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#140字小説

140字小説みたいなやつ その2

 風が吹いている。風、気温によって態度を変える奴。気温が高いときほどありがたくなる。気温が低いほど刃物になる。こないだはいよいよ切り付けてきたので、皆が肌を出さなくなった。耳なし芳一はなぜか耳だけぬかったが、皆はその教訓をしっかり活かしている。

 ももたろさん、ももたろさん。お腰につけた、きびだんご。ひとつ、わたしにくださいな。ふむふむ、たしかにきびだんご風に装っていますが、わたしの目はごまかせ

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140字小説みたいなやつ

 なんとなく物足りない気分で貧乏ゆすりが激しいので、これで電力を生み出せないかと考えた。いくぶんかの試行錯誤の後、発電装置が完成した。なんとも満ち足りた気持ちだ。貧乏ゆすりも収まったし。

 変なにおいがすると母に伝えたら、きっとキンモクセイの香りだと教えてくれた。確かのこの木から匂うので、そうかこの木がキンモクセイなのかと納得しかけて、そこに吊り下がった人の死体が目に入った。

 朝焼けがまぶし

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