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知られざるレンズを訪ねてーー「中判デジタルとHELIAR classicの相性は?」

FUJIFILM GFX50S II × HELIAR classic 50mm F1.5 VM

こんにちは、氏家(@yasu42 )です。

突然始まりました企画「知られざるレンズを訪ねて」。
タイトルの通り、あまり取り上げられることがないレンズを作例つきでレビューしようという試みです。

今回はコシナ製のフォクトレンダーレンズ、「HELIAR classic 50mm F1.5」
VMマウント、実際にはライカMマウント対応、距離計連動ありの標準レンズですね。

レンズの基本情報は後述しますが、まずは公式ページをご覧ください。

作例欄からもわかるように、端正な描写が魅力的な、実に良いレンズです。
良いレンズなんですが、なぜかいまいち人気がない。
明らかに作例もレビューも少ないんですよね……

充実しているのはFOTONEさんのレビューでしょうか。
さすがの一言。

ということで、あえて中判デジタルのGFX50SIIで使ってみました。
35mm版、それもレンジファインダー用のレンズを中判デジタルにつけようというのですから邪道も邪道。

同時に、こんな試みをしている人もそういないだろうということでの挑戦です。
お付き合いください。

基本スペック

発売:2021年
マウント:VMマウント(ライカMマウント互換)
焦点距離:50mm
口径比:1:1.5
最小絞り:F16
最短撮影距離:0.5m
コーティング:シングルコーティング

スペック面では「ごく普通の50mmレンズ」といったところです。
レンジファインダー用で最短0.5mというのは今時ですね。
距離計連動は0.7mまでなのでお間違えなく。

特徴的なのはレンズ構成とコーティング。

なんと3群6枚のシングルコーティング!
オールドレンズならともかく、最近だとほとんどみない構成です。

はたしてどんな写りになるのか?
その前にGFXでの使い方を説明しますね。

GFXへの装着法

これについてはいわゆる「オールドレンズ」を使う時と同じです。
GFXにMマウント用のマウントアダプターをつけて、ですね。
詳しくは以前に書いたnoteをご覧ください。

私はSHOTENのアダプターを使っています。
amazonでのレビューはいまいちですが、実用上の問題を感じたことはありません。これは個体差もあるかも。

作例


作例に行きましょう。
繰り返しになりますが、中判デジタルに装着、というイレギュラーな使用方法です。
本来の性能を発揮できているとは限らないことをご理解ください。
そのうえで私としては非常に満足したことを申し添えておきます。

すべて開放か、一段絞っての撮影です。
ではどうぞ。

開放、トリミングなしにて。
じっとり、という言葉が似合う描写です。
2021年発売のレンズとは思えない湿度。ぱっと見ではオールドレンズと間違えるのではないでしょうか。

周辺も流れてはいますが、意外なほど健闘しています。ほぼケラレがないのには驚きました。

まるで水に沈んだかのような絵作り。
ライカの名玉、Hektor 5cm f2.5を思い出します。
あちらも3群5枚のヘリアータイプ、ある意味でHekorを現代の技術で再設計したレンズともいえるでしょう。

やはり「ふわり」とした感じがありますね。
その理由はこちら。

拡大すると、ハイライトがわずかににじんでいるのがわかると思います。
これが本レンズ最大の魅力。
ただポヤポヤなだけではなく、しっかりと解像しながら収差を残し、柔らかさを保っている。
こういう描写はなかなかありません。

フリンジは出るものの、色転びはほとんど見られません。
古いレンズにありがちな、色の暴れは気にしなくていいでしょう。

陰影の描き分け、明るさから暗さへの繋がりが素晴らしい。
高コントラストとシャープネスを追求する現代レンズとは一線を画する写りです。

収差を残したボケが立体感を表現。
薄暗い環境でこそ真価を発揮するレンズだと感じます。


オールドの「いいとこどり」をした現行レンズ

適度な収差、穏やかなコントラスト、それでいながらはっきりと解像するピント面。
「現代に蘇ったオールドレンズ」と呼ぶべき一本です。

現行レンズということもあっていまいち話題になっていませんが、オールドレンズ、それもライカ製品だったらとてつもないプレミアがつくのは間違いない。
そんな描写をしてくれます。

今回取り上げたように、中判デジタルのイメージサークルをカバーするのも面白い。
Hektor 5cm f2.5もかなりイメージサークルが大きかったはずなので、Heliarタイプの特徴なのでしょうか。検証してみたいところ。

お値段も手頃、性能と描写は言うまでもなし。
いわゆる「オールドっぽい」描写やある程度収差を残した写りを好む方に強くおすすめします。

なお、描写の性質上、生産終了したら一気に高騰すると思います。
お求めの方はお早めに。

では今回はこのあたりで。

スキ、をしていただけると続きを書くモチベーションになりますので、よろしくお願いします。


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