のような情熱でそれを追求する

2、ひらめきや新しいアイデアは自分たちのビジョンや目標からであり、顧客が苦労している様子を見ることや、データ分析、新しいテクノロジーの探求と適用しようとすることから生まれる

3、重要なステークホルダーが誰か分かり、制約を把握したうえで、その制約下でソリューションを考えることに邁進する

4、多くのテクニックに熟達し、アイデアを迅速に試し、どれを本当にビルドするか判断する

5、会社中の頭の切れる第一人者やリーダーとブレストするのが好き

6、開発・デザイン・エンジニアリングの各担当が並んで座り、職能間のギブアンドテイクやUX、実現技術を活用する

7、イノベーションのために常に新しいアイデアを試しながら収益とブランドを守るようにしている

8、強力なデザイン、成功する製品を生み出すのに必要なスキルセットをチームの中に持っていると胸を張る

9、エンジニアが毎日プロトタイプを試す時間を確保し、製品をよりよくする方法について自分たちの考えを提案できる

10、毎週顧客と直接関わり、顧客を理解し、アイデアの反応を見る

11、気に入っているアイデアであっても顧客の役に立たないことがほとんどであることを自覚し、役立ちそうなものでも所望のアウトカムが出るまでイテレーションが必要と理解している


12、スピードとイテレーションをどれだけ速くできるかが重要と理解している

13、要望を評価し、顧客にもビジネスにも有益で実行可能なソリューションであると確認してから、ハイインテグリティーコミットメントを作成する

14、製品がどんなふうに使われているかを知るために製品を計装(測定可能な状態にする)しデータに基づいて調整する

15、小さなリリースをコンスタントに続ければより安定したソリューションを提供できると理解している

16、リファレンスカスタマーにこだわる

17、業績に大きく貢献した時に祝う


<悪い開発チームの文化>
1、傭兵である
2、販売部門や顧客からの要望だけ集めてひらめきや新しいアイデアを生もうとする
3、ステークホルダーからの要望だけを集める
4、会議を開き、優先順位を付けたロードマップを作成する
5、チーム外からの人からの助言を嫌う
6、開発・デザイン・エンジニアリングのサイロに閉じこもり、協力が必要な場合は文書の形で要望したり会議を設定する
7、テストする許可が出るのをひたすら待つ
8、プロダクトデザイナーが何をする人かすら知らない
9、スプリントプランニングの時にプロトタイプを見せるので、エンジニアは推測する
10、自分たちが顧客だと思っている
11、ロードマップにあるものだけをビルドし、期日と品質を確認できれば満足する
12、自分たちの仕事が遅いのは同僚のせいにする
13、販売主導であると不満を言う
14、分析と報告はあれば良いがなくてもかまわないと考えている
15、骨の折れるインテグレーション段階の最後に手動でテストし、すべて一度にリリースする
16、競争相手にこだわる
17、最終的に何かリリースしたときに祝う

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P340〜344

■Chapter65 イノベーションが失われる最大の理由

・持続的なイノベーションは「ビジネスに価値を加え続ける開発チームの能力」

<企業のスケールアップによってイノベーションを起こす能力を失わない文化>
1、顧客中心の文化

・直接顧客に接触しない企業は情熱を失い、重要なインスピレーションの源を失う

2、魅了的な製品ビジョン
・スケールアップする頃には当初の製品ビジョンは実現している
・CEOや製品開発リーダーが空白を埋める必要がある

3、的を絞った製品戦略
・大きくなるといっぺんにすべての人を喜ばせようとする
・常に論理的で意図的な一連のターゲット市場が明確に示されるべき

4、強力なPdM
・会社が小さいときはCEOか共同創設者がこの役割を果たすが、スケールアップするとそれぞれの開発チームに有能なPdMが必要

5、安定した開発チーム
・開発チームが製品開発の世界、テクノロジー、顧客の悩みを学ぶことが必要
・開発メンバーが絶えず入れ替わると持続的なイノベーションは起きない

6、製品発見へのエンジニアの参加
・エンジニアが最初から参加し、顧客の悩みを直接聞く

7、企業の勇気
・企業は大きくなるとリスクを避けるようになる

8、権限を与えられた開発チーム
・権限移譲は、開発チームが最も適切だと考える方法でビジネス課題に取組み解決すること

9、製品開発のマインドセット
・ビジネスのニーズに応えるだけでなく、その先にある顧客の役に立つために開発チームが存在する

10、イノベーションを起こすための時間
・スケールアップすると日々の業務をこなすだけで時間を使ってしまう

持続的なイノベーションはプロセスや組織の問題でなく文化の問題

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P345〜348

■Chapter66 スピードが失われる最大の理由

<スピードを落とすチェック項目>
1、技術的負債
2、強力なPdMの不在
3、デリバリーマネジメントの不在
4、リリースサイクルの長期化
5、製品ビジョンと戦略の欠如
6、長続きする安定した開発チームの不在
7、早い段階でエンジニアが参加しない
8、製品発見にデザイナーを使わず、エンジニアのビルドの間にデザインの仕事をさせる
9、優先順位を変える
10、コンセンサス文化

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P349〜351

■Chapter67 強い製品開発文化を作る

・偉大な製品開発文化の2つの側面
1、製品発見
・持続的なイノベーションを起こし、顧客にとって価値のあるソリューションを考え出しているか

2、市場投入
・実行力がなければアイデアがよくても顧客に届けることができない

<強いイノベーション文化の意味>
1、実験の文化
2、開かれた心の文化
3、権限移譲の文化
4、テクノロジーとデータドリブンな文化
5、ビジネスと顧客に精通した開発チーム文化
6、多様なスキルセットとスタッフの文化
7、製品発見テクニックの文化


<強い実行力文化の意味>
1、切迫感の文化
2、ハイインテグリティーコミットメントの文化
3、権限移譲の文化
4、説明責任の文化
5、協力の文化
6、成果の文化
7、認知の文化


・イノベーションと実行力の両面から自分自身を見直し、チームや企業として、どこを目指すのかを自分に問い続けることが必要

INSPIRED
熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
ISBN 978-4-8207-2750-7 C2034
P352〜355

<⑤成功するための文化の所感>

#11のトランスフォーメーションとスケールアップの所感では、私の経験談をグダグダと書き連ねましたが、このセクションのあるべき文化は印刷して壁に貼っても良いくらいです。

PdMとし持つべきマインドも含まれていますし、イノベーションを忘れるべからずという強いメッセージも包含しています。

とても参考になりました。

本書はここまでです。

次回以降

・ユーザーとの関係強化と製品への反映方法
・UXの基礎
・これからのビジネスに必要な人材要件
・組織変更の仕方

を継続的に発信していきます。

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