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半神マーウイの偉業 その2。

前回に引き続き、ポリネシアのトリックスター半神マーウイの偉業(いたずら?)についてだが、マーウイは自然界さえも操作してしまうというお話をふたつご紹介したい。

天を持ち上げた話

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その昔、天と地は今ほど離れておらず、地面すれすれまで天が降りてきていたそうです。天が重くのしかかっていたため、植物の葉は平べったい形にならざるを得ませんでした。
それでも植物が生い茂るにつれ、天は少しずつ持ち上げられ、マーウイが暮らしていた頃には、人間が自由に行き来できるくらいの隙間が空いていたそうです。
ある日、マーウイがある女性に「ひょうたんの碗一杯の水を恵んでくれないか、そうすれば俺はもう少し空を高く持ち上げてやるんだけどなぁ」と話しかけます。
その女性はマーウイに言われた通りに、碗一杯の水を手渡すと、彼は、えいやっ、とばかりに空を木々の梢のあたりまで持ち上げてしまいました。
次に彼は空をつかむと、今度は山の頂上まで持ち上げてしまいます。そしてものすごい力で空を放り投げ、ついには現在空がある高さまで持ち上げてしまいました。
今でも、ハレアカラ山には時折黒い雲が降りてきて雨を降らせることがありますが、彼ら(雨雲のこと)はマーウイにまた投げ飛ばされるのを恐れて、決して長居をしないと言われています。

太陽をつかまえた話

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大昔、月はゆっくりと天を巡り、太陽は猛烈な速さで天を巡っていました。そのため夜がとても長く、また短い昼の間は、耐えきれないほどの灼熱の世界になっていました。
その頃マーウイの母ヒナの主な仕事は樹皮で作る布タパで衣服を作ることだったのですが、樹皮を洗って乾かそうにも、乾く暇もなく日が暮れてしまいます。また料理を作っても明るいうちには終わりません。明るいところで唱える神々への祈りもあっと言う間に日が暮れてしまうので、中断せざるを得ないような状況でした。
そこでマーウイは、ヒナや人々のために馬鹿者の太陽を捕まえて、もっとゆっくり天を巡るように懲らしめてやらねば、と決意します。
そこでマーウイはヒナや人々のために、太陽を捕まえて、もっとゆっくり天を巡るようにさせようと決心しました。彼は太陽の軌道を確かめると、いったん家に帰り、ヒナに「太陽の脚を切り取って、素早く移動できないようにするつもりだ」と告げます。ヒナはそれを聞き、丈夫なロープを彼に与え、残りの必要なものはハレアカラ山の火口に住んでいる祖母のところにもらいに行くように伝えます。
早速マーウイはハレアカラ山の火口に住む祖母に会いに行きました。
おばあさんは彼に魔法の石で作った斧と丈夫なロープを授けてくれ、次のように言いました。
「この大きなウィリウィリの木のそばに隠れて、太陽が来るのをじっと待ちなさい。太陽の最初の光(脚)がやってきたら、素早くそれをつかまえてこの丈夫なロープで、ウィリウィリの木にしっかりと縛り付けること。それから太陽の身体に斧を振りかざせばよい」
マーウイはハレアカラ山の上を通る太陽を待ち伏せしました。やがて最初の光……1本目の脚が現れると彼はそれをしっかりとつかまえました。太陽には16本の長い脚がありましたが、次々とマーウイにとらえられてしまいました。
太陽は必死に逃げようとしますが、ロープは堅くウィリウィリの木に縛りつけられて身動きができません。暴れる太陽にめがけて斧で斬りつけようとすると「命だけは助けてくれ」と太陽が悲鳴を上げました。
「何でも言うことを聞きます」と言った太陽は、もっとゆっくりと動くこと、夏と冬で動くスピードを変えることなどを承諾させられ、現在動きになったということです。

自然界をも動かしてしまう半神マーウイ。伝説や神話ってあり得ないことばかりだけど、自然の常識を伝えるにはきっと便利なお話だ。
マーウイの偉業は次回も続く。

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