いつかまた奈良で(皐月物語 153)
法隆寺東院の四脚門を出た稲荷小学校の児童の行列は参道の石畳の上を歩いていた。築地塀と桜並木の間を同級生たちが列をなしている様子は壮観だ。最後尾から眺めていた藤城皐月は飛鳥時代の法隆寺で行われる法要に僧として参加しているような気分になった。
案内人の立花玲央奈の隣には神谷秀真が陣取っていた。ここから南大門に到着するまでの残された時間、皐月は玲央奈とともっといろいろな話をしたいと思っていた。だが、秀真にとってはこの瞬間こそが立花との一期一会になる。そう思うと、秀真の好きにさせ