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★仏像展★『奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝』in あべのハルカス,山口県立美術館【奈良西ノ京シリーズ】

2017年の奈良・西大寺の特別展!!海龍王寺の住職曰く、かなり展示する宝物を吟味したらしく、国宝や快慶作の噂のある仏像も落選したようで「真言律宗」の「普段見られない仏像」をかき集めたらしい。
25年前くらいにも行われた西大寺展と比べてもかなり充実した宝物とか。ただ、西大寺の仏像が全体的に少ない気がしますが、展示店特有の仏像と距離が近いことと、たぶん行かないであろう寺の仏像も見れたので良かったです。
 そんな中、特に脅かされてのは浄瑠璃寺の宝物!!浄瑠璃寺と言えば日本で唯一残っている圧巻の「九体阿弥陀如来@国宝」と秘仏「吉祥天@重文」と快慶作四天王と同等の慶派作「四天王@重文」、「不動明王@重文」、「薬師如来@重文」、奈良国立博物館に寄贈した「馬頭観音立像@重文」など美仏・名仏だらけだが、まだ隠し持った(普段非公開)のがあったとは!?ふと思ったが、大阪展示会は南山城色強いですね・・。


 2017年の秋に京都・南山城地域の特別公開で、浄瑠璃寺・岩船寺が入っていないのは、西大寺展が山口県であるからかな・・。

▼公式HP&博物館(あべのハルカス美術館、山口県立美術館)

あべのハルカス美術館

山口県立美術館

▼展示会感想(記録)

あべのハルカス美術館は前期と後期に行って、山口県立美術館も追っかけましたね。こけら落としのあべのハルカス前期は見仏コンビのトークショーを聞いて、特別展を観た。

▽みうらじゅん氏&いとうせいこう氏『奈良・西大寺展 トークショー&談話』

 見仏記コンビのみうらじゅん氏といとうせいこう氏の『創建1250年記念 奈良・西大寺展 トークショー&談話』が行われました。まずは海龍王寺の住職の談話が30分。その後に、見仏コンビのトークショー!!トーク上手いな~。最後はパネルトークで〆ました。

最後は会場を一周し、写真撮影可になった!!SNSなどにアップしてほしいとのことから使わせていただきました。

▽あべのハルカス特記事項

→前期

 「創建1250年記念 奈良・西大寺展 トークショー&談話」が行われ、同宗派で協力し僧が作成した記念撮影パネルです。右の獅子は文殊菩薩を表し、持仏なども用意されています。トークショーから流れてきた人で行列に。ただ、トークショーに来ていない人は不思議な光景だなと思っていたかと。と、右を振り向くとトークショーを終えたみうらじゅん氏といとうせいこう氏が登場!!16:00から雑誌の取材で来たらしく吉祥天の前で写真を撮っていました。

 まずは「阿シュク如来坐像」、「宝生如来坐像」、「阿弥陀如来坐像」、「釈迦如来坐像」と西大寺でもなかなか公開されない仏像たちがお出迎えです!!
 そして、叡尊こと「興正菩薩坐像」が多く展示されています。西大寺、白毫寺、福智院と村山富市氏以上の特徴的な「まゆげ仏(造語)」が並ぶ。
 そのあとは、それぞれの宝物があり、真ん中に文殊菩薩3体見比べシーンになり、京都・清凉寺で有名な「清凉寺式釈迦如来@重文」が安置されています。ここまで近くで見られるのは珍しいですね。京都・浄瑠璃寺の秘仏&重要文化財「吉祥天立像」が期間限定で公開。普段は厨子の中であり見上げる形になるが、今回は360度見れるようにしており、衣文の素晴らしさが際立つ。

 その他として、奈良・元興寺の「聖徳太子立像@重文」、奈良・宝山寺の「五大明王像@重文」、奈良・般若寺の「普賢菩薩騎象像@重文」をはじめ、真言律宗一門から選りすぐりの寺宝が展示されていた。残念だったのは、西大寺には「長谷寺式十一面観音@重文」も安置しているが、今回は来ていなかったことと、愛染明王は後期から展示だったことかな・・。

 2700円の図録を買いました。東京・大阪・山口で開催されるが、若干、展示物が違います。全国へ行けないので、これで我慢することに!?って、浄瑠璃寺の薬師如来@重文が山口に行くのか???うらやましい・・・。

→後期

 前期は浄瑠璃寺・吉祥天の360度ぐるり展示&文殊菩薩3体見比べなど見どころたっぷりだった。西大寺の愛染明王@重文は後期のみ展示だったため行きました。残念なのは西大寺・文殊菩薩@重文は大阪では展示されないこと。ということで、この西大寺展は東京・大阪・山口の3カ所で行うため、山口に行くか・・・。
 あべのハルカス後期の注目株は西大寺の「愛染明王@重文」と奈良・不空院「不空羂索観音坐像@重文」です。今回は平日にゆっくり見仏!!称徳天皇により建立された西大寺。入口の釈迦如来・アシュク如来・宝来如来・阿弥陀如来はこれで見納めですかね。

 前期は京都浄瑠璃寺の「吉祥天@重文」のところに、後期は西大寺「愛染明王@重文」になり入口パネルも変更されていた。さて、愛染明王だが寺で見たことはあるが、こんな近くで見られるのはありがたい。海龍王寺の住職の説明の通り小さいながらも細かいところが綺麗である。この仏像は元寇が日本を攻めたときに神風を起こしたという話が残っており、叡尊の持念仏であったとか。さて、前回気付かなかった点を1つ。奈良白毫寺「菩薩坐像」だが寺では伝文殊菩薩となっており、右手を見るとピースしています。

▽山口県立美術館特記事項

 京都から新幹線で新山口へ!!新山口からJRで山口駅へ!!久しぶりに車以外なので観光地マップなどを頂きました!!ひとまず『西大寺展』を行っている山口県立博物館へ!!

 近鉄奈良駅から奈良国立博物館のアプローチと同じく、博物館までの道のりに地下道がある。そこを通ると『西大寺展』のポスターがあちこちに貼られていた。雪舟の特別展も行われているらしい。

 10分ぐらい歩いて到着したが、チケット売り場が2カ所で結構な列をなしていたが、なんか人の気配は少ない。大阪のあべのハルカスの『西大寺展』は土曜は人が多く、平日でも中に入ると人が多かったのだが、それほどではなかった。。11:15ぐらいだったので、入口にあるレストランでパスタ定食を頂いた!!

山口の『西大寺展』に来た理由は、次の通り。

  • 浄瑠璃寺の秘仏「薬師如来坐像@重文」 ですね。毎月18日のみ御開帳で普段は「三重塔@国宝」に安置されており、こんな近くで見られない。今年はトーハク『運慶展』で薬師如来を守護する十二神将が42年ぶりに勢ぞろい!!頭の中で思い出しながら薬師如来坐像を眺めた。

  • 西大寺『文殊菩薩@重文』 ⇒前から安倍文殊の快慶作「渡海文殊菩薩@国宝」の模倣だと思っていたが、確信が得られないため、近くで見られる時期を狙っていたのだが、やっぱ、快慶作の文殊菩薩とは違うなという感想だった。

  • 奈良・般若寺『日本一のプリティー文殊菩薩@重文』 ⇒聖徳太子2才像、16才像と同様に、文殊菩薩2才像という分類を作ったならば、この仏像がNo.1だろう。あべのハルカスは文殊菩薩4体見比べが出来たのだが、プリティさに女性に人気だった。

  • 神奈川・称名寺 ⇒清凉寺式釈迦如来と十大弟子が展示 ⑤中国・九州地方の仏像が展示される。

そして山口でしか見られないものは次の通り。

 東京公立博物館三井記念美術館、大阪・あべのハルカス美術館に続いて、山口県立美術館で開催された。この西大寺展は、開催箇所により展示物が異なるので、山口まで追っかけてきたが、仏像の展示方法は東京国立博物館と同等のうまさがあった。

▼仏像感想

 ここから図録順にあべのハルカスと山口県立美術館での見仏記録です。展示が場所により違うので括弧書きで示します。

→奈良・西大寺:塔本四仏坐像@重文(大阪のみ4体)

 ファーストコンタクトで、展示方法が四方を向いているので、三重塔・多宝塔・五重塔かは分からないが、中央は五智如来だろうと妄想したのを覚えている。つまり、塔本四仏坐像は五智如来から中尊・大日如来を抜いた形かなと思ったのですが違いますね。パッと見は同じに見えるが、目の開きや印相に注目!!

塔本四仏坐像と五智如来
塔本四仏坐像=   阿シュク如来宝生如来+阿弥陀如来+釈迦如来
五智如来=大日如来+阿シュク如来宝生如来+無量寿如来+不空成就如来

→奈良・西大寺:如意輪観音半跏像@重文(大阪)

 西大寺の愛染堂本尊の厨子に安置されていたもので、なかなかの佇まいであるのだが、2臂のため如意輪という感じはしなかった。
 顔は宝冠を被れるように結っており観音であることは一目でわかるのでが、台座・半跏像が特徴的な仏像である。台座に衣文の掛かり具合が、法隆寺の釈迦如来坐像@重文の流れを感じ、以降に鎌倉仏像の流れに繋がって行くものを感じる。

如意輪は6臂が多く、2臂の如意輪は「旧式如意輪観音様式(造語)」と呼んでいるのだが、作成時代ですね。鎌倉以降は6臂が多い認識です。

→西大寺、福智院:興正菩薩坐像@国宝(東京・大阪・山口)

西大寺
 
奈良・西大寺の愛染堂に安置されている。墨書より1280年に善春などにより造像された。胎内には、大量の人々の思いが詰まったものが納められている。
 この仏像は叡尊の弟子たちが80歳の叡尊の姿を写した仏像です!2022年に行われた『最澄と天台宗』では高僧の仏像は頭が尖がっているのが多かったのだが、この展示会は「叡尊=眉毛ボーン!ダンディズム」である!?
 ということで!?こういう歴史・事実を知って見ると、いかに尊敬を集めた人だったんだ、顔がハンサムに見えて来るのが不思議である。

福智院
 「興正菩薩坐像」とは叡尊を示した仏像であり、なんと言っても「まゆげ」が特徴。真言律宗には叡尊仏が多く、携わった時代(年齢)なのか、仏師の力量かはわからないが、並べられたのを見比べると面白い。今回、西大寺展@大阪の前期の1位はこの寺の「興正菩薩坐像」が一番良かった。

→奈良・白毫寺、奈良・福智院:興正菩薩坐像@重文(東京・大阪、大阪)

 前述の国宝と見比べるとキュートさが目立つが、眉毛ボーンですね。奈良・白毫寺、奈良・福智院共に叡尊と係わりが強く、古書からもその旨のことが記されていることからも西大寺の叡尊を参考にしたとも。
 展示会では叡尊像が参考にしたと言われる各寺の肖像画が展示されていました。仏像展の良いところは、あそこの寺の仏像は、あの寺の掛軸を参考に作ったんだとか意外な寺の繋がりが分かることですかね。

→西大寺:愛染明王坐像@重文(東京・大阪・山口)

 神風で元寇から救った仏像!という謂れがある。
 という歴史的のものは他の方に任せて、やはり朱色のキュートな愛染明王といえば西大寺・愛染明王でしょ!奈良、京都には様々な素晴らしい愛染があるのですが、やはり愛染と言えばこの仏像ですね!
 1面3目6臂で、表情は明王なので憤怒だが、なんか可愛い・・叡尊が願主で、仏師・善円となっており、胎内から様々なものも残っており、1247年頃のもの。

→西大寺:清凉寺式釈迦如来立像@重文(大阪・山口)

 全国津々浦々にある「清凉寺式」+「釈迦如来立像」において、これほど京都・清凉寺と良い勝負をする釈迦如来はない!
 それはそうで、叡尊の指示で京都・清凉寺の釈迦如来立像@国宝を摸刻させたことが分かっている。仏像の姿は摸刻しているが、経典に記されている通りに材木などを変えたりしている。どうも清凉寺式釈迦如来立像は、この叡尊繋がりで広がったようだ。

 ということで、京都の嵐山に来たら是非!原本の「清凉寺」の「釈迦如来」を!!

→神奈川・称名寺:清涼寺式釈迦如来立像、十大弟子(東京、山口)

 鎌倉仏像を観に行った時に、金沢文庫の「運慶展」に行き、そのあとに拝観した寺ですね。その時は、コミカルな清涼寺式釈迦如来だなと思ったのは鮮明に覚えている。墨書より1308年に院派仏師により造像されたようだが、1317年には本尊とされたともされる。
 注目は、釈迦如来立像よりも「十大弟子」ですね。こちらも清涼寺を参考にしているのでは?とも思ってしまう。釈迦如来よりも雰囲気のある良い仏像である。

→福岡・大興善寺:清涼寺式釈迦如来立像(山口)

 瞬時に清凉寺式に見えた。少なくとも、参考にしているのは間違いないだろう。ただ、なんでこれが重文なのかはわからなかった。
 この仏像には歴史的背景が大きく関わっているようだ。この寺自体が蒙古襲来で都より祈祷をするよう名を受けた寺の一つのようで、このときに西大寺の宗派が九州に広がり、同時に運慶流の仏師も流れようだ。

 ただ、この仏像を見ると、運慶・快慶の次世代である湛慶・肥後定慶・行快などと比較すると腕は落ちるような気がするのは私だけか?慶派、院派、円派に分かれ運慶は武士、快慶は貴族から発注が多くなったとの認識だが、(言い方は悪いが)二軍は新たな場所を見つけて地方に散らばったのかもしれないとも思った。
 
 

→西大寺:文殊菩薩四侍者像@重文(東京・山口)

 チーム渡海文殊!!この文珠は奈良・安倍文殊院の国宝・チーム渡海文殊の次に素晴らしいチームですね。
 チーム渡海文殊は獅子に乗った「文殊菩薩」に、前方左右に「善財童子」と「優填王」、後方に「仏陀波利」と「最勝老人」を従えたもので、中国五台山の文珠信仰に基づくようだ。
 

→奈良・法華寺:文殊菩薩騎獅像@重文(東京・山口)

 西大寺の尼寺です。あまりにも美仏「十一面観音@国宝」のインパクトが強く、夫婦まったく記憶がないが、すばらしい文殊菩薩である。
 台座は展示されなかったので、普段の空気とは違うだろうが、尼寺らしく他の文殊と比べると顔が柔らかい気がした。妻は今回の展示会で一番良かったとのこと。しかし、獅子の台座から降りた状態の展示って、安倍文殊院の快慶作「文殊菩薩@当時は重文」以来だな。。(2017年の感想です。)

 2022年時点だが、全国で7体しかない国宝の十一面観音を安置する寺としても有名ですね。
 本堂右に安置されている「文殊菩薩騎獅像」は安倍文殊院と興福寺の国宝である文殊菩薩を足して2で割った印象を持つ。近年に胎内から様々な納入物が発見され、個人的には国宝になると思っている。

→京都・大智寺:文殊菩薩騎獅像@重文(大阪)

 京都の木津川市にある小さな寺。たまたま南山城に見仏したときに、この寺を知り見仏させていただいたところ、妻が超気に入った仏像である。台座の獅子は後世かと思うが、文珠自体は、安倍文殊院の快慶作・文殊菩薩@国宝の小さい版だという印象が強い!図録の解説でも、安倍文殊院の作風を参考にしたような感じがすると記されている。
 仏像のポイントは、台座と足であろう。台座の足乗せの蓮にはべったり乗せずにすぐに動こうと足の親指が上に向いているところが精工です。なかなか、拝観できない仏像なので再会がうれしかったです。なお、2017年の秋に京都の特別文化展で公開確定したようです!!

→奈良・般若寺:文殊菩薩騎獅像@重文(大阪・山口):別名「日本一のプリティ文珠」

 日本一のプリティ文殊菩薩!?幼げな顔で、台座の迫力に負けている。顔が「僕負けないよ」と言っている。このプリティ文殊菩薩が大人になった姿が興福寺の東金堂の文殊菩薩と勝手に思っている。(ここまでが2017年の感想。)

 京都から奈良国立博物館へ車で行くときは、必ず通っているのですが、いつでも行けるなと未拝観で、この仏像を見た瞬間、「かわいい・・」「プリティだ・・」という印象だった。
 もう少しいうと、この大阪展示会では前述の文珠をすべて並べてあり、見比べられるようになっていた、ほお~やはり大智寺が良いな~とラストに般若寺の文珠を見たら、他とのギャップもありメロメロに!?

◆西大寺vs法華寺vs般若寺vs大智寺の「文殊菩薩」見比べ対決!!◆
 日本一のプリティ文殊菩薩!?幼げな顔で、台座の迫力に負けている。顔が「僕負けないよ」と言っている。このプリティ文殊菩薩が大人になった姿が興福寺の東金堂の文殊菩薩と勝手に思っている。

私のじゃらん旅行記

 この文珠の特徴を述べるが、端的に言うと童子である!頭の形が「八髻(8つのまげを結っている)」で、童形の像である。顔つきは、眉をあげ、力強いまなざしで、口もとは引き締まっている。僕頑張ります!という表情である。

 本尊を文珠にしている寺だが、残念ながら焼失している。ということで、どこかの有名寺から譲り受けたという話が結構あるのだが、ここは経蔵に安置していた仏像を移安したようだ。
 ということで、幼く出家した修行僧向けに文珠を作ったのかとも思ってしまう。ただ、獅子はコワモテですね。

→奈良・元興寺:聖徳太子16歳像@重文(東京・大阪)

 聖徳太子16歳像で「御孝養像」ともいわれている。この姿は、病床の父・用明天皇の回復を祈願した姿で、2歳像と比べると作例は少ない。仏像の特徴は、鬟(みずら)を結い、衣服の上に袈裟をかけ、柄香炉を持っている。

→広島・浄土寺:聖徳太子3尊(2歳/16歳/摂政大使像)@すべて重文(山口)

 広島の尾道にある浄土寺から「聖徳太子立像@重文」が展示されているのだが、2歳像、16歳像、摂政時代像と3種類並んでいた。摂政時代は、なかなかお目にかからない仏像だが、すばらしい雰囲気の仏像だった。特に衣文が素晴らしく、16歳像と摂政時代は切金が良い感じだった。

2歳と16歳は院派の仏師で、摂政大使像は「康俊」という仏師である。この「康俊」だが、南都興福寺大仏師と東寺大仏師の 「康俊」のいずれかは不明のようだ。二人とも運慶系統の仏師のようで、時代の流れで名前が重複したのかな・・。

→奈良・元興寺:如意輪観音坐像@重文(東京・山口)

 観音様は相手によって姿を変えます。その中でも人気が高く、全体的には作例が少ない如意輪観音坐像である。この如意輪は鎌倉時代作なので1面6臂ですね。この展示会で知ったのですが、聖徳太子の本持仏は如意輪観音だ!というのが流行ったそうですね。この如意輪は妻のお気に入りで、下向き加減が面白いですね。

→奈良・不空院:不空羂索観音坐像@重文(東京・大阪)

 新薬師寺近くにあり、春日大社の社家などが係る寺である。1面3目8臂である。どうも南円堂の不空羂索観音坐像を模したとされる江戸時代の古書があるが、専門家曰く、それは違うのだろうとのこと。

 特に見どころは「坐像」であることかと。興福寺などには「不空羂索観音」が多い印象なのだが、どうも藤原氏の氏神・タケミカヅチが「不空羂索観音」なんだそうな。

→奈良・西大寺:大黒天立像@重文(東京・大阪)

 頭に烏帽子を被り、袋を肩にかける旧式大黒天立像かな。納入物には踏下げの大黒天、弁財天掛仏などがある。

→奈良・西大寺:毘沙門天立像@重文(東京・大阪・山口)

 様々な有名様式の仏像を持っているのが西大寺で「仏像大学」とも思ったりする。この毘沙門天立像は浄瑠璃寺、高野山などに通じる良い毘沙門天だなと思う。

→奈良・白毫寺:閻魔三尊@重文(東京・山口)

 太山王座像@重文、司命半跏像@重文、司録半跏像@重文の三尊で、旧閻魔堂に安置されていたが、今は宝物館に安置されており、迫力のある三尊である。

→奈良・西大寺:地蔵菩薩立像@重文(東京・大阪)

面白かったのは「大黒天立像@重文」ですかね、ふっくらしており神仏習合感を感じる仏像だ。最後に地蔵菩薩立像は白毫寺の地蔵菩薩と似ていると思っていたが同じ宗派だからかな??

→京都・岩船寺:多聞天立像@重文、普賢菩薩騎象像@重文(東京・山口、東京・大阪)

 文殊菩薩は獅子で普賢菩薩は象に乗っているが、この時代の獅子・象は空想や絵でしか知らなかったはずなので、仏師の凄さを感じる。象は正面・斜めから見ても笑っているように見える。これはここだけではなく、清凉寺なども同じで角度を変えて観るのが見仏ポイントである。

→京都・浄瑠璃寺:吉祥天立像@重文(東京・大阪)

 今回の大阪展示主役の「吉祥天立像@重文」登場です。春秋のみ公開の美仏「吉祥天@重文」が展示会の人気スポットだった。いつもは暗がりの本堂@国宝で、九体阿弥陀如来@国宝の真ん中ちょい前で見上げる形で厨子に守られて見仏するが、同じ高さの目線で360度見ることができる。細かいツクリに驚かされ、彩色・衣文も素晴らしい!!

→京都・浄瑠璃寺:薬師如来坐像@重文、地蔵菩薩立像@重文、不動明王二童子像@重文(山口、東京・山口、大阪)

 こんなに近くで見られるのが展示会の良さ!山口に出向いたのは「薬師如来坐像@重文」と「地蔵菩薩立像@重文」を近くで見るためですね!

 浄瑠璃寺の本堂抑えのエース「不動明王二童子立像@重文」も展示されていた。そして、最後に思った。東京で浄瑠璃寺展をすればとてつもない反響を呼ぶだろう!!

→京都・浄瑠璃寺:金剛界式大日如来坐像@重文(大阪・山口)

 なんか良さげな素地の金剛界式大日如来坐像だな!どこの寺だと近寄ると「浄瑠璃寺」とあり、びっくりしましたね。まさか・・まだ良い仏像あるのかいっ!と。。
 この仏像は平安末期の仏像なのだそうで、当時は興福寺管轄だったので、奈良仏師だと推測されているのだそうな。そして、数年後に運慶作・金剛界式大日如来坐像@国宝に繋がっていくともいえようか。

年に1回は行っている寺。木目がわかる金剛界式「大日如来」が展示されていた。小さいながらも力強さを感じた。京都で5本の指に入る仏像寺だと思っているが、まだよい仏像あるんかい!!という感じでした。

2017年感想

→山口・長門国分寺:不動明王立像@重文(山口)

 長門国分寺は蒙古襲来時に幕府の命で異国降伏の祈祷を行うなどの国家鎮護の寺であった。(ただ、時代の流れなのか、今は真言宗となっている。)
 平安時代後期の不動明王で立像は珍しく、観音並みの腰のくねり度合いが超珍しく面白い。 

→大分県日田市・永興寺:四天王立像@重文(山口)

 ズングリムックリ系の四天王立像で、パッと見は平安時代かなと思わせる四天王である。運慶・快慶没後に造像されたようで100cm以内だったのでズングリにしたのかな??と思ったが、西大寺末寺・大安寺の平安時代の四天王立像の模刻のようだ。大安寺といえば、海外の修行僧も受け入れる南都七大寺だった時代もあるのだが、そこの僧が関係しているのか?鎌倉時代にあえて、大安寺の仏像を模した理由が気になる。
 この仏像も歴史的な背景で重要な仏像で、仏師は運慶系で九州に腰を下ろした興福寺大仏師・康俊、息子の康成、俊康となっている。

→佐賀・東妙寺:聖観音立像@重文、釈迦如来立像@重文(山口)

 平安時代作の聖観音立像@重文が素晴らしい!奈良・秋篠寺あたりにいそうな仏像である!滋賀の十一面観音の雰囲気を持つ聖観音で、小さいながらも独特のオーラを放っていた。
 ということで、この仏像は東妙寺周辺にあった妙法寺の仏像で、寺は鎌倉時代創建であることから仏像のほうが古い。ということで、西大寺末寺のどこからか移したとされる。

 一方、釈迦如来坐像は鎌倉時代作で奈良、京都、滋賀あたりにいてもおかしくない良い坐像であり、運慶作との説もある。確かに運慶が造る如来顔であるなと思うが、ちょっと違う気がした。ただ。この仏像が山口の展示会においてラストに展示されているのは納得感がある。

→奈良・宝山寺:五大明王@重文、矜羯羅童子・制多迦童子@重文(大阪・山口、大阪)

 あまり仏像のイメージはなく、信仰と御利益重視の寺というイメージなので、仏像好きには参拝は1回でよいかと思っていたが、今回、矜羯羅童子(こんがら)と制多迦童子(せいたか)を展示。時代は新しいが、慶派を感じさせるよい天で、童子に多い玉眼が赤みがかっているところに幼さを感じる。また、厨子入りの金色不動明王(黄色不動明王)を本尊とする五大明王も出されており、見どころである。

▼東京のみ展示の未見仏

→神奈川・極楽寺:釈迦如来坐像@重文、忍性菩薩坐像、文殊菩薩坐像(東京)

▼その他の仏像

→奈良・元興寺:聖徳太子2歳像@重文(東京)

→奈良・元興寺:弘法大師坐像@重文(東京)

→奈良・元興寺:聖観音立像@重文(山口)

→奈良・般若寺:薬師如来立像@重文(大阪・山口)

→奈良・白毫寺:菩薩坐像(伝・文殊菩薩)@重文(大阪)

→奈良・不退寺:地蔵菩薩立像(東京・大阪)


▼ニュースメモ

▼おまけ:山口県立美術館

雪舟の新発見があったため、特別公開された。有名絵師の雪舟カバーした絵から存在は知られていたが、それが出て来たらしく、特別公開されていた。絵についての知識はないが、京都国立博物館「国宝展」もそうだったが、雪舟は何とも言えない、良さがあります。


▼旅行記

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