カスタマーサクセスとは#2-3
リテンションモデルとモノ売り切りモデルを対比した時の5つの成功要因を一つひとつ丁寧に説明してくれています。
実はこの<2-2 リテンションモデルとカスタマーサクセスの表裏一体の関係>の説明が一番長いみたいです。かなり刻んでいますが進めていきます。
参考図書
リテンションモデルの成功要因
この絵は毎回挿れていきます。
成功要因② 買ってもらってからが勝負
〜原則その2 素早く・負荷なく・漏れなく成功を届けよ〜
・原則その2はカスタマーサクセスの勝負どころ
<モノ売り切りモデル>
・AIDMAの法則に則ったカスタマーライフサイクルに沿ってマーケティング戦略や営業戦略を練り、施策やツールを駆使して最大の購買を勝ち取った者が勝者
・勝負どころは2点
①認知(Attention)を効率的に最大化すること
AIDMAの入口を最大化するために、大きな露出施策が重要でマス広告である
②購買の最大化を支える配荷(出荷→配送→陳列)の効率化
一つでも多く買ってもらうには全国あらゆる店の棚の最前列に並べ欠品なきよう効率的に配荷する
<リテンションモデル>
・カスタマーライフサイクルはモノ売り切りモデルの最終地点の購買からスタートする
・買ってもらってからが勝負だが以下の理由から購買が始点となる
①買ってもらえなければ勝負にならない
②「買ってもらってから」の勝負に勝てると「買ってもらうまでの」のプロセスが自動的についてくる
これは成功したカスタマーがファンとなり口コミで良質なユーザーを連れてきてくれる
・カスタマーライフサイクルに関する基本用語
①『オンボーディング』
+カスタマーがプロダクトを買った直後から始まる
+一通り使い方を理解してもらうことで各自が迷わず自立的に使えるようにする段階
+数日、数週間、数ヶ月と一定期間が定義される
②『サポート』
+プロダクト利用中に問題や質問を抱えた時に単発的に生じる段階
③『アダプション』
+オンボーディングが終わりサポート中でもないカスタマーに対し、プロダクトをより使いこなしより高い価値を出してもらうのに必要な活動を実施する段階
④『リニューアル』
+利用中のプロダクトの更新
⑤『アップセル/クロスセル』
+アップセル:同じプロダクトを買い足す
+クロスセル:違うプロダクトの新規契約
⑥『ロイヤリティ/アドボケイド』
+リテンションモデルの究極の目標
+カスタマーがこれ無しでは生活/仕事ができない状態(ロイヤリティ)になり、愛着すら湧く
+口コミや見込み客の紹介などが自然と生まれている段階(アドボケイド)
・リテンションモデルの勝負は、オンボーディング・サポート・アダプションの『育成・支援フェーズ』の成否で決まる
引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034 P115~122参照
<所感>
長くなってしまいましたが、これでも熟読してまとめているつもりです。
つまり重要な内容が多い!!
ここで紹介されている基本用語が飛び交う打ち合わせが増えて来ていると思いますが、ちゃんと意味を理解しないと日本人はカタカナのマーケティング用語が大好きなので、齟齬ないようにしないといけません。
原則2-1 オンボーディングで「ワオ!」を素早く届ける
・オンボーディングは勝負どころと言うより、最初に必ず越えなければならない関門
・オンボーディングはカスタマーがプロダクトに初めて触れ、期待値も最高潮に達し、時間と労力をかけてでも使いこなしたいという意欲満々なタイミング
・オンボーディングには可能な限り最高の人材の時間と労力を割くことが重要
・重要なことは「どれだけ使っているか」でなく「どれだけ価値や成果を得たか」であることを強く認識しておく必要がある
・カスタマーが価値を実感するまでに要する時間を「Time to Value」と称し、価値は小さくても出来るだけ早く届ける事が重要
・Time to Valueは売り手視点で乱立したり、自己満足に陥ったりする。そこで「WOW! moment」と言う概念が生まれた
・WOW!momentとは、カスタマーがワオ!と叫ぶ瞬間であり、感情的な愛着を引き出すことにつながる
引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034 P122~125参照
<2-1の所感>
オンボーディングには最高の人材の時間と能力を割く。とてもシンプルですが、組織を作る上ではハードルが高いですね。
経営者ないし責任者は採用の手を緩めてはいけないと認識しました。
カスタマーの成功を自分事に感じ、プロダクトに誇りを持っているそんな精鋭部隊になるわけですね。(所感というよりほぼ独り言)
原則2-2 カスタマーがイライラする負荷をなくす
・期待を上回るサービスで顧客を感動・満足させてもロイヤリティ向上へのインパクトは低い
・エフォートレスを追求することでロイヤリティ消滅を防止する方がインパクトが高い
・カスタマーサクセスにおけるエフォート(effort)とは「カスタマーがプロダクトを使うために要した時間やエネルギー」
単なる時間やエネルギーではなく、『イライラする・辛い・したくないという感情・経験・作業を伴いゼロにできれば理想というニュアンス
・カスタマーサクセスにおけるエフォートレス(effortless)は上述したイライラが要らない「超不快の排除」というニュアンス
・エフォートレスが最も登場するのがサポートの段で、過去サポートの良し悪しを測る2大指標は問題解決に要した「時間」と「コスト」だった
・近年はエフォートレス体験を評価する指標が現れ始めた
・問題が生じた時に問い合わせ先が分からない、電話が転送された、転送されてまた一から説明させられた、結局担当者が確認すると言われ解決しなかった。これら誰もが体験したことのある事象はエフォートレスとは真逆
・問題を抱えたカスタマーを将来二度と同じ課題を抱えないように労力をかけてでも正しい方向へ導くのはエフォートレス体験を届ける上で必須かつ重要
・カスタマーがイライラする負荷をなくす、すなわちエフォートレスな体験を届けることはオンボーディング以降の育成・支援フェーズ全体を通じて常に重要
引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034 P125~131参照
<2-2の所感>
オンボーディングとサポート(エフォートレス体験)を学んで感じた正直な感想は
「手離れ悪い!!」の一言。
しかしこれはワンタイムバリュー最大化の頭だからの感想だと理解しました。
オンボーディング、サポートを超えた先にはアダプションがあり、最終アドボケイドに繋がる
結果としてLTVが最大化され、口コミで新規顧客獲得コストも下がる、と言う明るい未来があります。
ただ暗いトンネルがいつまで続くのだろう、ビジネスでは赤字が続き、資金ショートが見えてくると焦りから疎かにしてしまう。
リテンションモデルはほんとに難しいビジネスです。
原則2-3 漏れなく確実に成功を届ける
・育成・支援フェーズで一般的に最も長い期間を占めるのはアダプション
・原則1-3で「成功が届いたか確認する」事が重要と述べた。ここには①確認/測定するのは最初の一歩で残り二つのポイントがある
②基準値に基づき成否を判断する
+これを下回るとマズイという基準値を定義し常にそれをもって判断し、判断の質を担当者個人の裁量に委ねない
+成功の具体的な定義はカスタマーごとに違うため、基準値も基本的にはカスタマーと議論して決めるのが理想
+基準値を契約前の営業時から議論し始めるという理想的な営業実務に落とし込んでいる企業もある
③成否に応じて取るべき打ち手・行動をあらかじめ決めておき誰が担当しようとも確実に成功を届ける
+とるべき行動を担当者個人のビジネスセンスや経験値に頼らず、組織として定義する
+経験や英知に基づく定石が書かれた戦略書である「プレイブック」を準備し、組織全体に共有する
+プレイブックは「勝負に勝つための戦術本」であるのに対して、マニュアルは「初心者でも行動に移せる手引書であり似て非なるもの
引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034 P131、132参照
<2-3の所感>
リテンションモデルにおけるカスタマーライフサイクルの勝負どころを、こと細かに学びました。
学びが多すぎて、カスタマーサクセスと言う流行り言葉をなんとなくでしか把握できていなかった自分を恥ずかしく思っています。
以降も真摯に学びます。