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半神マーウイの偉業 その1。

ハワイだけではなくポリネシアの島々には半神マーウイの伝説がたくさん残されている。マーウイという人物は神と人間から生まれた「半神」のため、人間離れしたたくさんの「業(いたずら?)」が使える反面、不死ではないという側面を持っている。

マーウイが島を釣り上げたという伝説はポリネシアの各地にあるが、中でも最大のものがテ・イカ・ア・マーウイ(「マーウイの魚」という意味で、ニュージーランドの北島)である。その経緯は次のように伝えられている。

マーウイには4人の兄弟がいましたが、釣りに出かけるときはいつも仲間外れにされていました。
マーウイは一緒に釣りに行きたくて、彼は魔力を秘めた先祖の顎の骨で釣り針を作り、ある夜、兄弟たちの使う船の床下に隠れました。
翌朝、兄弟たちがマーウイの乗っていたことに気づいた時には、船はすでに陸からかなり離れた所まで来てしまっていました。
彼はあっという間に床下を自分の釣った魚でいっぱいにしてしまいました。それだけでは気が済まない彼は、魔法の釣り針を海に投げ、呪文を唱えました。釣り針は深い海の底へと沈んでゆきます。
やがて何かの手応えを感じたマーウイは、釣り糸を手繰り寄せました。兄弟たちも手伝って水面まで引き上げてみると、針には巨大な魚がかかっていました。
マーウイは海の神タンガロア(カナロア)に祈りを捧げるまで待つべきだと言いましたが、兄弟たちは待ちきれず、彼を無視して勝手に魚を切り刻み始めました。その痕跡はニュージーランドの北島各所の山や谷、湖、海岸線となって残っているということです。

また、ニュージーランドの他の地域にもこの物語に起源を持つ地名がある。例えば、南島は「テ・ワカ・ア・マーウイ」=マーウイのカヌー、スチュアート島(ラキウラ)は「テ・プンガ・ア・マーウイ」=マーウイの碇、とも呼ばれている。

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もうひとつ、島を釣り上げたお話。

マーウイはいつも兄たちに、お前は魚釣りが下手くそだ、とからかわれていました。彼は魔法の釣り針を持っていたのですが、それまで使ったことはありませんでした。
ある時、兄たちはマーウイを残して漁に出かけました。しかし持ち帰った獲物は一匹のサメだけ。
マーウイは「僕ならもっといい獲物が釣れた」と言いました。そこで兄たちはマーウイを漁に連れて行くことにしました。
マーウイは魔法の釣り針に、母ヒナが大事にしている聖なる鳥、アラエ鳥を餌につけて魔法を唱え、針を垂らしました。
すると海底が動き、大波が起こりました。釣り針に大きな獲物がかかったのです。
マーウイは実に2日間も獲物と格闘しました。ようやく獲物が弱ってきたところで兄たちに助けを求めました。
「島へ戻るまで決して振り返らないで!」とマーウイが兄たちに注意したにもかかわらず、兄のひとりが後ろを振り返ってしまいました。
その瞬間、釣り糸がぷつんと切れました。釣り上げられたのは魚ではなく、大きな島だったのです。
大きな島はその頂上を海の上にのぞかせたまま、その場所に落ち着いてしまいました。途中まで釣り上げたこの島が、ハワイ島ヒロ湾に浮かぶ小島、モクオラ(ココナッツ・アイランド)だということです。

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また他の言い伝えによれば、島を引っ張っていたのは餌になっていたアラエ鳥で、この状況を耳にした母ヒナが慌てて駆けつけてアラエ鳥を救おうとしたが、釣り針に深く引っかかっていたアラエ鳥は簡単には取れず、羽がバラバラになってしまい、そのせいでハワイ諸島は今のように小さな島の集まりになってしまった、という話の結末もあるようだ。
もしこの時、アラエ鳥がそのままの姿で引き上げられていたら「ハワイ大陸」になっていたかもしれない。

マウイの偉業はまだまだ続く……。

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