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電子書籍デビューしませんか?

今日は電子書籍の話をしたいと思います。

僕はまだ日本でAmazonのKDP(Kindleパブリッシング)が始まる前から電子書籍を作ってきました。
最初に作ったのはVoyagerの国産サービスT-Timeのファイル(ttz)です。
正確にいうと、オーサリングの仕様が公開されていなかったので、この時だけ変換を業者に頼みました。だから「作ってもらった」なのですが……まぁそれはそれとして。
(ttzというのは20年前に一世を風靡したスマホ登場以前の電書フォーマットです)

一時は某企業の下請けでKindleファイルのオーサリングを請け負っていたこともあります。
そのとき作っていたファイルのほとんどが、いわゆる情報商材。
営業利益を伸ばす方法、資産運用ノウハウ、副業ノウハウ、マーケティングの秘訣……。
ときには小説とか、実用本もありました(僕が手がけた中でもっとも有名なのは『アウトプット大全』の著者・樺沢紫苑さんの睡眠の本)。

僕が見た限りでは、noteに書かれているようなエッセイや個人の体験を電書にしたがる人はあまりいないようです。
しかしテーマはなんでも良いのです。
好きなことを本にして、その勢いでAmazonに著者ページを作ってしまいましょう。

……そうです。
kindleで電書をリリースすると、Amazonのなかにあなたの「著者ページ」がつくれるのです。

ポートフォリオやブログをつくっていないあなたも、Amazonの公式サイト内に自己アピールの場が持てます!

■第1部 実用的なこと

1.電子書籍をつくる上で必要なもの

電子書籍は次のものがあれば出版出来ます。
・原稿
・表紙(jpg)

ほかに必要なものは(物理面では)ありません。

2.電子書籍制作にかかる費用

このページを読んでいる人の多くは、「自分で原稿を書いて、それ以外は人に任せたい」と考えていると思います。
その場合

・表紙制作料
・オーサリング代(電書ファイル制作・変換費)

が必要となります。

表紙は
・著作権フリー画像を利用して自作
・クラウドソーシングで発注

の二つのやり方が考えられます。

表紙を外部に発注した場合、数千円から1、2万円くらいかかると思います。

オーサリングですが、僕が個人的に請け負っています(笑
費用は1万円です。
よそも大体同じくらいだと思います。

オーサリング自体は HTML と CSS さえ分かれば簡単です。
完成したファイルを納めたフォルダを圧縮するときにコツがあり、そこで躓かなければ決して難しいものではありません。

*つくったファイルを KDP にアップするための手続きも外注する場合、その費用も必要です。
サービス開始直後の KDP はアメリカ国税局に英語で免税手続きをする必要があり、どう考えてもハードルが低いとは言えない面がありました。
現在はアメリカ国税局と交渉する必要がなくなったと聞いていますので、自分で手続きすることは難しくないと思われます。

つまり原稿さえ揃っていれば、それ以外を外注に出しても2万円あれば、あなたの電子書籍がアマゾンの公式ページで販売されるということです。

3.電子書籍の印税

Amazon の kindle で電子書籍を出版する場合、印税率は2通りあります。
1)70%
2)35%

以下の二つの条件をクリアすると、70%に設定出来ます。
・250円以上の価格設定
・Amazon で独占販売する

70%と35%はそれぞれ自己申告制です。
70%の条件を満たしていても、遠慮して35%で申告すると、35パーセントしかもらえません。

10年近く前は一個人でも「楽天 kobo」に作品を登録出来ました。
しかし現在は法人でないと難しいようです。

それ以外の電書サイトはマーケットが小さかったり、個人で登録することが出来なかったりするため、事実上、インディーズ作家が登録するのは Amazon一択です。
躊躇なく70%を狙いましょう。

4.印税とは別の報酬

紙の本とは異なり、KDP では印税以外の報酬も設定されています。
「読み放題(Unlimited)」からの分配金です。

登録時に自分で「読み放題(Unlimited)」に設定する必要がありますが、これは任意です。
設定した場合【1ページあたり0.5円換算で読まれた分だけ分配されます】

注意しなければならないのは、読者が自分の本棚に登録しただけでは報酬としてカウントされないということです。
読者がページをめくると、めくった分だけあなたの売上としてカウントされます。
(つまりページさえめくれば良いわけで、読者が本当に読んだかどうかは関係ありません。
たとえば後書きから先に読む方がいると思いますが、後書きまでページをスクロールすれば、その時点でかなりのページが売上としてカウントされるという仕組みです)

5.文字数はどの位必要か?

KDP には文字数の規定がありません。
0文字も可能です。

実際、過去にノートの落書きだけで1冊つくった方がいまして、話題になったことがあります。
全ページ落書きだけ……文字通り0文字です。
猛者ですね。

ちなみにそれはこの本です。▼

設楽陸さんという方の作品でシリーズ化しています。

……えーとまじめに書きますと、2〜3万文字程度必要というのが定説です。
(紙の本の場合、8〜10万文字が最低ラインだとされています)

紙の本の1/5〜1/4で1冊つくれてしまうのです。
このハードルの低さが、書き手からみたときの電書の魅力です。

6.著者名はどうする?

近年は SNS のアカウント名で書籍を出している方がいます。
電書も同様です。
ブログのプロフ名や Twitter 名でも問題ありません。
一昔前に比べて、ずいぶん気楽になったものです。


■第2部 考えるべきこと

1.電子書籍を執筆する前に明確にしておくべきこと

本を書く前に、もっと言えばテーマを決める前にしておくべきことがあります。

それは「出版してどうなりたいのか」をイメージすることです。

・セルフブランディング?
・サービスの宣伝?
・ベストセラーを書いて大儲け?
・どうしても書きたいことがあるので拡散したい?

あなたは、なぜこれから原稿を書くのでしょうか?
根本的な部分を固めておきましょう。

2.読者の立場からも考える

あなたの本を読むことで、読者はどんな得をするのでしょうか?
メリットとベネフィットを明確にしておきましょう。

たとえばダイエットの本であれば

メリット:痩せる

ベネフィット:自分に自信がつく、着たかった服が着られる etc

3.現在の電子書籍マーケット

電子書籍の主要購買層は20〜40代の男性と女性です。
かつては男性中心で漫画ばかり売れていました。
女性は電子書籍を買わないと言われていましたが、現在は女性も当たり前のように購入しています。

4.売れやすい本とは?

一般に売れやすい本は、だいたい以下のようなものです。

・時代のトレンドに沿ったもの
・悩みを解決するハウツーもの 
・読者層が多いジャンルのもの        
・多くの人が関心を持っている事件や出来事(今だったら、コロナ、在宅ワークなど)       

タイトルにキーワードを入れるとアピールしやすくなります。

ただし「売れやすい本」で勝負する場合、表紙やエディトリアルデザインは、かなりハイクオリティにする必要があります。
なぜならプロと真っ向勝負することになるからです。


■第3部 ノウハウ的なこと

1.長い文章が書けるか不安?

Webライターやブロガーであれば、1万文字の原稿を書いた経験者が多いでしょう。
そういう方は心配ありません。
1万字の原稿を2本書けば2万字です。
規定量に達します。

逆に「普段文章を書かないので、長い原稿が書けるか不安」という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう場合、解決方法が二通りあります。

1.書きたいことを箇条書きして、それを構成に組み上げる
   →構成が出来ると、各項目ごとに何文字必要なのかが明確になり書きやすくなります。

2.誰かにインタビューしてもらい、文字起こししたものを原稿にする
   →これはプロのライターさんに外注しても良いですし、友人知人と組んで対話を重ねることでも可能だと思います。

1について補足します。
仮に2万字の本を書くとします。
まず構成を考えましょう。
全体が5章からなると仮定すると、1章=4千字です。
章の中に平均して4つの節があるとすると、1つの節は千文字です。
「これこれの内容に対して千文字」ということが明らかになれば、内容が組み立てやすくなります。

目安として1週間あれば、2万文字書けると思います。

2.タイトルはいつ決める?

「ジャケ買い」ではありませんが、表紙が重要なのは言うまでもありません。

同じくらい重要なのがタイトルです。

タイトルは最初に考えるのではなく、半分以上書けてからで良いと思います。
原稿に手を付ける前に考えたタイトルは、書き終わった頃には変えたくなっていることが少なくありません。
ですから最初は空白か仮タイトルで充分です。
「リリースまでに考えよう」位の気持ちで構いません。

3.ベストセラーにするための隠れたコツ

1.カテゴリーを10個設定する
2.一定の時間内に固め打ちのようにして購入してもらう

1ですが、登録時には1冊につき2つのカテゴリーにしか登録出来ません。
しかし追加登録することで、最大10個まで登録カテゴリーを増やせるのです。

しばしば「Amazon の●●ジャンルで1位獲得!」という惹句を見かけます。
これには裏があって、登録ジャンルを増やすことでランキングを上がりやすくしているのです。
「カテゴリーの新着」「カテゴリーの売れ筋」という形で本の露出が増えるため、なにもしなくても宣伝になります。

2ですが、著者自ら動いて本を買い進めることが前提での戦略です。

真偽の程は知りませんが、一説によると、一定時間(おそらく数時間)内に20冊売れれば、カテゴリー内のランキングで1位を取ることが出来るそうです。

電子書籍は書籍や CD のように一人の人間が同じ商品をまとめ買いすることが出来ません。
1アカウントにつき同一タイトルは1点しか買えないのです。
そこで友人・知人に頼んだり、著者自らお金を出して誰かに代理で購入してもらうという形になります。
(このとき印税=7割に設定しておくと、自腹を切った金額のうち7割が売上という名目で還流してきます)

そのとき数時間以内に一斉にあなたの本が買われれば、カテゴリー内で1位を取ることが可能になります。
ただしこれは瞬間風速のようなもので、すぐに陥落すると思います。
しかし1位になった瞬間のスクショを取っておいて「僕の本、売れてますよ」と宣伝することは可能です。
(つくづくゲスなやり方ですが、マーケ系のクラスターでやっている人はいるようです)

1と2以外のやり方として、

90日ごとに設定出来る無料キャンペーンや99円キャンペーンを上手に利用する

というやり方もあります。
ググれば詳しく出てくると思いますので、興味がある方はググって下さい。

またレビューが多いほどランキングが上がるため、「サクラを雇ってレビューを書いてもらう」という手もあります。
ただこれはバレバレになりますよね。
ときどきヨイショなレビューで埋め尽くされたページを見かけます。
本ではありませんが、中華系コピー商品のレビューが、サクラの書き込みで嘘くさくなっていることがあります。
こういうことは逆効果ですので、ランキングが上がったとしても失うものも多いと思います。

長々と書きましたが、1冊出してみればあとは簡単です。
練習のために、スマホで撮った写真だけで1冊リリースしてみると感じが掴めると思います!
質問など、お気軽にどうぞ。
(見出し画像 by Lucas Benvenuto on Unsplash)

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