ローカルマーケット
結婚と共にした引っ越しにより、トゥクトゥクで10分圏内に日系と欧米系スーパーがある便利なところに住むようになった。
プノンペンで食材を調達する方法は主にふたつあって、ひとつは日本にあるのと大して変わらないような外国人向けスーパー、もうひとつはプサと呼ばれる主に現地の人が買い物をする地元市場である。
地元市場は建物の中ではなく外にある。常夏の国にも関らず、野菜も肉も魚もクーラーや冷蔵庫がない中で売られている。カンカン照りの太陽の下に豚肉が並べられ、売り手のおばちゃんが無表情で肉に集まってくるハエを追い払っているのを最初に見たときはとても驚いた。肉というのは必ず冷蔵庫に入れなければいれないものではなかったのか。というかハエは肉に寄って来るんだな。そりゃそうか。
そういうわけで地元市場ではとても何かを買う気になれず、いつも大型日系スーパーで買い物をしてきた。
ところが最近いつものように大型スーパーで買い物をしているとき、ふと原産地が気になった。安いと喜んで買っていた人参は中国産だった。
いちおう世界の中では先進国と呼ばれる日本からはるばる途上国に来て、綺麗にパッケージされているからという理由で、大国から輸入された野菜を喜んで買う私は、なんともおばかさんのように感じられた。たった40円かもしれないけれど、もう少しカンボジア人の益になるようなお金の使い方はないのだろうか。
よし、地元市場に行こう。
そういう訳で今日も市場に野菜を買いに行った。ライムと玉ねぎ二つと、大きな茄子とレタスとにんにく、きゅうり二本。おまけで青ネギと唐辛子がついて120円だった。安い。
ちなみに野菜売り場のチャキチャキしたおばちゃんは、野菜を選ぶ私を見ながら、お隣のお店のおばちゃんと私が何人(なにじん)であるか議論をしていた。
「タイ人だよ」
確信を持って宣言する野菜屋のおばちゃん。
今まで中国人、韓国人、カンボジア人だと思われたことがあった。記念すべき今日、タイ人が加わった。記録が更新された。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?