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火の女神ペレに反逆した大事件。

1824年のこと、古代ハワイの信仰で恐れられていた火の女神ペレの存在が否定されるという大事件が起こる。
ペレを否定したのはヒロの酋長の娘のカピオラニ。(カラーカウア王のお妃もカピオラニですが、まったくの別人である)。彼女は裕福な酋長の娘として育てられたものの、あまり良い教育を受けず、数人の男を囲って日々お酒に溺れるというふしだらな生活を送っていた。

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しかし1822年、サーストン牧師と出会うことで彼女の人生は一変した。
サーストン牧師はハワイで初めての教会であるハワイ島コナにあるモクアイカウア教会を建てた人物である。
プロテスタントに入信した彼女は、賢人だったナイヘという夫をひとり残して、残りの男たちとの結婚を解消し、ナイヘと共に布教活動を始めることにしたのだ。布教活動を始めたのはいいが、障害となったのが根強い火の女神ペレへの信仰だったのだ。

1824年12月、彼女はペレの信仰を打ち砕こうと裸足でケアラケクアを出発、160kmの道のりを歩いてキラウエア火山へと向かったのである。
道中、ペレを信仰するカフナを名乗る人たちから、あらゆる脅しや嫌がらせを受けるもののそれを振り払ってとうとうペレの魂が宿ると信じられているハレマウマウ火口へと到着した。
そこで彼女はなんと火口に向かって聖書を朗読し、ペレへの神聖な捧げものとされるオヘロの赤い実を彼女自身が食べ、火口に石を投げ入れるという、当時の人々からすればまさに侮辱的な “悪魔の所業” を行ったのである。

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火の女神ペレに対する冒涜はペレの怒りを買い、キラウエア火山が爆発すると信じられていたのだが、キラウエア火山は大爆発することもなく、カピオラニが呪い殺されるということも起こらなかったのだ。

この日以来、人々は古代の信仰を捨てて続々とキリスト教に改宗するきっかけとなったと言われている。とはいえ、昔ながらの風習や伝統的な信仰は突然姿を消せるものではなく、カフナたちは地下に潜ってこっそりと秘密裏にハワイの伝統的な信仰を伝え続けていたと言われている。

それにしてもこのカピオラニという女性、勇気があると言ってしまえばそれまでだが、まるでペレさながらに奔放な女性な感じがする。似たような性格だった女神ペレはどこか微笑ましく彼女を見ていたのかも知れない。

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