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SF創作講座を受講しての思い出②

 第二弾。前回の続きからということで第三回から振り返っていく。自分にとって大きな転機になった第三回はちょっと分量多め。




第三回課題「自分の得意なものを書きなさい」


 梗概選出されて実作も褒められた奴だから全力で自分語りしていく。もしかしたら素人の物語作りのケーススタディとして役立つかもしれない。

 まず、お題を見た瞬間頭を抱えたのを覚えている。いや、われ創作初心者ぞ? 得意なものとか言われても、これからそれを見つけるためにこの講座に参加してるようなものなんだが??? 周りの受講生も似たような反応だった人がいくらかいたような記憶がある。そりゃそうだと思った。

 仕方ないので「得意なもの」は物語が出来てからでっち上げることに決めた。とりあえず書けるものを作って提出しないとスタート地点にも立てないのだ。梗概も実作も提出した奴が勝者なのである。これ唯一の真理ね。

 最初、発想の出発点はタイトルからにした。理由は単純で、課題提示者である円城塔先生の課題説明文にあった「*タイトルは、印象に残るものにして下さい。忘れます。」という一文に震え上がったからだ。これは確実にクリアしないといけないと思わされた。

 そこで思いついたタイトルが「ぺりぺりぺりぺり」だった。擬音で謎しかなくて覚えやすい。絵本とかのタイトルにありそうでSFにはそぐわないかもしれないけど忘れられることは無いだろうと思って早々にタイトルだけは決まった。

 そのあとはかなり苦戦した。タイトルから発想を飛ばして、「はがす → 何を」と色々考えてた気がする。その結果、意味わからんサイコパスの梗概が出来て、読んで貰った人から不評を買った。

 そのサイコパスを没にして考え直したのが「ネット上の仮想空間で情報を剥がす」みたいな案だった。その時に意識していたのは3点で、

①第一回第二回とエモーショナルな感じのものを書いていたからエモーショナルにはしたい(あわよくば「得意なもの」の言い訳に使いたい)

②過去二回の梗概を読んだ神友人から、「もっと仕事について深堀りしたら面白くなりそう」とアドバイスを貰ったこと

③ビジュアル的にインパクトあるものを入れた方が良いと感じたこと

 それで出来たのが以下の第一稿。

 原型は出来ているけど、自分が書きたいものが全然まとまっていなかったし、ラストは決まっていなかった。

 そこからは、友人三人ほどに読んで貰って疑問点やアドバイスをビシバシ言ってもらって自分の中で物語の情報や思考を整理した。それでようやく何をテーマとして物語の軸にするのかとかが見えてきた感じだった。持つべきものは友。これ唯一の真理ね(2つ目)。

 それで出来た梗概は、結構評価してもらえた。今あらためて見直したらまだまだな部分は多いけど、最低限のポイントは抑えられてるのかなって感じ。梗概が選出された時はめっちゃ嬉しかった。受講前は「できれば1回は選出されたいなぁ。でも参加者40人以上いるしやっぱ初心者には無理かなぁ」とか思ってたからテンションめちゃくちゃ上がった。ここで選出されたおかげで講座を完走出来たと思う。

 実作もそれなりに評価された。プロの方々から褒められてめっちゃ嬉しかった。以下、褒められた点。

・設定が結構込み入っているが、かなり手際よく説明出来ている。

・お仕事小説として、基本の仕事の大変さも伝わってきて、最後は自分に関わってくる。すごく綺麗に通っている。非常に読みやすかった。

・お仕事小説として、非常にうまく感じた。

 一方で、「基本形でまとまりすぎている、広がりが欲しい」「主人公への共感が溜まりきらなかった」「泣かせどころが普通過ぎる。誰が書いても一緒な感じ」といったアドバイスをいただいた。反省。

※ちなみに、文章力は永遠の課題である。周りの受講生は上手い人ばかりだし、私は自分で贔屓目に見ても下手なのでずっとコンプレックスを抱いていた。今もそう。早く文章上手くなりたい……。


第四回課題「神話をモチーフにした作品」

 第三回で梗概選出されていたこともあり調子に乗っていて、書くものが決まるまでは少し時間がかかったが、そこからは割と早く書けていた気がする。

 神話は全然知らなかったので、自分が元々知っていた旧約聖書に出てくる「マナ」を選んだ。アニメ『正解するカド』に登場するワムの(おそらく)元ネタでもある。まぁこれが神話なのかもよく分かってなかったので、物語自体も神話っぽくしてお茶を濁そうと考えた。

 んで、「マナ」だけだと何も発想が飛ばなかったので、書店で目についた宮沢賢治の『永訣の朝』を下敷きにしようと決めた。それで出来たのがこの梗概である。モチーフを西洋と日本から取ってきた上にゴーレムも上乗せしたので、用語とか雰囲気がとっちらかってしまい、それを整えるのに苦労した記憶がある。出来るだけアイデアは絞って作った方が良いと反省した。ただ、個人的にはそれなりに作れたという手ごたえもあった。残念ながら選出はされなかったが(もしかしたら最後に一声押してればねじ込めたかもとか思ったりした)。

 一つ印象的だったのは、梗概講評で「20,000字のボリュームではない」と言われたこと。自分の中では余裕で20,000字書けると思っていたので意外だったが、プロの目線からだとフラッシュフィクションくらいのボリュームで書くのが適切な話だと思われたということ。多分だが、ビジュアルイメージをかなり強くしたことで、物語性よりも一枚絵のようなインパクトを求める方が良い作品だという印象になったのだと思う。ビジュアルは大事だけど、ストーリーも大事。両立は難しいね。


まとめ

 個人的には第三回で梗概選出されたのが大きかった。そこから物語の構造とかを考えるようになるきっかけにもなったし、モチベーションも上がった。今振り返ってみて、これは良かったなと思えるのは、

① 梗概を友人に読んで貰って疑問点を挙げまくってもらう(マジ大事)

② タイトル・設定・登場人物・舞台なんでもいいからまずは一つ出発点を決める

③ 自分の好きな小説の物語の構造を分析してみる(私の場合は『know』だった)

④ とにかく完成させて提出する(一番大事)

 である。特に①と④は絶対に全員やった方が良い。客観的な視点があるとないとでは出来上がりのクオリティが全く違う。正直私一人で作って出してるだけだったら、一度も梗概選出にかすりもせずに終わっていたかもしれない。恥を忍んででもやった方が良い。実際、第五期生の有志で事前に梗概や実作を見せ合いっこしたりもしていた。とはいえ、より沢山の人にコメント・アドバイスを貰うのが良いかと言われるとそうでもないと思う。最終的には1~3人に絞った方が良いと思った。

 そしてその上で絶対に完成させて提出しよう。でないと何も始まらない。0を1にすることの大切さは身に染みて感じた一年だった。0の自分が永遠と100にすることとか考えてても意味ないからね。

 では、続きはまた今度(たぶん)。

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