旅路

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画像4 「旅路」 景色が流れてゆく 流れに身をゆだね 何もしないことを許す ぎゅうぎゅう詰めの飛行機 気圧もじわじわかかり 性格が悪くなる いつもは引っかかる自動入国審査も 今日はなぜかするりと通過し あまりにもあっけなく 後で問題が起こらないことを ただ願う 通り抜けてゆく 望もうが望まないが 関係なく
画像5 大きなシートに横たわると からだの芯から伸び 飛行機で寝違えた首も 自然と治る 高速バスの窓から 雨上がりの田んぼが見える 頭に布を巻いた女の人は どんなに大声で子どもが泣き叫んでも 穏やかな声で語りつづける アイシュボーボー 切々と子が繰り返すそのフレーズ 意味は分からずとも 祈る心になる 小さなからだから よくぞそれだけの声が出るものだと 感心するほど 叫びは続く
画像6 ただただその叫びを 受けとめつづけ 淡々と声をかけるひと ふたりの子どもを連れ ふたつのスーツケースを引っぱる 難民と移民の境遇が 入り混じった祖父母の時代とも 何も変わってないようで 流れつづけているはずが 実は同じ場所に ピンで留められているようで それでもただ 旅路をゆく

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