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みつ子のはなし

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おばあちゃんのはなしを少しずつまとめることにした。自分のための記録として。
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みつ子のはなし三

みつ子のはなし三

これは、おばあちゃんのはなしのメモ。
おばあちゃんの記録として聞いたことを少しずつ。

つづき…

たまにアンマーは、1円や2円など小銭を机の上に置いたまま忘れる事があった。
それを見つけた人が「アンマー、また仕舞い忘れてるよ」と渡すのだが、アンマーは「知らん知らん、見つけた人がなんとかしなさい」といつも言う。
誰が見つけても、アンマーは自分が置き忘れたのを決して認めることはなかった。

アンマー

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みつ子のはなし 二

みつ子のはなし 二

これは、おばあちゃんのはなしのメモ。
おばあちゃんの記録として聞いたことを少しずつ。

つづき……

そこは別の島の漁村で、海岸沿いのたくさんある網元の1つに売られた。

サバニと呼ばれる小さな漕ぎ舟は7人乗りで、その舟を10程も持っている網元だった。そこは女将さんが全ての人間を束ねあげていた。旦那さんはというと、外の若い女のところに入り浸りでたまにしか見ることはなかったが優しい人だった。

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みつ子のはなし

みつ子のはなし

これは、おばあちゃんのはなしのメモ。
おばあちゃんの記録として聞いたことを少しずつ。

みつ子は南の小さな島で昭和8年に生まれた。
13歳離れた長兄、5歳上の姉、2歳上の次兄がいた。
自宅から少し離れた畑で働く父と、全盲の母。4歳の時には妹も生まれ、とても貧しかったがなんとか暮らしていた。

よく覚えているのが小学校の入学式。
誰かが勘違いして教えたのか、なぜか自分の名前「みつ子」が漢字の「光子

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