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U25短歌賞応募作品「銀河のせせらぎ」


青 夜が明ける空へと泳ぎゆく魚の鱗に映る僕たち

カフェインはざらざらしてて取れなくて夜焼けを運ぶバイクになりたい

お風呂場でスーパーカップ(抹茶味)を丁寧に掬う夜明けがあった

先輩が去った四月によく似てるイヤホンが無い通学電車

予報よりスピード上げた前線をチャリで追い越す ずっと青春

目の前の白ソックスのくるぶしがバイオレンスな螺旋階段

まっさらなノートは私そのものだ 書くほど道は狭くなってく

サボテンの棘の目をする君だから砂漠のような私においで

クリームの付いてる方をあげるからクッキーだけをください一生

綺麗には泣けないままに21歳になったよ ところで元気?

ホルマリン液で満たしたこのビルで死んでるように働いて死ね

ヤンキーとドンキで買ったヘリウムを胃袋に貯めクジラと泳ぐ

電力がかなり逼迫してるからGoogle mapでそこを見とくね

賞味期限切れのラムネのビー玉がシー玉になるそれでも光る

擦り切れる方がよかったiPhoneの中のアイドル、写真、音楽

しなくていいことだけしたい 会社にも先がまーるい鉛筆はある?

祈るべき神を持たない僕たちが信じているのは非常階段

ラムサール湿地に名前を書くために国家予算で買う油性ペン

貰いものの貝塚となる三月の部屋でヒト科の化石になろう

ビー玉の海を裸足で渡るんだ 一応、浮き輪も付けたまんまで

無差別に、でも柔らかい部分から私を食べてください。誰か。

Amazonで消えるインクを買いました 埼玉県に渚が無いから

星屑を編んだロープでならきっと首を絞めても痛くないよね?

電源がオフのラジオをジャックして聞かせてあげる銀河のせせらぎ

眠れない夜の数だけ眠すぎる朝が来ることセブンイレブン





応募したものの箸にも棒にも引っ掛からなかったし、同世代のやばい短歌に悔しくなったりしたけど、短歌を続けていることこそが答えなんだと思う。まだまだ頑張りたい。

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