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読書履歴#14_心理的安全性_行動を意味あるものにする

読書期間 2022年5月10日~5月13日

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前回は心理的安全性とは何かを見ていきました。
日本語で表現すると、とても伸びやかな楽できる雰囲気の組織のようにも聞こえますが、そうではなく、全員が同じ目標を持って、学習しながら個人・チームが成長する組織を表現しています。

そんなチームの心理的安全性を作る意識を持ち、推進するのはもちろんリーダーです。

後半では、リーダーが何を意識して、どう心理的安全性を醸成していくのかについて学んでいきます

文字数:約3,700

参考図書


第3章 行動分析でつくる心理的安全性


行動分析とは、実際に自分自身の行動を変え、凝り固まった「関係性・カルチャー」を解きほぐすためのスキル
・心理的「非」安全なカルチャーを変えるには、歴史を変える必要がある
歴史とは一つひとつの反応や行動、トラブルや失敗がどのように対応されたかを組織として学習されたもの

心理的安全性の作り方
ISBN978-4-8207-2824-5 C2034
P154〜P155

1.きっかけ→行動→みかえりのフレームワーク

・心理的安全性の4つの因子は行動の集積で、以下に示す行動が多く見られる時、そのチームは心理的に安全
①話しやすさ:話す・聴く行動
②助け合い :助けを求める、助ける行動
③挑戦   :挑戦し歓迎し機会を与え機会を掴む行動
④新奇歓迎 :個性を発揮する、歓迎する、適切な配置をする行動
・人々の行動はきっかけとみかえりによって制御されていると捉えるのが「きっかけ→行動→みかえり」フレームワーク
例1)【きっかけ:冷房で寒い】→【行動:温度を上げるボタンを押す】→【みかえり:暖かくなる(Happy)】(次回同じ行動をとる確率が上がる)
例2)【きっかけ:冷房で寒い】→【行動:温度を上げるボタンを押す(集中管理で変更できない)】→【みかえり:寒いまま(Unhappy)】(次回同じ行動をとる確率が下がる)
次回同じ行動をとる確率が
「増えるみかえり」→好子、「減るみかえり」→嫌子
・行動分析は毎日繰り返されるであろう行動をより良いものにしていくスキル

<行動を変えるにはきっかけも重要>
仕事や何かを学ぶことは、適切な「きっかけ→行動」の繋がりを学ぶこと
・適切な文脈で適切な行動を学習する観点から「きっかけ」の場合分けを学ぶことが重要
・ひとつの行動に複数のきっかけがある場合もある
・行動を特定するための質問は「五感のきっかけも目に見えない心の中のきっかけも含めてどのような刺激があるときに、その行動をとりますか?」

<行動の特定>
行動とは、やってみてくださいと言われてできる行動
やってみてと言われてできない行動は「受け身」「否定」「結果」は行動ではない
・実践的な行動分析では登場人物が二人以上の場合がある、そのときは「誰の」行動かを考えて「受け身でないか」と考えることで、行動を起こす主体が明らかになる
行動は出来るだけ具体的に考え、例として夜ふかししてしまう場合も具体的に寝る代わりに何をしているのかを考える

<みかえりの4パターン>
・みかえりとは行動の後に現れ、みかえりによって次回に同じ行動をとる確率が変わる
嫌子による効果は疑わしい
1、嫌子出現による行動の弱化は一時的なものになりがち
2、怒られた側に不安・恐怖・怒りなどのネガティブな感情が生まれる
3、叱る強さを上げていかないと意味がなくなっていく
・同じく嫌子消失による行動の強化もあまり機能的ではない
・実際に望ましい行動は増えたか、望ましくない行動が減ったか、という観点で現実を見つめて行動の増減を観察する

心理的安全性の作り方
ISBN978-4-8207-2824-5 C2034
P 156〜187

※P 183のテーブル

2.行動分析で行動を変える

・個人攻撃は、個人の内面(やる気、自信、性格、能力など)を責めたところで解決・行動変容に繋がらない
マネージャーや本人が具体的にアプローチできる「きっかけ」と「みかえり」にフォーカスを当てた方が役に立つ(=心理的柔軟)と言える
・他人の行動を変えるよりも自分の行動を変える方が容易なので、まずは自分の行動・習慣を変えることについて、きっかけ→行動→みかえりのフレームワークを実践してみると良い(ついつい飲んでしまう、食べすぎてしまう、夜ふかししてしまうなど)

心理的安全性の作り方
ISBN978-4-8207-2824-5 C2034
P186〜193

3.チームの行動変容でつくる心理的安全性

4つの因子に対し「行動・スキル」「関係性・カルチャー」「構造・環境」の3つのレベルに対して、まず「行動・スキル」へのアプローチを行う
・心理的安全性の4つの因子「話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎」に紐づく一つ一つの行動に対してメンバーにアプローチを取る
方法①:メンバーの4因子の行動を阻害する「きっかけ・みかえり」を減らす
方法②:メンバーの4因子の行動を増やす「きっかけ・みかえり」を増やす


・行動分析は「きっかけやみかえり」を用いて行動を増やしたり減らしたりすることができる
・「行動そのものと品質」を切り分けて考え、行動そのものの量が増えることが望ましい場合は、好子を与える
品質を上げたい時は、叱責でなくプロンプトを使う
プロンプトとはきっかけの中でも正しい行動が起きる確率を高める補助的なもの
・プロンプトには強弱がある
強い:失敗しにくい、手間がかかる、依存しやすい(営業同行、ロールプレイなど)
弱い:失敗しやすい、手間がかからない、依存しにくい(リマインド、問いかけ)

・原則は出来るだけ弱くプロンプトを与え、必要な行動が確立したらプロンプトを無くす

心理的安全性の作り方
ISBN978-4-8207-2824-5 C2034
P194〜227

第4章 言葉で高める心理的安全性


1.言語行動は「学習ファースト」

罰によらず努力できるチームをつくる「言語行動」の理論と実践
行動分析は「きっかけ→行動→みかえり」は動物でも使える行動の原理「動物行動」であり体験から学習する
言語行動は言葉で行動を変えることができ、言葉で教えてもらえればまだ行動していないのに適切な行動を学べる
・動物行動と言語行動は、学習スタイルに大きな違いがある
言葉は「いま、ここにない現実」を創り出す

心理的安全性の作り方
ISBN978-4-8207-2824-5 C2034
P230〜P237

2.ルール支配行動

言葉によって未来の「みかえり」を関係づける能力、行動を支配・コントロールできる能力を「ルール支配行動」と呼ぶ
<3種類のルール支配行動>
①言われた通り行動
・ルール通りの行動
行動そのものからのみかえりでなく、ルールに従ったみかえりを重視
周りの雰囲気を見るモードになる
・この行動パターンに従うことは、自分の人生を他者に委ねることになる
行動自体から得られるみかえりが無視されるため、本来接触できるはずのみかえりが失われる

②確かにそうやな行動
・ルールに従い得られるみかえりによる行動
みかえりを重視するので、ルールの間違いを見つけ改善したり心理的柔軟な態度をとる
・職場にあるさまざまな不十分な仕事の多くはメンバー一人ひとりが確かにそうやな行動になっていないために発生している
・ルールがつい「言われた通り行動」になってしまうのは、ルール策定者やマネージャーが説明をサボってしまうことが大きな原因

③そんな気がしてきた行動
みかえりの強さが変わる行動
・みかえりの持つ好子・嫌子としてのパワーを増強または減少させることで、行動が起きる確率を増やしたり減らしたりする「言葉のルール」と言える

心理的安全性の作り方
ISBN978-4-8207-2824-5 C2034
P238〜254

3.言葉で旗を立てる

・そんな気してきた行動は「言葉のきっかけ」がみかえりの強さに影響を与え行動を強化する
自分や組織にとって「大切なこと」を明文化することは行動を活性化する

<自分の大切なことを言語化する3STEP>
①コア業務=仕事でいつもやっている重要なことはなにか
を考える
②その業務には、どんな大切にしたいことや意義・意味を込めることができそうかを考える
③その業務の影響を受ける人々や社会について、より広く・深くイメージしてみて、その人たちにどのような良い影響をもたらすことができるかを考える

心理的安全性の作り方
ISBN978-4-8207-2824-5 C2034
P255〜266

<所感>

率直な感想は

「これは言うほど簡単ではないな」

です。
とは言え、知っておいて損はないな、とも思いました。
いつの間にか自分が心理的安全性を作る側になっています。
良い意味でビジネスパーソンとして着実に成長しているとも言えますが、そんな自分がまだまだ「言われた通り行動」をしてしまっていることがあると痛感しました。

大企業で10年以上勤める中で、「真面目な優等生」が誰とも争わず平和に生きていけると無意識領域を支配しているのかもしれません。

個人的にはこの本を通じて

「言われた通り」行動になっていないか、
自分の行動をちゃんと俯瞰できるようにする

という新しい目標を立てることができました。


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