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『TSMCがマスクを勝手に使ってチップを横流ししてる』とかいう深田萌絵さんの嘘、ありえなさすぎワロタwww

 深田萌絵(浅田麻衣子)さんが昨年4月に有料メルマガで出していた記事をnoteに公開しているのですが、内容が想像以上に妄想しかなくて想像以上にヤバいので指摘しておこうと思います。

ワシントンポストから遂に報道された。
TSMCのチップが解放軍ミサイルシステムに利用され、それが米軍空母に照準を当てているかもしれないという記事だ。(リンクは下)

これまで、筆者はブログや講演会では、TSMCで製造されたチップが解放軍ミサイルに利用されているとしか考えられないと話を繰り返してきた。
解放軍ミサイルで利用されるFPGAチップである。
ミサイルのシステムを高度化すると、処理にFPGAチップが必要となってくる。

FPGAチップとは、普通のチップと異なり、製造後に機能を書き換えられるプログラマブルチップのことである。

ワシントンポストの記事はこちら。
発行当初は有料記事でしたが、現在は誰でも閲覧できます。

https://www.washingtonpost.com/national-security/china-hypersonic-missiles-american-technology/2021/04/07/37a6b9be-96fd-11eb-b28d-bfa7bb5cb2a5_story.html

深田萌絵さんは有料メルマガ記事の冒頭に「ワシントンポストから報道された」として、
そのすぐ後ろに、解放軍ミサイルで利用されるFPGAチップというものを解説しています。

しかし、ワシントンポストの記事には…


FPGAチップについては、1文字も出てきていません(笑)

記事内を「FPGA」で検索した結果。
0でした!

ワシントンポストで報道されたと言いながら、何故突然その記事に一言も書かれていない「FPGAチップ」の事を言い出したのか・・・
私にはさっぱりロジックがわかりません。

また、ミサイルそのものに搭載されているかのような書きっぷりですが、ミサイル開発時のシミュレーションをするスーパーコンピューターに使われてしまったという報道です。

ワシントンポストの記事中には、このスーパーコンピューターに使用されたチップについて、以下のように記載されています。

2016年5月、CARDCは、極超音速ミサイルやその他の航空機の空力設計を支援する「ペタスケール」スーパーコンピューターを発表しました。ペタスケールコンピュータは、1秒あたり1兆の計算を処理できます。

2018年と2019年に、CARDCの科学者は、極超音速兵器の研究については説明していませんが、スーパーコンピューターを紹介し、計算がPhytiumの1500および2000シリーズチップで行われたことに注目した論文を発表しました。

CARDC、Phytium、軍事大学、およびTianjinスーパーコンピューティングラボは現在、さらに高速なコンピューターを開発しています。これは、1秒あたり100万兆回の計算という「エクサスケール」の速度を処理できます。中国の国営メディアによると、Tianhe-3と呼ばれるスーパーコンピューターは、Phytiumの2000シリーズチップを搭載しています。

このようなチップを製造するには、Phytiumには最新の設計ツールが必要です。


※筆者注
CARDC=極超音速試験施設は中国空力研究開発センター

https://www.washingtonpost.com/national-security/china-hypersonic-missiles-american-technology/2021/04/07/37a6b9be-96fd-11eb-b28d-bfa7bb5cb2a5_story.html

Phytiumの1500および2000シリーズチップは、FPGAチップなのか・・・?

はい、どう見てもFPGAチップではありません(笑)
やっぱり深田萌絵さんが突然話題に出してきたFPGAチップは、本件とは全く関係ない深田萌絵さんが突然言い出した話のようですw

しかし、深田萌絵さんの有料メルマガでの解説は、ワシントンポストの記事でTSMCで製造されたFPGAチップが解放軍ミサイルで利用された事が報道されたかのような空気を醸し出しながら進みます・・・

FPGAチップはザイリンクスとインテル(元アルテラ)の二社で市場の9割を占めている。
そして、両社ともに台湾ファウンドリ(半導体製造工場)を利用している。

・・・として、FPGAチップの大手が2社ともTSMCでチップを製造していると解説。

(あれ?アルテラがIntelに買収されてから、IntelのFPGAはIntelで製造されてるんじゃないんですか???違います?)


詳しく調べていないので、どなたか教えていただけるとありがたいです!
(↓情ポヨさんが教えてくださいました!)

先に進みます!

深田萌絵さん曰く、IntelのFPGAをIntelの工場から横流しするのはリスクがあるからFPGAチップを横流しするなら台湾なんだそうです。
犯罪人引渡条約もないからだそうです。

ちょっと意味分かんないですね。なんでIntelのFPGAチップが中国解放軍に流れてる前提の話になってるんだろ…

もう一度言いますが、
このワシントンポストの記事に「FPGAチップ」の話は一度も出てきません。


しかし、さらに妄想は続き…

TSMCはマスクを勝手に使ってチップを横流しする???

ザイリンクスやインテルがTSMCに一度でもチップ製造を依頼すれば、そのチップのマスクはTSMCに残る。※マスク=半導体チップを焼く時の写真のネガみたいなもの

そのマスクを使えば、ザイリンクスやインテルが知らない間に工場で同じものを製造して、横流しできるのだ。

……と、有料メルマガで語る深田萌絵さん。

TSMCは受託製造を受けて製造すると、そのマスクは全てTSMCに残り、TSMCはそのマスクを勝手に使って同じチップを製造し、横流しできる

・・・んだそうです(笑)
あくまで深田萌絵さんの妄想半導体業界あるあるによるとですよ!!!!
こんなクソデマ信じちゃう人は、詐欺師のカモになりやすいので気をつけてください。

ほんとにね、ちょっとだけしっかり考えてみてくださいよ。
世の中さー、そんな楽チンな話があるわけないでしょーーー?
半導体ガチ勢半導体産業現役従事者の情ポヨさんに教えていただきました。

第9章-半導体チップ製品に対する保護 | 外国著作権法一覧 | 著作権データベース | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

マスクは著作権保護されているし、法的な保護だけではなく製造受託の際に、企業間でさらに厳しい契約を取り交わしているわけです。

つまり、こっそりマスクを流用なんてしたらTSMCは終了です。
半導体産業をナメきっている深田萌絵さんは、妄想しかしないので、

例えていうと、昔、GUCCIとCOACHの中国工場で、同じ製造ライン、同じ素材、同じデザインでライセンス番号がないだけの「偽物」(モノは本物と言っても過言ではない)が香港経由で日本に出回っていた。

なんていう例え話をしながら、TSMCがマスクを勝手に使って半導体チップを横流ししている妄想話を前提に嘘半導体話をふかしているというわけです。

横流しなんてしてたら訴えられてますし、そんな信頼できないファウンドリに世界中の半導体企業が委託製造依頼なんてするわけ無いでしょう???
ちょっと考えればわかる話だと思うんですけどね。

そんなことしてたら業界からハブにされるわ。
そんなファブハブにされるわ!!!!!(ドヤァ…)


「TSMCは受託製造した半導体のマスクを勝手に使い、同じ半導体を作り中国人民解放軍へ横流ししている。」

深田萌絵さんのTSMCに対する陰謀論はこの主張を主軸としています。
何故そんなことをするかというと、青幇・浙江財閥という中国由来の闇組織や財閥の会社だから・・・という陰謀論の組み立てをしています。

TSMCは青幇・浙江財閥?

深田萌絵さんは、TSMCの創業者モリス・チャン氏が浙江省出身というだけの理由で、台湾の護国神山と言われているTSMCをファーウェイのフロントなどと嘘ぶいています。
TSMCは李登輝総統肝いりの会社で、台湾政府のVLSI計画からスピンオフしてできた会社です。

深田萌絵の台湾とTSMCに対する嘘だらけの陰謀論は、台湾に友好的な気持ちはあるが台湾のことをよく解っていない日本人と、日本に友好的な台湾の関係を嘘で分断し、結果的に中国を利するものです。
気をつけましょう。

ワシントンポストの記事にTSMCが横流ししたなんて話はない

深田萌絵さんは有料メルマガでさらに語る。

工場を自社で持たないというのは、ブランドであろうが、半導体チップであろうが、そういうことが起こる。
ただ、今回はそれ以上の報道が流れたということだ。

それ以上の報道も何も、そんな「TSMCがマスク勝手に使ってチップを横流ししてる」なんて報道がどこにもないんですけどね(笑)

ワシントンポストの記事に書かれているのは

・米国製の設計ソフトが中国に軍事利用されてしまった事を問題として冒頭に提示し、
・Phytium Technologyと呼ばれる中国の企業が、
・アメリカ企業のCadenceとSynopsysという超重要設計ソフトで設計し、
・台湾のデザインサービス会社Alchipを経て台湾TSMCで製造。
・PhytiumはAlchipにサーバーやPC用のチップの製造と説明し、軍用ではないとする規定の協定への署名をしたにもかかわらず、
・チップを人民解放軍関連のスーパーコンピューターへ流用し、
・そのスーパーコンピューターが極超音速ミサイルのシミュレーションに使われた。
・その為、バイデン政権はPhytiumを含む6つのスパコン絡みの中国企業と研究所をエンティティリストに載せた。
・今後もエンティティリストで抜け穴を埋めていくしかない。

・・・という内容です。(一部省略)

Phytiumは軍事利用しないという契約を破り、極超音速ミサイルのシミュレーションに使うスパコンにチップを流用した。

設計会社・デザインサービス会社・ファウンドリなどの関係は、
【八洲子の部屋第7回】深田萌絵さんちのジェイソン・ホーさんのトラブルを解説する前に、半導体製造の工程とデザインサービス会社やファウンドリについて解説します。 
で解説していますので、よかったら見てください☆

↑を見た上で、TSMCへのデマ解説↓を見るとわかり易いですよー 


まとめ  


・ワシントンポスト記事に、深田萌絵さんお得意の「FPGAチップ」の話なんて一言も出てきていない。

スパコンに流用されたPhytiumのチップは、FPGAチップではない。

・ワシントンポスト記事に、深田萌絵さんのいうTSMCが横流ししているなんて妄想話はどこにも出てこない。

・TSMCがマスクを勝手に使って解放軍にチップを横流ししているとかいう説は、半導体業界従事者から超バカにされているただのドシロウトの妄想。 

・・・ということです☆
有料メルマガにここまで酷い妄想がぶち込まれているとか、悪夢ですね。


※TSMCが横流ししているというトンデモ説をそのまま鵜呑みにしてしまう人には何を言っても言葉が通じませんが、
信じないながらも、そういう事も中国ならやりかねないか~、よくわからなけどまああるかもしれないな~・・・と思う一般人は五万といます。
そういう人達が騙される道に入り込まない為に、有識者の方が、発信力のある方が、わかりやすい記事を出してくださる事を願っています。



シン・ヤスコできました!
バーチャルやすこの新バージョンです。ちゃんと動くかチェックしただけのゆる〜いライブ配信動画になっております( ꈍᴗꈍ)


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