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ハワイアンにとっての「マナ」の重要性と、それを守るルール「カプ」のこと。

ハワイでよく耳にする言葉「マナ」。マナという言葉はとても感覚的なものなので、言葉に当てはめようとすること自体に無理があるのだが、ハワイ語の辞書によると「超自然的なパワー」「神のような力」ということだ。
一般的には「霊力」「神聖な力」「生命の力」「氣」「聖なるエネルギー」というようなニュアンスで語られることが多い。

古代ハワイでは、アリイ(王族、チーフ)階級は神々の直系だと信じられていたことから偉大なマナを持っていると言われていた。
マナはアリイの骨や影までにも宿るとされ、アリイの影を踏むことは死を持って償うような大罪でしたし、死んだ後の骨にもマナは宿るとされていて、アリイの骨を手に入れたものはその故人のマナが宿ると思われたいたので、アリイが亡くなった後の骨は人目につかない場所に隠されて埋められたのである。

カメハメハ大王は偉大なおそらくハワイでもっとも偉大な人物で、計り知れないマナを持っていたと考えられていたはずである。そのために彼の骨は王族の霊廟には安置されてなく、どこに埋められたのか、いまだに誰も知らないのだ。

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マナはアリイ階級だけでなく、カヌー職人、カフナ、農民など、職業に応じたマナと言うものもあったようである。ただし自分が持つマナと異なる職業に従事した場合などには、マナは神の元へと戻ってしまうと伝えられていたようだ。
マナは親から子へと受け継がれるものでもあった。親と対等かそれ以上のマナを受け継ぐためには、配偶者となる人物も強いマナを持っている必要があった。
また場合によってだが、マナは習得したり、他人に与えたりもらったりすることもあったと言われている。これはもっぱらカフナ(祈祷師、聖職者)のテクニックによって行われていたようである。

ハワイアンにとってマナはとても貴重なものだった。マナの取り扱いを誤るとマナが消えてしまうとされていたので、マナを守るために厳格なルールが必要だった。そのルールが「カプ」として定められたのである。

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カプとはハワイの信仰上の戒律であり、生活する上で守らなくてはいけない厳しいルールだった。カプを破るとほとんど死罪となったため、人々は細心の注意を払いながら生活していた。
カプは基本的に大切なマナを守るために作られたものであり、マナとカプは切っても切り離せない関係にある。カプはとても数が多く、しかも新しいカプが必要に応じて作られていったため、すべて覚えられるものでもなかったようだ。中には、今の時代から考えると、なぜこれがカプなの?と思うようなものもあったのだ。
特に女性はカプが男性よりも多かった。例えば、女性は豚肉、バナナ、ココナツを食べてはいけない、男性と一緒に食事をしてはいけない、ヘイアウに立ち入ってはいけない……などがあったようである。
それでも人々は、カプは神々が定めた聖なる掟だと信じていたために、カプを厳守するのが当たり前だったのだ。

カメハメハ大王の死後、カプが廃止された。
キリスト教の宣教師たちによる布教によってアリイたちがキリスト教へ改宗したのがきっかけだが、アリイという身分であるカメハメハ大王の王妃とカメハメハ2世が一緒に食事をするというカプ破りをしたことがきっかけだったようで、当時のカフナの最高位に就いていたヘヴァへヴァがカプの廃止を決断したのである。

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