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海外赴任する前に読んでおきたい本6冊

海外駐在、海外赴任を考える人、駐在をしている人、はたまたキャリアデザインに悩んでいる人、考える参考に読書はいかがですか?

3か国10年駐在員をやってきた経験に基づいて、実際に読んでお勧めできる本を紹介します。紹介するのは、単なる海外駐在のHowTo本ではなく、異文化である海外で仕事をすることがどういうことなのか、イメージを作るのに参考になる本です(もちろん、これらの本は海外移住や外国人とのコミュニケーションに興味がある人にも有益だし、海外赴任が決まってから読むのもおススメ)。


海外に飛び出す勇気をくれる本

瀬谷ルリ子「職業は武装解除」
武装解除後の生活立ち上げプログラムの支援サポートをするNPO運営者の自伝エッセー。彼女の行動力たるもの、とても及ばないが、自分が置かれた状況で、自分の頭で何をすべきか考え、現場に飛び込み、努力する気持ちは見習いたい。自分の進路や置かれている状況に迷いがあった時、背中を押してくれる一冊。


海外で働く”日本人”を見つめなおす本

海外駐在すると、「日本人とは何か、日本とは何か」と考えさせられる場面にたくさん出会います。相手に日本人かと問われることもあるし、日本への思いを語られることもある。こんな突然「日本代表」になるときに備えて、日本人を客観的に見つめた本は海外駐在するうえでとても参考になります。

戸部良一他「失敗の本質」
アジア・太平洋戦争の作戦分析を組織論の観点から行い、日本の組織の特質を炙り出しています。このアプローチは、NHKスペシャルの「ドキュメント太平洋戦争」にも通じるものですね。海外と軋轢が生じる最前線にいる海外駐在員に必要な、日本的組織から来た自分たちの特性を冷静に見つめる視点を提供してくれます。


幣原喜重郎「外交五十年」
アジア・太平洋戦争前の穏健派外交を主導し、戦後は首相も務めた人物。外交官として活躍、海外と仕事をした先達が語る、海外との仕事の極意を知ることは、海外駐在員としてとても参考になります。

Twitterで何度か紹介しましたが、現役駐在員の方から大変興味持っていただきました。



中根千枝「タテ社会の人間関係」

日本社会は「場」の共有を重視しているため、横の広がりが無いタテ(上下関係)重視であり、上下関係が場にいる時間で定義されてくる、という日本社会や組織に適用される概念を説明した本。50年前の本とは思えない内容。他の社会との違い(他は横(資格=役割)を重視する)の理解を助けてくれます。また、海外在住の日本人社会について考察している部分もあり、海外と(及び海外で)仕事をする人に大変参考になります。


陳舜臣「日本人と中国人」
日本で育った華僑という立場から、日中文化を客観的に比較。
中国は常に事実・実力に基づく科挙に代表される形式主義、日本は理念・血筋を重視する血統主義の違いがあることや、日本は知識(=結論)を外国から輸入することが多かったため、答え(書中は「道しるべ」)は「どこかにあるもの」と考えるが、中国では、答えは「自ら考え見つけるもの」、という考え方の違いが、分かりやすく論じられています。
日本的な考え方・発想・行動原理の特徴を知るうえで、とても参考になります。これも50年近く前の本ですが、内容は古びていません。


ルース・ベネディクト「菊と刀」
太平洋戦争中に米国が日本人を理解するために文化人類学者が日本文化を分析したもの。内容は今でも十分通用するものとなっています。日本文化を”恥の文化”と指摘した内容はあまりにも有名。本そのものは長いですが、10章の「徳のジレンマ」以降を読むだけでも、外から指摘される日本文化の特徴がよくわかります。


終わりに

今回は海外駐在に役立つ本を6冊紹介しました。現代古典ともいえる本が多いですね。この他にも参考になる本がたくさんありますので、別の記事で改めてご紹介します。

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