No.3 - 有限会社大一創芸
どんな会社ですか?
冠婚葬祭における、日本人の他者に対する礼節と心遣いの体現であるプロダクト「ふくさ」。有限会社大一創芸は、ふくさを中心に慶弔用のバッグ、他布製品全般の製造をおこなう専門業者です。ほぼ受注生産だったものの、2015年からオリジナルの自社商品の製造を開始。細かく折りたたむことができる機能性を持たせたり、ポップなテキスタイルを用いたりと、冠婚葬祭のシーンが多様化する現代にフィットした「スタイルふくさ」を開発するなど新しいふくさの形を模索しています。
ここがスゴイ
①反物から一貫して自社製造ができる
有限会社大一創芸はふくさに特化した会社。反物から一貫して自社で製造できることを強みにしています。そのため大学の卒業記念品など、オリジナル要素の強い商品製造の依頼を受けることも。インクジェットプリンターでのテキスタイル印刷から電子制御のミシンを使った刺繍まで、お客さまの「こういうものはつくれる?」というニーズを叶えられるような商品づくりをおこなっています。
②袋物の加工技術に長けている
繊維業界の中でも、ふくさの市場は大きいとは言えません。他社は風呂敷製造の一環でふくさ製造をおこなっていることも多く、それゆえ、出来合いの商品に刺繍をちょっとを施すだけ……というところも少なくありません。そんな中、一貫製造が可能な有限会社大一創芸のプロダクトは、袋モノに関する高い加工技術が活かされています。他者に対する気持ちを表すプロダクトであるからこそ、美しいフォルムや縫製であることを大切にしているのです。
持っている技術
①反物の裁断から縫製までの加工ができます
②オリジナルのテキスタイルデザインが可能です
③同時に複数の刺繍が可能で、大ロットの生産が可能です
苦手なこと
①鉄や樹脂の加工はできない
つくっている主なプロダクト
スタイルふくさ
金封を渡した後にポケットに収まるサイズにまで折りたためるふくさや、内ポケットにマチをつけ、慶弔の場面以外にもクラッチバッグの一種として使えるふくさなど、現在のライフスタイルにあったデザインの「スタイルふくさ」が看板商品です。ふくさのイメージを覆す、現代的な色合わせや柄を積極的に用いて、若い世代が使いたくなる商品を製造しています。
工場の様子
①生地を広げ、ナイフカッターで裁断する
ふくさといえば日本の伝統的なプロダクトですが、有限会社大一創芸では現代の技術を用いた製造方法を採用しています。布を延ばして重ねる延反機や、ナイフカッターなど、人の手を介さなくても製造ができる部分は積極的に電子機器を使って効率化を図っています。
②芯の不織布を挟み、ひとつひとつ手作業で縫製する
切り出された布に不織布を挟み、袋状に縫製します。機械も活用しますが、布ごとの細かなクセや特徴を配慮するには熟練された人の手による作業が必要です。手作業でおこなうことで品質の管理もおこなうことができるのです。ワンポイントの刺繍などは電子制御のミシンで一気におこなうなど、場面によって人の手と機械の手を使い分けます。
つくりての想い
いまでこそふくさの専門業者である有限会社大一創芸ですが、もともとは観光地のお土産屋さんに置かれている雑貨の製造からはじまりました。約20年前からふくさ製造に舵を切り、当時は私も跡を継ぐなんて考えてもいなかったことを覚えています。前職である保育関連の商社を辞め、会社を継ぐ際には「小さな業界だけど、あえて挑戦するのも面白いな」と意気込んだものです。
現在は看板商品の「スタイルふくさ」など製造する品の30%が自社製品。挑戦を重ねてきた弊社ですが、冠婚葬祭の価値観もどんどん変わっていくなか「次の一手」になる商品づくりをしていかなければならない……、そう感じるようになりました。大型文具店などでは、ご祝儀袋の種類は年々増えていっているのに、ふくさは売り場の面積が増えないのが悔しくて……。
※昔使っていた古い金型
ふくさはお金を包んで大事に持ち運ぶといった、日本特有の「心遣いの精神」がよく表れています。ふくさの形状にはどうしても限界があるため、形で真新しさを狙うことは難しいかもしれません。大切にしたいのは「心遣いの精神を次の世代に残すこと」。なので、プロダクトはふくさにこだわらず、どんな形状のもの・市場にでも挑戦したいですね。
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