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皐月物語

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小学六年生の男の子、藤城皐月くんの恋愛物語。
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記事一覧

修学旅行、京都駅から鉄道と徒歩で清水寺へ(皐月物語 131)

 午前9時になると、稲荷小学校の修学旅行初日の班別行動が始まった。各班は行き先に別れ、そ…

音彌
5日前
7

修学旅行、京都駅まで(皐月物語 130)

 稲荷小学校の6年生たちは豊川から京都へ向かった。一泊二日の修学旅行の初日は京都へ行き、…

音彌
13日前
12

修学旅行の朝、出発式(皐月物語 129)

 修学旅行の朝、藤城皐月はいつもより早く目を覚ました。外はまだ薄暗かった。窓を開けて新鮮…

音彌
2週間前
10

修学旅行前夜(皐月物語 128)

 藤城皐月と江嶋華鈴は二人だけの最後の修学旅行実行委員会を終え、4・5年生たちが授業を受け…

音彌
3週間前
11

漣(皐月物語 127)

 藤城皐月は二日続けて学校帰りに明日美の家に通った。前の日はただ明日美に甘えるだけで家に…

音彌
1か月前
8

この涙はそんな美しいものではない(皐月物語 126)

 月曜日の朝、藤城皐月はいつもより遅く目を覚ました。通学服に着替えていると、洗面所からド…

音彌
1か月前
8

救済の女神(皐月物語 125)

 夜も8時を過ぎると、豊川稲荷表参道の店のほとんどがシャッターを下ろしていた。満の駆るホンダ・ビートは人気のない道をゆっくりと走り、藤城皐月を小百合寮まで連れ帰った。玄関に行燈看板がぼんやりと灯っていた。 「百合姐さんに挨拶しておかないとね」  ヘッドライトを消してエンジンを切ると、車の中の二人は夜の静けさに包まれた。皐月が助手席から降りると、満も皐月に続いた。行燈の淡い光に照らされた満は一分の隙もないホステスの顔に変わっていた。 「ただいま~」  玄関の戸を開けると、楽器置

二人の秘密(皐月物語 124)

 満の運転するホンダ・ビートは大津通を進み、大須商店街の万松寺駐車場ビルに入ろうとしてい…

音彌
1か月前
10

刺激的な新しい世界(皐月物語 123)

 いつもは夕食の時間の6時ギリギリに帰ってくる藤城皐月だが、この日は時間を余らせて早めに…

音彌
2か月前
8

消えそうな恋心(皐月物語 122)

 土曜日の朝、藤城皐月はいつもより少し遅い7時の起床だった。部屋着のまま洗面所に行くと、…

音彌
2か月前
11

破戒無慙ぎりぎり(皐月物語 121)

 児童会室を出た藤城皐月は6年4組の教室に戻る前に3組に立ち寄った。修学旅行実行委員の田中…

音彌
2か月前
10

こんな言葉を聞く日が来るとは思わなかった (皐月物語 120)

 学校の帰り道、藤城皐月は通学路を逸れて豊川稲荷へ寄り道して、一人で境内を歩いていた。平…

音彌
2か月前
8

嬉しくて楽しいことしかなかったはずなのに(皐月物語 119)

 稲荷小学校の木曜日の昼休み、給食当番を終えた藤城皐月は5時間目の体育の授業に備えて体操…

音彌
3か月前
4

恋愛モード、遊びモード(皐月物語 118)

 朝の6時少し前、スマホのアラームが鳴る前に起きた藤城皐月はすっきり目覚めた勢いで学校の体操服に着替えた。顔を洗いに洗面所に行くと、すでに及川祐希が身だしなみを整えていた。 「おはよう、祐希」 「おはよう、皐月。お母さん、まだ寝てるみたいだから、今日の朝食はパピヨンでモーニングね。私は6時半の開店に合わせて行くけど、皐月も一緒に行く?」 「いいよ。行こう」  芸妓の置屋の小百合寮では時々こういう朝がある。前の日に皐月の母の小百合がお座敷の終わった後、祐希の母の頼子と二人でお酒