コロナ渦不染日記 #50
九月七日(月)
○新型コロナウィルスの影響は各所におよび、ぼくの仕事も例に漏れず、不断の状況判断を強いられているのだけれど、それにしても、今日の業務は無茶ぶりがすぎる。業務の委託とは、協業であって、丸投げでは困るのである。丸投げするにしても、そのことに対してひらきなおらないでいただきたいものだ。
○クリストファー・マクドゥーガル『BORN TO RUN 走るために生まれた』を読む。
○本日の、全国の新規陽性者数は、三〇九人。
そのうち、東京は、七七人。
九月八日(火)
○朝、出勤すると、すこしばかり涼しさを感じた。夏がもう終わる。
○取引先のひとつで、利用者に新型コロナウィルスの感染者が出た、という報告を受ける。ぼくが出向した日ではないし、関連した部署でもなく、しばらく出向する予定もないのだが、こうしてニアミスすると、あたらめて新型コロナウィルスは身近なものであるということを意識せざるをえない。
「——つまり、何でも、運ですなあ。……」
——山田風太郎『戦中派不戦日記』より。
○本日の、全国の新規陽性者数は、六二三人。
そのうち、東京は、一七〇人。
九月九日(水)
○昨日の今日なので——といっても、事後報告ではあるが——毎朝検温をすることにした。
今朝の体温は三六・五度。
○ずっと準備してきた仕事がうまくいった。
○ぼくがプライベートで使っている(この日記を打ち込んでいる)パソコンはLenovoの「Thinkpad X230」である。もう十年近くまえの機種であるが、ぼくがパソコンで行うことといえば、原稿を書くことと画像を編集すること以外には、たまにゲームをするくらいだから、このくらいのスペックでも充分なのである。
ところが、最近少し動作が重くなってきた。メインで使っているブラウザのGoogle Chromeも不安定で、特にこのnoteで日記を書いていると、停止してしまうことが多くなった。そこで調べてみると、Windowsの入っているドライブの容量が減少していることがわかり、さらに調べると、iPhoneのOSやファームウェアをアップデートした際に、保存された旧いデータが蓄積していることもわかったのである。
そうとわければ、重たくなるデータは消してしまうに限る。実際、そうすることで、削除まえには起動できなかった、『SUPERHOT:MIND CONTROL DELETE』が起動できたのである。
○本日の、全国の新規陽性者数は、五〇八人。
そのうち、東京は、一九四人。
九月十日(木)
○朝、いやな夢を見て目を覚ます。まったく、夢というのはやっかいである。片付けたと思っても、記憶のどこかに残っていれば、ふとした瞬間に現れる。幽霊のようなものだ。
今朝の体温は三六・三度。
○過去を悔やまないものに、幽霊は見えないという。だから、幽霊を見たくなければ、過去を意識しなければよい。だが、過去を意識せず、悔やまないものとは、死んだものである。すくなくとも、そうして生きているものは、夏目漱石が『草枕』で述べたような「人でなし」であろう。
○退勤後、ジャンテー・ギョーム『ソニアとコナン対二ンジャ』を読む。
跳び回るニンジャ、頭の中で話しかける魔法使い、邪悪な計画と巨大なクリーチャー、火か氷の砂漠、バッサリ切れる剣とアッサリ殺す魔法、威風堂々たる英雄と悪辣な大悪党、悲鳴、怒り、勇気のある行動と衝撃的な対話!
ソニアとコナン対ニンジャの中でこれ以上のものを見つけるでしょう!
ソニアとコナン対ニンジャは14歳以上のプレイヤー3〜5人用のロールプレイング・ゲームです。
簡単なルールに特別な準備はなし。みんなで協力して、昔のパルプ雑誌や90年代のZ級映画の精神を宿した、壮大かつ生き生きとした物語を生み出します。
6面サイコロ、筆記用具、付箋かメモ用紙を武装し、レッド・ソニアまたはコナン・ザ・グレートのサウンドトラックを大音量で流し、脳筋になりましょう。
バーバリアンとしても、邪悪なニンジャとしても、驚異的なアクションシーン、パンチのある対話シーン、表現力豊かな別行動シーンを交互にプレイしながら、友達と戦い、伝説を創り上げます。
この小冊子の中で、すぐにプレイするためのルール、サンプルゲームと印刷用のバーバリアン・シート、ニンジャ技巧、およびルールサマリーがついてます。
読み通していただいたことへの謝辞を連ねたいところですが...あまりバーバリアンらしくないでしょう。なので「良いゲームを!クロムよ!」とだけ。
日本語訳 レオクマック理佐子&Mathieu Leocmach
——ジャンテー・ギョーム『ソニアとコナン対二ンジャ』より。
上記の説明がすべてである。まったくごきげんなTRPGである。いずれどこかでオンラインセッションでもやってみたいものだ。その際には、どうか読者よ、お力をお貸しいただきたい。
○本日の、全国の新規感染者数は、七一二人。
そのうち、東京は、二七六人。
九月十一日(金)
○今朝の体温は三六・五度。
○東京都は、二十三区内の、酒類を提供する飲食店などに対する、営業時間短縮の要請を、十五日で終了することを決めたという。その根拠は、新規感染者数が減っているからというが、そこから見えるものはといえば、またぞろ新規感染者が増えるであろう秋以降にそなえ、今のうちに稼げるだけ稼いでもらおうという腹づもりであろう。
もちろん、上記の根拠は、感染確率の低下を保証しない。「感染者が減っている(ように見えている)」というだけのことだ。事実、ぼくの取引先のひとつは、利用者に感染者を出して、いまだに営業再開していない。感染リスクが減っているわけではないのであるし、そのことは政府も理解しているであろう(していなければそれはそれで問題だ)。そのうえで、なお営業時間短縮を解除するというのは、この時期を逃しては、経済を回す機会を失うと考えたからだ。
しかし、そうして経済を回したいのであれば、それに先立つ生活の保障を拡充させるべきであろうし、それが税収をストップさせても行うことができないというのは、都の政策の不備、ひいては日本政府の政策の不備ということになるであろう。さんざん税金を納めてきて、もちろんその恩恵を受けていないというわけではないが、この災禍に際して、個人的な目線で見えるかたちで行われたのが「緊急事態宣言発出から三ヶ月後に給付された十万円」だけというのは、なんだか拍子抜けするところである。
○本日の、全国の新規陽性者数は、六四五人。
そのうち、東京は、一八七人。
引用・参考文献
イラスト
「ダ鳥獣戯画」(https://chojugiga.com/)
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