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#短歌
Uー25短歌賞応募作品「水があるはず」
香雪 蘭
歴史上もっとも愛を受け継いだ人間として生まれてみたんだ
水中は宇宙に近いと教わってプールサイドでさざめく星たち
大人には気付けぬ速度で蔓延する黒板消しで消せない陰口
ひなたにあるカウンセリングルームから足早に出て涙を流す
水槽で不自由がない金魚たち 許せなくってエアーを止める
教科書をピンクのラインで汚したい 大人になれば忘れるように
地球から出てきた石で地球から出ていく夢
2023年5月 自選5首/香雪蘭
他の方々がやっていて羨ましくなったので。続けるかどうかは未定です。
ワイパーの半径外に桜花 拭いきれないほどの春だね
カーテンを束ねる-広げる-また束ねる 欠かさないよう豆苗を飼う
連作「新生活」より
燃えるゴミ用の袋が昼前の道路に黄色い影を落として
連作「新生活」より
ひだまりが少し遠くて猫たちを代用品のように抱いて寝る
引き出しの中に詰め込むシー
短歌連作「シーグラス(あるいは、愚神礼賛)」の販売
農工大短歌会会誌「高梁2」に、香雪蘭名義で連作「シーグラス(あるいは、愚神礼賛)」を提出しました。
BOOTHにて200円で販売しているそうです。
もしよければ、ご購入ください。
https://t.co/dA85iwS7LD?ssr=true
U25短歌賞応募作品「銀河のせせらぎ」
青 夜が明ける空へと泳ぎゆく魚の鱗に映る僕たち
カフェインはざらざらしてて取れなくて夜焼けを運ぶバイクになりたい
お風呂場でスーパーカップ(抹茶味)を丁寧に掬う夜明けがあった
先輩が去った四月によく似てるイヤホンが無い通学電車
予報よりスピード上げた前線をチャリで追い越す ずっと青春
目の前の白ソックスのくるぶしがバイオレンスな螺旋階段
まっさらなノートは私そのものだ 書くほど道は狭く