時事・地政学 今ハンガリー進出とか正気?

ある大手商社の駐在員がハンガリーに合弁工場を出そうとしていて、ヨーロッパの現地スタッフが困惑しているというお話。

ハンガリー人は民族的にはマジャール人と呼ばれ、元々は10世紀ごろにウラル山脈からやってきたアジア系遊牧民の末裔。混血が進んだ結果として容姿は白人だけど、その言語等にアジア起源の名残を残していたりする。
公的な場面で表立って言われることはまずないものの、ヨーロッパ内ではアジア起源の民族として低くみられる傾向があるのも事実。

とはいっても、なんだかんだいってEU加盟国としての地位は盤石と思われていたのは今や昔。最近は欧州の同胞とみなされなくなりつつある。

理由は2010年から続くオルバン政権。「国を成功させるのはおそらく民主主義ではない。成功者はシンガポール、中国、ロシアなどだからだ」との発言の通りに、強権的な姿勢を強めて西欧諸国と対立し、中国の一路一帯に積極的に組み込まれ、コロナワクチンでも中国製とロシア製を使用している。

教条的で上から目線のドイツ・メルケル政権と対立する動きはポーランドやチェコといった東欧諸国でもあったものの、ここまで露骨に中露への乗り換えと民主主義の否定を公言したのはハンガリーだけで、それゆえに欧州諸国からは同胞と見なし難くなってきている。

欧州に赴任しても日本人駐在員同士でしか関わらず、ニュースは日経新聞で、調査レポートは富士キメラ総研か矢野経済研究所だと、欧州のリアルが見えないってお話でした。

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