No.5 - 錦城護謨株式会社
どんな会社ですか?
魔法瓶や炊飯ジャーの蓋の内側のパッキン、内臓を保護するために内視鏡に取り付けられた先端、オリンピックの水泳のメダリストを影から支えるゴーグルのベルトやキャップ……。錦城護謨株式会社は、そんな世の中のあらゆるプロダクトを影から支える素材「ゴム」の製造会社です。完全なBtoB、しかもつくるのは製品の一部分。多くの方にはほとんど知られていないけれど、誰もがどこかで錦城護謨株式会社の製品に触れたことがあるはずなのです。
ここがスゴイ
①家電関係のゴム部品製造は業界シェア60%
ゴムの卸業者として1936年に創業し、以来製造業へと発展した錦城護謨株式会社。家電関係のゴム部品製造に関しては業界トップで、シェア率はなんと60%にもなります。年間に製造している製品は約3000〜5000品目もあり、あの会社の製品もこの会社の製品も、多くに錦城護謨株式会社のゴムが使われているのです。
②技術力と問題解決能力が高い
技術力の高さと、課題解決能力の高さは錦城護謨株式会社の強み。他のゴム製造業者で断られるようなものも、製造可能であるということが少なくありません。「できないことはありますか?」と聞いてところ、だいたいなんでもできるとの答えが返ってくるほど。製造機械の充実はもちろんですが、年間数千種もの部品をつくり続けてきた経験と、新しい素材に関しては発注が来る前に自社でプロトタイピングをおこなうほど、技術者たちの好奇心の高さが自慢です。
持っている技術
①あらゆる硬度や色のゴムを製造できます
②0.2mmと、非常に薄いゴムもつくることができます
③企業の「裏方」としてゴム製造を通じた課題解決能力が高く、大体のものを形にできます
苦手なこと
①1m×1mを超える多くて分厚いゴムの加工は苦手
②完全なBtoB企業のため、BtoC向けの販路に弱い
つくっている主なプロダクト
超透明レンズ
前職が眼鏡メーカーの社員が「ゴムでここまでの透明度が!?」と驚いたレンズ状のゴム。ゴムでこれだけの透明度が出せる企業はそうおらず、また樹脂のような硬さもあるのが製品の特徴です。落としても割れないため、車のヘッドライトなどガラスの代わりとしての活用に期待が集まっているとのこと。新しいアイデアを掛け合わせ、いままで考えたこともないようなユニークな製品がここから生まれるかもしれません。
工場の様子
①ゴムの原料と色素などを混ぜ合わせて素材をつくる
ゴムの原料と色素などを混ぜ合わせて、素材そのものをつくります。たとえばシリコンゴムは鉱物であるケイ素からできています。輪ゴムなどは天然ゴム……いわゆるラテックスですが、製品の多くは合成ゴムを製造するところからスタートするのです。いちから素材をつくるため、ゴムの硬さや色は自在自在。錦城護謨株式会社の経験値に裏付けされた絶妙な配合でできあがっていきます。
②プレス機による熱整形でさまざまな商品に形づくる
商品に合わせて外注をかけた金型に、ゴムを流し込んでプレス。熱による整形でさまざまな形に変化させて商品とします。整形の分厚さを調整することで、ひとつの部品の中で硬度を変えることも可能です。たとえば水泳ゴーグルのベルト部分。サイド部分と、後頭部の部分では分厚さと伸縮性に変化をもたせています。消費者は気づかないほど、細やかな技術を重ねていくのが錦城護謨株式会社の製品づくりです。
つくりての想い
創業から現在に至るまで、錦城護謨株式会社は業界の「裏方役」でした。魔法瓶のためのゴムパッキン、洗濯機のための防水パーツ……。裏方としては、ゆるぎない評価を業界内では得ていると自負しています。しかし、製造にたずさわる人々はずっと「自分たちの名前が出せるなにかをやりたい!」という思いをフツフツと胸に抱え続けてきました。
今後、錦城護謨株式会社の目標のひとつに「見える錦城にすること」があります。新しい技術を活用して、携わる職人たちがどんな人たちなのか、我々がどんな会社なのか消費者の方々に知ってもらう。そしてお客さんがもっと安全に、安心に暮らせるように貢献したいんです。ゴムは口に入れても大丈夫だし、割れたり壊れないので怪我もしにくい。世界で一番やさしい素材なんです。
社員たちはみんな何かをつくるということが大好きで、家電製品の部分製造経験を活かした、ゴムの新しい可能性をいつでも模索しています。今回は家族のいるメンバーが参加していることもあり、主婦や子ども、高齢のかた向けに商品をつくってみたいですね。たとえばリビング商品など、家族の団欒に繋げられるものができたら嬉しい。錦城護謨株式会社の特徴を活用しながら、いままでになかった革新的なアイデアをお待ちしています。
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