メディアの話。なぜ麻布台ヒルズにはドローン発着場がないのか。
私たちはなぜ「交通の未来」を予測できないのか。
あるいは「交通の未来」を前提として、都市開発ができないのか。
ということにずっと興味がある。
情報系の変化に関する未来については、SFから未来予測までさんざんやられている。
でも、交通や物流の革新によって、どんな「未来の街」が具体的に生まれるか、ってことについては、案外予測ができない。
現在の巨大ビル開発。
あれは「投資」という「お金=情報」を増やす手段としては「優れている」。
けれど、巨大ビルというのは、そもそも中央集権的な交通手段としての、「鉄道」が近代になって整備され、かつ資本主義が発達して巨大企業がうまれたことで、人々を1か所に集約すると生産性があがる、という流れのなかで、ニーズがたかまった「インフラ」である。
エンパイアステートビルから霞が関ビルまで。
投資案件としていまでも効率的、という側面を除くと、鉄道による中央集権型の働き方と通勤の仕方、というのは、すでにかなり前に天井をうっている。ネットの発達にくわえ、おそまきながらコロナで、オフィス仕事こそウェブ空間にうつり、通勤・集約、の意味が減じている。
じゃあ、都市のインフラとしての超高層ビルにどんな価値があるか?
現在進行の超高層ビル群は、次の交通・物流システムとして当然でてくるだろう自動運転とドローンを前提として、インフラがあっていいと思う。
だけど、みたことがない。あったら教えて欲しい。
たとえば、できたばかりの麻布台ヒルズ。
ドローン発着場が見当たらない。
自動運転車専用ロータリーも見当たらない。
せっかくドローンベンチャーは誘致したのに。
ドローンを使ったビデオはつくっているのだけれど。
一度建てたら、50年くらいは使う。それがビルである。
トラフ地震で全部ふっとぶから10年先は考えない? まさかそんなことはないだろう。
50年先どころかこの10年で自動運転やドローン活用は劇的に進む可能性が高い。どちらもAIの発達とリンクしているからである。
ところが、できたてほやほやの超高層ビルは、どこも80年代の百貨店のようである。誰もが知る有名ブランドをずらりと並べて、胸を張っている。
未来どころか、35年前のバブル期の過去にいったような気分になる。東京都の緑化条例に従い、いずれの開発も緑化に熱心だけどデパート屋上の園芸店とそっくりである。あっちは植物が買えた。せっかくだから売って欲しい。
未来の交通や物流を練り込む、というのをまちづくりはなぜか嫌がる。
で、すぐに、駅前をもう一度、という幻想に逃げ込む。
ないよ。と思う。
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