No.4 - ラピス株式会社
どんな会社ですか?
ラピスは1日およそ3万本もの歯ブラシや舌ブラシづくりをおこなう、オーラルケア用品の製造会社です。大手メーカーからの発注を受けた商品だけでなく、自社オリジナル商品も多数扱っており、看板商品は、歯科医院などで使われる「ワンタフトブラシ」。円錐状に切られたブラシが特徴で、歯間などの清掃に重宝されています。
ここがスゴイ
①国内外のメーカーと関係を構築
大手メーカーの商品製造もおこないつつ、歯科医向けのオリジナル商品もつくるラピス。金型やブラシの繊維など、提携しているメーカーは多岐に渡ります。海外のメーカーとも提携をしており、お客さまのオーダーにあった商品づくりができるよう備えています。実際、「他の歯ブラシ製造業者には断られてしまったが、なんとかならないか……」、という相談事も多々あり、「規模は小さくても、大手には負けたくない」という気概でお客さんの課題と向き合っています。
②発想の転換で別の市場へもアプローチ
企画力の高さもラピスの特徴です。人間用のオーラルケア商品だけではなく、ペット用の歯ブラシなどの製造にもチャレンジしており、大阪で出会ったトリマーの方とタッグを組んで、3年もの歳月をかけて商品をつくりあげました。毛の材料から新規でつくるような、全く新しいプロダクトの企画立案もおこなっています。
持っている技術
①金型の設計や、材料選定の知見がある
②アクリルへの印刷ができる
③手作業でのブラシの埋め込みもしている
苦手なこと
①木製の歯ブラシはささくれや湿気によるカビが心配でつくっていない
②ブラシの断面を立体的にするのが難しい
つくっている主なプロダクト
ワンタフトブラシ
現在でこそ「予防歯科」という名称は一般的になりましたが、ワンタフトブラシの製造をはじめた2006年ごろはまだ、虫歯にならないための効果的な磨き方や、歯科に定期的にかかるといった考えは普及していませんでした。ヨーロッパではすでに予防歯科の考えが定着していたことを受け、いずれ日本でも一般化することを見越して製造を開始。安心してお客さまに使ってもらえるよう国内製造にこだわり続けています。
工場の様子
①ワンタフトブラシは手作業でつくられる
ラピスのワンタフトブラシは、ブラシの植毛が手作業。機械を現在の製造にあった形にカスタマイズし、一本一本丁寧にブラシを植え込んでいきます。ブラシの繊維の真ん中に真鍮のパーツを配置し、植え込むように植毛をおこない、その後円錐形にカットされます。
②植毛・裁断・研磨まで一貫した機械で製造
一般的な歯ブラシの製造は、機械制御でおこなっています。コンピューター制御でブラシの植毛、裁断、裁断面を丸く磨く研磨作業までひとつの製造ラインの上でおこなうのです。しかし、すべてが機械任せで済むわけではありません。植毛・裁断・研磨の各セクションが一定のスピードで製品を送らなければ、途中で渋滞になってしまって効率が下がる場合も。植毛するブラシの穴に応じて、速すぎず遅すぎずのスピードの調整が必要になります。
つくりての想い
ラピスは歯ブラシに特化した製造というだけあり、今回YAOYA PROJECTに参加した他の事業所と比べそこまで製造の自由度が高いわけではありません。短期間でなにか商品を……という場合はとくに、歯ブラシの形状からはあまり離れられないという課題もあるでしょうね。
しかし、オーラルケアのリテラシーがまだ発展途上だった頃から専門商品の製造にこぎ出した企画力がラピスにはあります。じっくり時間をかけて、ともに調査をしたりプロトタイピングを重ねたりしながら、従来の歯ブラシのイメージを覆すようなプロダクトづくりができたらと期待をしています。
ちなみに、一般的なブラシの直径は0.15mm〜0.20mm程度。ペット用の歯ブラシでは0.127mmの細さのものを採用しています。専門業者以外は触る機会もない素材で、触感も独特です。歯ブラシ以外にも、新しい可能性を見出せるかもしれません。オーラルケアに関係のないプロダクト提案も大歓迎!我々が思いつかない新しいアイデアがたくさんやってくることを願っています。
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