悲しんでいる人・困っている人を助けるために。②ーー具体的アプローチ

 悲しんでいる人・困っている人を助けるーー

 前回はその理念のもと、汎用的で抽象的な問題解決方法を提示した。

今回は、それを「悲しんでいる人・困っている人を助ける」ために具体的にどのようなアプローチを踏んでいくのかを詳細に書きたい。

はじめに

 「悲しんでいる人・困っている人を助ける」とはつまり、一般的またはその人の価値観に合わせて、負の状態の可能性・期待値を下げることだと思っている。ネガティブではないゼロの状態まで持っていくことができたら、問題を解決できたと定義する。このもとで、企業として、また個人として「負の状態」とは何なのか、その解決方法はどのようなものがあるのかを記述していく。結果として大事なのは問題策定である。

総論

 「悲しんでいる人・困っている人」とはそもそも何であろうか?それは実際にヒアリングしてみないと分からず、1 to 1 の場合コミュニケーションを強いられる。では、1 to Mass の場合はどうするのだろうか。前述のnoteでも述べたとおり広範囲のヒアリングや、種々の統計を用いる。
 世の中では、様々な負の状態を生む出来事が起こっている。事故・事件・法的トラブル・人間関係のトラブル・病気・金銭的問題……序列すると枚挙にいとまがない。まず、これらすべてを解決するのではなく、ある程度のターゲティングを行う必要がある。
 しかし、これらの問題は横に繋がりがある場合が多く、広く浅く問題解決を行わないと、根本的な問題解決にならない可能性がある。つねに広い視野で物事を観察し、関連性を意識する必要がある。この関連性はコミュニケーションの中で認知する方法や、統計データを用いてカイ2乗検定(2つの統計の関連性を調べる手法)などを用いて、ターゲティングした問題がどの立ち位置、集合に属するのかを詳細に調べる必要がある。
 問題策定を正確に行った後に、負の状態を打ち消す、負の状態が生まれる可能性を打ち消す解決策を立てる。このプロセスは前述の記事で述べたとおり、途中で大きな軌道修正を行うこともあるだろう。つねに、「何が問題か」を意識し、解決プロセスを考えなくてはならない。
 解決プロセスを立てて実行した後には、その後の状態について十分に分析を行い、不十分であれば、問題策定に戻って、再び問題解決プロセスを実行する必要があるだろう。

主体が行政・企業の場合

  今、問題解決を行おうとしている集団が、行政・企業である場合、当然のことながらコスト/プロフィットを考えなくてはならない。つまり常にwin - win である状態が望まれる。そうしなければ、問題解決プロセスが途中でリソースやその他の問題で破綻してしまい、結果的に人を救えなくなるからである。
 ここに行政を加えたのは、抽象的に見ると企業と同じ体系を持っているからである。
 B to B, B to C, G to B, G to C 様々な形があるがおおよそ1 to Mass の問題解決を強いられることになる。1 to 1 の場合は後述する「個人の場合」を参考にされたい。この場合、総論で述べたように、綿密な統計的調査が必要になる。必要ならば、自ら統計を取ることも強いられるだろう。
 ここでの問題解決の策定は事業計画/戦略とほぼ同じである。NPO法人でない限り、まず調査、ターゲティングを行い、損益が取れるか、持続可能かを調査する必要がある。そのプロセスを経て、ある特定の決められた分野で人を救うという目標を立て杭を打つ。
 問題策定が終わった後は問題解決プロセスに則ってリソースを集め、試行錯誤しながら、サービスや社会の仕組みを組み立てていく。
 振り返りとして、「事業としてどうなのか」「問題解決としてどうなのか」の視点から複雑的に考え、サービスや仕組みの変更および撤廃を考える。

主体が個人の場合

 個人の場合の最大の利点は lose - win の関係でも、なんとかなる場合が多いことである。つまり、より挑戦的に、より効果を最大にできる可能性が秘められている。ただし、1の不幸と100の幸福という論調をとって突き進むときは、1の不幸が波及し、多数の不幸が生まれてしまう部分である。この点には最大限に注意を払い、危機管理を行わなければならない。
 個人で問題解決を行う際のメリットは綿密なコミュニケーションが取りやすく、なおかつ自然と情報が一元化されるところにある。より、相手に寄り添った問題解決を提示できる可能性が高められる。
 また、個人主体で始めた場合、企業や行政よりもフレックスに、かつ迅速に足りない部分を補う団体を形成しやすい。
 利点を多く書いたが、個人での問題解決では1 to Mass な問題解決は行いにくい。純粋に事業計画の3Mにあたるリソースが足りないからである。
 ローコストローリソースで最大の効果を生む、属人的な能力が要求される。
 話は戻るが lose - win の関係性を作り出すことができるということは、相手方に情報シェア、教育を最大限に施し、事業持続性を廃棄して、その人自身が本当により良くなる道を提供できる可能性が生まれる。この点は、プロフィットを産まなければならない企業・行政との大きな差になるだろう。

行政・企業と個人を比較して

 行政・企業と個人で問題解決を行う場合を比較して書いたが、どちらとも根本として、「悲しんでいる人・困っている人を助ける」とはどういうことなのか?を詰めて考える部分は共通している。ここに最大限に力を注ぐべきである。
 比較として大きな点では行政・企業、個人の順に

・win - win でなければらない。lose - win でもよい。
・1 to Mass が行いやすい。1 to 1 が行いやすい。

であると思われる。しかし、どちらもその型に当てはまる必要はなく、フレックスに物事を考えていかなければならない。とくに lose - win の関係を築くときは lose が周りに波及する可能性を考えなければならない。
 双方のメリット・デメリットを活かして、問題策定より力をいれなければならない。

私が行ってきたことーー具体例として

 私は個人として、法律、心理学、教育などの分野を通して問題解決を行ってきた。どれもが相手方とのコミュニケーションを重要とする分野であり、個人で行うと最大限に成果を発揮できる分野であると思ったのでこれらを選択した。
 しかし、1 to 1 では限界がある。これでは多くの人を救うことはできない。そこで現在は法律 × ITということでリーガルテックに力をいれ、そのプロダクトのなかで法教育を育成する仕組みを取り込めるような構想を練っている。個人のいいところ、行政・企業のいいところを相互に活かし、問題解決に取り組んでいる。

おわりに

「悲しんでいる人・困っている人を助けるために。」
 そのためには、問題策定をしっかりして、立場によってプロセスの策定を決めなければならない。そして忘れてはならないのは、負の価値、可能性を「大きくしてしまう」可能性だけは危機管理として正確に把握しておき、その危機の解決に全力を注ぎ込むことである。 
 悲しんでいる人・困っている人を助けるために、我々は常にアンテナを張り、勉強を続けなければならない。


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