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大人を感動させた子供たち

10月に佐賀県で行われた、ボクシングJr.チャンピオンリーグで、当YANAGIHARAジムの小学生のタイセイが、凄い激闘を演じた。
この子は、私の子供の時に似てる気がする。まず、叱られる事を2度繰り返さない集中力と、人のフリ見て我が身を治す所。

次に口が堅い。感情をあまり出さないが、やると決めた事はやる。きついとか暑いとか一切泣き言を言わない。
そんなタイセイが練習を重ね、くだんの先週日曜日に行われた佐賀の会場で対戦した相手は、偶然にも北九州市の子であった。キャリアもボクシングも相手の方が上。

前日行われたこの子の一回戦目の対戦相手は、数十秒で負けた。かなり強くて有名な子らしい。タイセイもすぐやられるだろう、というのが関係者の予想。それが当たり前の普通の人の予想だろう。

だが私は信じていた。「うちの子はただでは終わらない奇跡を起こすと」タイセイはこれで試合は2戦目なのに、威風堂々としていた。やり切った顔に見えたし、今更オタオタしてもしょうがないよ、と言う顔にも見えた。

リングインし、グローブタッチをしてから、1ラウンド1分3ラウンド。
両者お互い一歩も引かない、大激戦だった。

相手はタイセイに取り、初めてのサウスポーで、手数が多くどんな距離でも手が出る。だがタイセイも引かずに3ラウンド打ち合い、芯に食らったのは1発だけで済んだ。勝負は誰が見ても相手の方が上。判定で負けた。

タイセイは、毎日ジムに来れない事が悔やまれたが、ジムに来た時は、プロと同じ練習量をこなした。

そう言えば試合の1週間前。「もし相手がサウスポーだったら、右はこうして外せ」と、教えた事を今、書いてて思い出した。サウスポーと戦う時の、左の外し方を教えた事がある。

その日の事は鮮明に覚えている。タイセイが練習後、ジムから帰る少し前、トコトコと私のところへ歩いて来た。「さっき教えてもらった、サウスポーの相手の左パンチを外した時、腰の位置はここに置いていいんですか?」。

そんな質問をする。これはプロの選手でも意外に気づかないので、質問してこない程、難易度の高い質問だった。
「それはいい質問だ。腰はそのままで、頭の位置はここにおけ」と質問した事を誉めた日を思い返す。

折角誉めたのにタイセイはいつもの癖で、人差し指を口に当て、首を傾げ不思議そうな顔をしただけだった。成る程、こいつはこいつなりにこの日の為に、色々考えてたんだな。そんな事を思い出し、試合が終わった翌週、ジムに練習に来たタイセイと話した。


「タイセイ。俺と同じ歳のおばちゃんね。タイセイの試合映像見て泣いてた。プロスポーツは人を感動させてお金を貰う。けどお前はプロでもアマチュアでもないのに、40歳以上も歳上の人を試合で感動させた。偉いなあ。これはすごい事なんだよ」。

分かりやすく、子供用に言葉を選んで誉めてあげた。
タイセイは、またもや人差し指を口に当て、首を傾げ不思議そうに笑った。

「別に誉められる事じゃないよ。言われた事をやっただけさ」。
そう言いたげな顔だった。こいつは堅実に階段を上がるタイプだと思う。私はこんな子達を預かってるから、最近怒りが少ないのではないだろうか。

そう言えば先程、選挙が終わり責任を取って辞めるとか言ってる報道を、ネットでチラッと見た。くだらん!

あんたら考えてみろよ。あれだけ強い相手に3分間打ち合い、生まれて初めて迎えた最最終ラウンド。両手がだらりと下がったタイセイの気持ちを。

逃げるか辞めたかったに違いないだろうに、果敢にもタイセイは、息を一度吸うとその後、逃げも隠れも辞めもせず、無我夢中に打ち返し続けた。

この子達が将来、あんたらのような、口だけの男の尻拭いをして行くんだぜ。
誰がなんと言おうと、この日のタイセイは私が教えた限界を超越し、何人もの大人を感動させた。

大人が子供の目を見れなくなるような事が、あってならんと思う。そこまで考えさせられる事が、少なくとも、先月佐賀県で起きた。

起こした子は、北九州市の2人の小学生だ。
さあ。こいつらの将来の為にも、筋トレと食事制限は欠かさず、健康に生きていこう。

来年、私はあるプロジェクトを発表するが、それが成功しようが失敗しようが、もう既存事業とボクシング以外の新規事業はしない。
誰か、私の目の黒いうちに、早くベルトを持ってきておくれ。

これからも夢と純粋な気持ちを持ち続け、ボクシングを通じて教育していこう。それも自分自身のの勉強と発展。そして一人でも道を外さないお手本になると信じる。

私は私自身と、私の教え子を信じる。そう思えば心の綺麗な子は必ず育成出来ると思う。

宜しければサポートお願い致します。正しい教育活動に使います。今後とも宜しくお願い致します。