見出し画像

まさか歌舞伎町No.1ホストの実家が町中華だったなんて【丸鶴 @大山】

「一番好きな食べ物はなに?」

もし誰かにそう聞かれたら、自信を持って「ラーメン」と答えるはずだった。最近、自分の中でチャーハンの存在感を日に日に強く感じるようになって来た。だから最近自分の一番好きな食べ物がラーメンなのかチャーハンなのか分からなくなって来ている。理由は分からないが、もしかしたら私はこれまでチャーハンのことを軽んじていたのか、もしくはチャーハンのポテンシャルに気づけていなかったのかもしれない。

2,3ヶ月前までは週1でラーメンを食べていたが、最近は週1でチャーハンを食べている。週1でラーメンを食べていた頃もそうだったが、週1でチャーハンを食べ続けてもまったく飽きない。なんなら週に2回食べる時もあるが、飽きが来る予感がしない。チャーハンは美味い。

そしてついこの前の土曜日、ふとこんなことを思った。


ちょっと変わったチャーハンが食べたい。


そう思ってやって来たのは板橋区大山にある「丸鶴」という町中華。
朝に喫茶店「ピノキオ」でパンケーキを食べた後に行って来た。ピノキオに行った時の話は以下の記事で紹介しているので、興味ある方は是非。

「丸鶴」と聞いてグルメに関心がある人ならピンと来るはず。なぜならそのお店は何度もテレビ出演しているほどの有名な町中華だ。

加えてそのお店にはもう一つ唯一無二の特徴がある。それはこのお店が城咲仁さんのご実家であること。城咲仁さんと聞いてピンと来る人は私とそこまで歳が離れていないかもしれない。城咲さんは私たちが子供の頃、バラエティ番組を盛り上げていたタレントの一人だ。彼の特徴は歌舞伎町のホストクラブの元No.1ホストであることだろう。2000年半ばのホストといえば城咲仁、そう言っても過言ではないほど、バラエティを席巻させていた人物である。まさかそんな歌舞伎町No.1ホストのご実家が町中華だなんて物凄いギャップである。


私がお店にやって来たのは土曜日の12時ごろ。私は事前にお店のGoogleの口コミを確認しておいたところ、特に行列ができるとかそういう情報は見当たらなかったのでランチタイム真っ只中の時間に行ってみたら、そこでは私の予想を遥かに超える行列が待っていた。

おいおい、こんなに並んでいるのか。これほど「聞いてないよ〜!」と叫びたくなることもない。ざっと見ただけでも軽く20人くらいは並んでいる。ひとまず私は最後尾につき、この後の暇をどう潰そうか悩んだ。

まずは並んでいる間、他にどんな人が並んでいるのか眺めていた。テレビで散々紹介されているからなのか、他の町中華ではあまり見かけない若いカップルを多く見かける。もしもああいうヤツらが店でイチャついた結果店の回転が悪くなっていたらどうしよう。行列店に並ぶ時は店内イチャラブカップルはいつだって我々の敵である。そういうのは行列町中華じゃなくて他所でやってほしいといつも思う。


私が並んでいる間も行列はどんどん伸びていく。私が並び始めて5分後には後ろに15人くらい並んでいた。行列に並ぶ人の中にはタイムマシンに乗って来た人なのかと思うぐらいすごい腰パンの男性もいた。この有様だからかお店にやって来たが行列を見て断念する人も多く見かけた。あと5分遅かったらと考えるだけで恐ろしかった。

並んでいる途中、お店のスタッフさんが外に出て来て人数を確認しながらメニューを配り始めた。メニューを見て、私の注文は「とび子チャーハン」と「ラーメン」とすぐに決めた。というかここに来る前から決めていた。メニューをすぐに決めた私はその後メニューを団扇代わりにして待ち続けた。


待つこと40分ほど。ようやく店内に案内された。 1人なのでカウンター席。1人でやって来た者の特等席である。目の前では大将が鍋を振っている。あれが恐らく城咲仁さんのお父さんだろう。間近で見るとたしかに城崎仁さんの面影があるような気がした。そんな大将を見ていたら隣から別の店員さんが

「ご注文は?」

と聞いて来たので、かねてから決めていた「とび子チャーハン」と「ラーメン」を注文した。私がオーダーを伝えると店員さんが

「今日唐揚げやってますけどご一緒にどうですか?」

と私に聞いて来た。ここの唐揚げは金曜と土曜限定のメニューらしい。限定と聞いて多少心が揺らいだが、ただでさえチャーハンとラーメンを食べる私はきっと食べきれないだろうと思い、「すいません、大丈夫です」と店員さんに伝えた。

店内に置かれているテレビでは『東京オズワルドランド』という番組が放送されていた。最近テレビで引っ張りだこのお笑い芸人、オズワルドの番組である。その番組では今目の前で鍋を振っている大将が出演しており、まさにこのお店が紹介されていた。私は芸人のオズワルドは好きだが冠番組を持っていることは知らなかったので、このお店が紹介されている、ということよりも、いつの間にか冠番組持ってたんだ、という気持ちが先だった。その番組の中では、このお店のチャーハンはできるまで20年かかったことが紹介されていた。チャーハンのために20年を費やす大将の情熱には脱帽である。

冠番組だからかはしゃいだ服装を着ているオズワルドの二人を眺めていたら、あっという間に料理が提供された。注文してから5分ほどの出来事である。「丸鶴」のとび子チャーハンは、他の店では見かけない唯一無二の出立をしていた。

とび子チャーハン ¥950

その隣には、どっしりと構えているように見えるラーメンの姿があった。

ラーメン ¥600

チャーハンも楽しみだが、まずはラーメンからいただいてみる。スープをまず飲んでみた。昔懐かしさがありつつもパンチのある醤油スープだ。なんとなくだがスープに大将の男気が混ざっているような気がした。

麺は町中華のラーメンにしては少し太めだと思った。モチっとしていて美味しい。

続いて、今回の私のメインの目的であるとび子チャーハンをいただいてみる。

口に入れてみると、ラードとコショウのパンチを強く感じる、インパクトのある味だ。口の中で20年の歴史を感じる。そしてとび子の食感。これがたまらないアクセントになっている。本当に美味しい。もはやこれからとび子なしのチャーハンを食べたら物足りなく感じてしまうのではないか。心の中で嬉しさと不安が蠢いていた。私のレンゲは止まらなかった。

私の隣のカウンター席には40代くらいの男性が座っていた。彼はチャーシューチャーハンの大盛りを注文していた。並盛りのチャーハンでさえ私はそこそこボリューミーだな、と思いながら食べていたが、大盛りのチャーハンはさらにインパクトがある見た目をしていた。もし私がこれをラーメンと一緒に頼んでいたら食べきれなかったかもしれない。私は彼のもとにチャーハンが提供された時、並盛りにしておいてよかったと心から思った。

私は自分の料理を食べ進めながら、その大盛りのチャーシューチャーハンを食べている男性のことをたまに見ていた。食べ切れるのかどうか気になるからだ。というのも、彼は時々

「……ん〜っ」
「ふぅ〜」

などと言っている他、時折背筋を伸ばす様子が見受けられた。私はこの彼の態度を見てきっと苦しいのだろうと思った。彼はきっとずっと前からこのお店が気になっており、いざ入店したら目当てのメニューが目の前にあるものだから張り切って大盛りを注文。だが予想以上の量のチャーハンが来てしまい、自分のキャパ以上の量を食べざるを得ない、という状況に陥っているに違いない。これは全部私の妄想であり決めつけであるが、不憫である。でも可愛い。

私が食べ終わって水を飲んでいる時も、彼の口からはたまに空気の漏れる音が聞こえてくる。まるでパンクしたタイヤに空気を入れた時のようである。私は彼の行く末が気になり、できることならこのままお店に残って結末を見守りたかったが、店の外には今か今かとチャーハンを待ち望んでいる人が数多く存在する。私は彼らのために席を空けなければならない。私は立ち上がり、テーブル席で箸を止めておしゃべりに夢中になっているカップルを横目に会計を済ませた。その時ちょうど1550円財布の中に入っていたのでお釣りがなかった。気持ち良い。


店を出ると、外では私が入店した時と同じくらいの行列ができていた。本当にすごい人気である。城咲仁さんのホスト時代もすごかったのだろう。人気者の子は人気者、人気者の親は人気者なんだなと思わされた。そこで私の親が人気者かどうか、考えてみた。しかし2,3秒で考えるのをやめた。


今回行ったお店

中華料理 丸鶴
●住所:東京都板橋区大山西町2−2
●アクセス:大山駅から徒歩6分
●営業時間:
 (月〜木) 11:00~14:50
 (金・土) 11:00〜14:50
     17:00〜20:00
●定休日:日曜
●駐車場:なし


この記事が参加している募集

おいしいお店

イチオシのおいしい一品

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?