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後輩たちへの手紙⑫いまを全力で

前半からの続き


24年5月27日の手紙

前回のお手紙への感想で、こんなコメントをもらいました。

「今いる会社でのキャリアへの不安が仕事の楽しい以上に勝っていて、転職を考えています。それと同時に他に勉強したいことが出てきて、一旦仕事を離れて勉強するのはありなのかなーとも考えています。」

この一ヶ月、このコメントにどんなふうに答えたいだろう?って考えていました。

「今のままでいいの?」「このタイミングでキャリアの舵をこの方向に切っていい?合ってる?」
同じように考えているメンバーもきっといる。だってわたし自身も何度も立ち止まってきた問いだから。

わたし自身はじゃあどうしてきたんだろう?と考えてみると、結局いつも「いまを全力で過ごす」ことで進んできたように思います。
そしてそれは、大学時代の恩師との再会がきっかけでした。


働き出して最初に立ち止まったのは、入社して初めての夏。

営業職としてどうにか契約は取れるようになってきて、一連の仕事や売上を上げるってこういうことかと分かってきて、ふと「これをずっとやっていくの…?」と思った。

大学時代に学んでいたことは何も活かされてない、とも思った。
「営業担当の八十」は、それまでの人生でつくってきた自分自身とかけ離れていて、でも営業という役割を果たすためにそれに自分を無理やりはめ込んで日々過ごしている。

お金を稼ぐって、自分ではないものになるってことなんだろうか?それってなんか違うんじゃない?
そんなモヤモヤを晴らしたくて、ゼミでお世話になっていた先生を夏休みに訪れました。


先生は大学近くの蕎麦屋で蕎麦をおごってくれました。当たり障りない話をしながら蕎麦食べて、コーヒーでも飲もうかと喫茶店に入った。

いよいよ悩みについて聞いてもらえる!と思ったら、先生は自分自身が数ヶ月だけ経験した営業職としての思い出を話し始めたの。
営業は会社の主機能のひとつ、とか、売ることの大変さ、お客さんに価値を感じさせることが重要で、それが難しさでもある…云々…
…いや、先生の話はいいよ。私の話を聞いてよと思った。

そしてそのうち私は何を話したいんだろうと思い始めた。
…だんだん、話すことなんて何もないのかもしれない、何を求めて私は今日ここに来たんだろうと考え始めていた。

自分ではないものに自分を当てはめて、よく頑張っているねと労われたかったんだろうか?
それともそんな仕事は辞めていいよと背中を押されたかった?
そんなもんだよ、もう少しせめて3年は頑張りなさい的な方向性を示してほしかったんだろうか?

先生は私の人生についてコメントするような人じゃない。そのことは学生の頃から知っていたはずなのに。

そんなふうに頭の中で考えが展開してきた頃、たぶん1時間くらい経った頃合いで先生が「まぁ今を精一杯やることだよ」と話を締めくくった。
「また話したいことがあれば、おいで。そうだね半年後くらいか1年後か」って。ほとんど私には話をさせることなく。

消化不良な気持ちではあるけど仕方なく一人暮らしのマンションに帰り、翌日からも目の前の仕事に必死で食らいついて働きました。

そうしていると先輩が辞めたり上司が変わったり、大きい案件を担当することになったりクレームを受けたり…

…生活の登場人物が変化し関係性も新たにつながったり薄くなったり深まったりする。そんな中でやっぱり変わらずに表れる自分らしさに気付けたし、「らしくない役割」に自分を当てはめたことでバージョンアップするもんだと分かった。

その会社を去るときは、迷いは一切なく「辞める以外に道はない」状態で退職しました。

その後もそうだったと思う。会社を辞めるときは次のステージへの階段が目の前に開かれていく。自分で次のステップをつくるのではなく向こうからやってくる。


キャリアの舵を切るときってそういうものかもしれないです。
辞めようかどうしようか迷う…そんな中途半端な気持ちなら、ひとまず「いまを全力で」やってみるのはどうだろう?

冒頭のコメントをくれた彼女には「勉強したいことがあるなら仕事を続けながらやってみなよ」と答えたい。
どっちかだけに集中しよう、じゃなくてどっちも獲りに行く。自分のできることを限定せず、欲張って全取りするの。

寄り道も遠回りもすべてを自分だけのベストルートにできる。それがキャリア・人生の面白いところだから。

迷いがあるときこそいまに没頭してみて。
いまできる一番良い仕事をして、選択肢は全部選んで、がむしゃらにやったことは全部次の自分をつくるから。
大丈夫、あなたはまだ知らないだけ。全部自分のものにする力はもう備わっているよ。

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最後までありがとうございました。なんか雨のせいかえらい長くなってしまいました…

5月は疲れが出やすいタイミング。暑かったり涼しかったり、気候も波があるしね。ゆっくりできるときはゆっくりしましょう。そして元気が出てきたらまた大きく一歩、踏み出そう。

休んでいる時も全力の時も、いつもみんなを応援しているよ。
Bon Voyage!


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