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本当にすごいな君は

「誰より好きだけど付き合わない」この気持ちが理解されないことにはもう慣れた。たとえ理解してくれたとしてもそれは頭でのことで、経験として、心から共感してくれる人というのはまだ出会っていない。私の大好きな彼以外では。

ずっと好きだった彼に初めて、私のことをどう思っていたか聞いた9月。それをきっかけに彼に対する気持ちは変わっていって、それをnoteにも綴った。

「好きだから別れるのが嫌で、友達になりたい」この言葉は、男女問わず友達をめちゃくちゃ大事にしている彼だから自然に言える言葉で、彼が多くの人に愛されているのがなぜなのか、その一部を垣間見たような気がしたし、その一部が今となっては自分にも馴染み始めていて、嬉しくなった。

ありがとう失恋|やね氏|note


それからは彼と親友として過ごしていたけど、10月、彼と2人で2泊3日の沖縄旅行に行った。この旅行が私たちの関係を変えた。

沖縄に着いてレンタカーして、最初は彼が運転してくれていて「どこ泊まろうね?」と話しながら私が宿泊先を検索して(弾丸旅行だったので飛行機だけしか予約していなかった)、「ここは?」「これどう?」とチラチラ彼に画面を見せていたんだけど、いいね、と言うだけでなかなか”そこにしよう!”ってならないことがめんどくさくなってきて、「私運転したいから代わって」と言って交代した。そうしたら今度は彼がいろいろ調べてくれて、「ここよくね?」「えっこれもめっちゃいい!」と次々見せてきたので、私は「いいね」と(今思えば自分も同じ反応だな)言いながら車を走らせて、次第に泊まる場所も決まった。そこから行き先の計画は全部彼で、私は運転という感じになって、運転が好きで調べるのは面倒な私にとってめちゃくちゃ過ごしやすかった。

沖縄に着いた初日はいろんなスケボーパークを巡った。「いや沖縄来てもやること一緒やん(笑)」って言いながら滑って、ちょくちょく海に寄ったりキングタコスでタコライス食べたり沖縄っぽさを出しながら過ごして、気づいたら夜だった。ラブラブなカップルがする旅行とも、女友達とする旅行とも違う、なんか家族旅行みたいな不思議な感じだった。たくさん笑ったし、何より、彼がものすごく無邪気であまりにも楽しそうすぎて、いいなこの関係と思った。


でも、

沖縄に着いて最初の夜、彼は私にキスをして、なんかそういう雰囲気になった。出会ってから何十回とお互いの家に泊まったけどキスすらしたことがなかった私たち。他の男とは初めての夜に全部してしまっても何も思わないのに、彼とは、キスひとつで心の中がザワザワした。不思議と嬉しいとかじゃなくて。え?ほんとにするの?なんで? そう思っていたら、彼は途中でやめた。

「したくなった?」と聞いたら彼は「別に…」と言った。私たち友達でしょ?したら後腐れするからしないんじゃないの?そう思ったし、彼のことが急に分からなくなった。「怖い」と素直な気持ちがそのまま自分の口から出た。彼は「そうだよね、怖いよね。」と言って、そこからしばらく黙って、「ただ、俺は今まで一度も嘘をついたことはない。」と言った。今まで、お互いのことをどう思ってるかをちゃんと話したのは1回だけだった。その1回が、9月のnoteに書いたように”好きだから別れるのが嫌で友達でいたい”っていう話だった。それが嘘じゃない、ってことを言いたいんだと分かったけど、だったら尚更なんで?と思った。だから「ちゃんと言ってくれないと分かんない」と伝えた。
そうしたら、「ちゃんと言いたいからちょっと待って」と言ってまた黙った。痺れを切らした私が「なんで言葉を選ぶ必要があるの?」と言ったら「間違えたくないから。」と返ってきた。私はなんだか腹が立って「それは誰のため?自分のためでしょ。いちいち言葉を選ばないでいいから話して」と言った。彼は「確かに…」と観念して、ぽつぽつと話し始めた。「出会った日、やね氏ちゃんが”お互いwin-winな関係が理想”って言ってて、俺も同じ気持ちだった。だし、しょっちゅう会うわけではないけど大事なところで繋がってる特別な存在、みたいな風に思ってた。でも、この前、友達でいたいって伝えてからやね氏ちゃんがすごい切り替わったのが分かって、一緒にいるのが自然だし、すごい距離感がちょうど良くて、俺が求めてたのこれだってなった。それぞれが別の場所でそれぞれ頑張るみたいな風に考えてたのが、そうじゃなくて、近くにいて欲しいって思った。もう好きじゃん、これって。」そう言われて、「そうなの?笑」と笑って答えたけど、内心すごく嬉しかった。彼は「うん。でも、やね氏ちゃんはもう俺のこと友達としてしか見てないなーと思ったし、俺は距離を近くしたくて、さっきみたいなことしちゃった。でも、いざそうなったら、ザワザワした。」と言ってくれて、「私もザワザワした。このままの関係でいられなくなるかもしれないことが怖かった。」と伝えた。同じ気持ちだったことがまた嬉しかったし、彼と私の関係を真剣に考えているのが私だけじゃなかったことに驚きと喜びを感じた。

で、しばらく気持ちを共有して、私は彼に3つ選択肢を提案した。「私が考えられる選択肢は3つあって、①付き合う②今のまま一緒にいる③保留して沖縄から帰ってから考える…なんだけど。その他ある?」そうしたら彼は「付き合ったらどうなるか知ってるし(私が彼の親友と少し前に付き合って別れて全く関わらなくなっていることなど)、このままも嫌だ。ずるい言い方だけど、なるようになったらいいなって思う。」と言った。このとき、私は内心、付き合わないんかい!と思ったけど、彼が私のことを好きになってくれたことへの嬉しさが勝っていたから「なるほどね、いいと思う」と答えた。「無理してない?」と聞かれたけど「無理したらどうなるか分かってるからいちいち無理なんてしないよ」と言って、その日はそのまま寝た。

幸せな気持ちで寝たはずだったけど、次の日起きてから、私はずっとモヤモヤしていた。
私が彼のことを好きだったとき彼は私のことを好きにならなかったのに、友達として見るようになってからの私のことを彼は好きになった。ということは、また私が彼のことを好きになったら、彼は私のことを好きじゃなくなるのでは?と思って、その気持ちがずっと胸の中でぐるぐるしていた。好きになっちゃダメだ、そう思ってしまった。彼の前ではありのままの自分でいられる、そういう関係にやっとなれたはずだったのに、と、残念な気持ちになってしまっていた。

沖縄から帰ってきてからもずっとその気持ちが消えなかった。「せっかく、難しいことは考えなくていい関係だったのに、どうして今さら」という気持ちと、純粋に両思いになれたことの嬉しさが葛藤して、どうしたらいいか分からなくなった。

1ヶ月くらいはずっとそんな気持ちを引きずっていたけど、彼は何かにつけて会う口実を作っては私を誘ってくれたから、結局結構会っていた。やっぱり一緒にいたら楽しいし、これ以上ないんだよなと思いながらも、スッキリしない日々だった。

そんな日々をどうにかしたくて、いろんな人に相談していた。そんな中で、ある先輩に「自分も素直に好きになって、それで相手がどんな反応するか見てから決めたらいいんじゃない?」とアドバイスをもらって、あまりにシンプルで、「そうか」といきなり冷静になった。ついつい私は考えすぎてしまうな、と改めて自分の癖を思い知った。おかげで私は”彼のことを好きでいいんだ”と思ったし、それでうまくいかなくなったらそんとき考えようと楽になった。気づけばもう12月だった。

変わらずいろんな口実を作って私と会ってくれる彼に、モヤモヤしていたときは「どうせ今だけでしょ」と素直じゃないことを思ってどこか線を引いていたけど、先輩のアドバイスのおかげで素直に喜べるようになったし、彼に対してまたありのままでいられるようになった。私が彼のことを好きになったら、彼は私のことを好きじゃなくなるんじゃないか、そんなことを思っていたのがアホらしくなるくらい、私が素直になればなるほど彼も素直に愛情表現をしてくれるようになった。相変わらず、一緒に寝てもキスのひとつすらできないけど。

誰かに「なんで付き合わないの?」聞かれるたび、いつも不安だった。「その彼、あなたのこと本当に好きなの?」と聞かれているみたいな気持ちになったし、自信がなかったからだ。
でも、今は「普通そう思うよね(笑)」としか思わない。彼と私には時間をかけて慎重に真剣に築いてきた、私たち二人だけがわかる愛がある。

ある人に「彼に彼女ができてもいいの?」と言われたけど、「いいよ。確かにめちゃくちゃ寂しいけど、彼にもし好きな人ができたならその人はきっととんでもなく素敵な人だと思うから。」と答えた。言いながら自分でもびっくりしたけど、気付いたらそう思えていた。そうしたら「大人だね」と言われて、確かにそう聞こえるよなあと思った。でも、実際はそうじゃない。”付き合っているから”という大義名分無しでも信頼できるほどの関係に、気付いたらなっていただけで。
私も彼も、もしお互いの他に一緒になりたい人ができたとしたら、この最高な関係を超えたってことになるから、それはそれは素敵な人だろうと思う。少なくとも私は、彼の他にも仲良い男性はいるけど、彼に対して抱く信頼や愛情と比べてしまうと誰も勝てない。”付き合っているから”一緒にいるより、そうじゃなくても選び続けて・選ばれ続けた結果として一緒に居続けたい。
このままそうやってお互いが一番であり続けたなら、いつか結婚して家族になりたい。だから”なるようになったらいいな”って私も思う。


こないだの木曜、仕事でいっぱいいいっぱいになっていた19時、彼から「まだ仕事してる?近くでご飯食べてる」とLINEがきた。「1時間くれ、本気出すから」と返信して、急いで仕事にキリつけて、彼がいるお店に急いだ。なんでか、彼からの連絡はいつもタイミングがバッチリで、しんどいときにはいつも彼が隣にいる。カウンターで肩を並べてご飯を食べながらいっぱい話を聞いてもらって、彼が私に辛辣な意見を言うのを聞きながら思った。プライドが高くて負けず嫌いな私は人に否定されると大人気なくムカついちゃうのに、この人に言われると悪い気がしない、、、なんだか私の父と一緒だ。多分そこには、私のことを分かってくれているという信頼と、私のことを想ってくれている愛があるからなんだと思う。

これを書きながら、本当にすごいなこの人はと改めて思ったし、もう出会って一年かあ、初めて会ったのいつだろうとLINEを遡ってみたら、そのこないだの木曜でちょうど一年だった。本当にすごいな君は。

「私達は戦友であり、心の支えであり、これからは家族になります」菅田将暉・小松菜奈の結婚報告に痺れました。憧れ。


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