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総合職と一般職に関する今日的な考察

(Twitterはこちら → @yanagi_092)

「総合職」と「一般職」。これほど職務が不明確な区分は無いでしょうし、金融系を中心とした日本企業が採用しているメンバーシップ型雇用における概念となります。

前々回記事のとおり、私が姫路へ赴任してから、一般職の新入社員が「総合職と一般職って場所が違うだけで仕事は同じじゃないの(会社はそのように言っている)」との不満を漏らしていました。しかし、私は「総合職と一般職が違うことくらい、事前に『2ch』とか『みん就』見ればわかるやん・・・」と思っていました。

とはいえ、このような情報ソースの信頼度は低く、各情報の真偽を選別する力が必要と言われていましたので、まさに情報化社会の黎明期だったと言えるかもしれません。

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総合職と一般職の2軸分析

もともと、2000年代の序盤頃までの総合職と一般職の定義は以下のようなものでした。

総合職:難易度が高く責任の重い仕事を担い、ジョブローテーションや全国転勤を通じて将来の幹部候補生を目指す。その分、給与は高い
一般職:定型的、補助的な業務を担い、総合職より給与は低い

これらは、官僚組織における「国家Ⅰ種公務員(国家総合職)」「国家Ⅱ種公務員(国家一般職)」に近い分類と言えるかもしれません。

そして、2000年頃までの総合職と一般職を「給与」「仕事の難しさ・責任の重さ」の2軸で分類すると、下図のように表現することができます。

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ここで、この表に「会社側」「従業員側」の視点を記入すると、以下のようになります。

人件費2

このように、かつての総合職・一般職の給与関係は、概ね均衡が取れた図となります。とはいえ、実際には様々な不均衡もあったと考えられますが、本稿はここから先の現在との比較が重要になりますので、一旦は「均衡していた」と仮定したいと思います。

そして、2000年代以降は、会社は「一般職」の定義を変え、徐々に様々な役割を付与することで、より難しく、より責任のある仕事を任せるようになりました。

近年では「みんな活躍、みんな総合職!」という謎すぎる掛け声のもと、総合職のことを「グローバル(総合職)」、一般職のことを「エリア(総合職)」と呼称しているようです。

(※)ややこしいので、本稿では引き続き「総合職」「一般職」の名称を使います

そして、一部の大手損保は「総合職の給与が高いのは転勤があるから、その分を上乗せしているだけ(転勤プレミアム)」という説明をしているようですが、果たしてそうでしょうか。

謎の掛け声のもと、一般職の仕事の難易度・責任の重さは増えていますが、それに相応するだけ給与が増えていない実態があり、一般職の不満が噴出しています。また、総合職の給与もじわじわと減少しています。

これらの変化を図示すると、以下のような状況が発生していると考えられます。

人件費3

一般職は「仕事の難しさ・責任の重さ」が増える一方で、それに相応する給与はわずかに増えただけとなっています。そして、簡便な事務作業は、派遣スタッフで代替する形態になっています。

上図のシフトを反映させると、下図のとおり、総合職と一般職の一部で給与の不公平感が生じるエリアが出てきました(下図緑矢印エリア)。

人件費4

一般職を右側(人件費抑制エリア)へシフトさせ過ぎた結果、上図緑矢印のエリアを中心に、給与の不公平感が高まっているといえます。

このように考えると、近年の一般職を中心とした不満は「仕事の難しさ・責任の重さ」と「給与」が釣り合っていないことが要因であって、「転勤プレミアムである」との説明で片付く問題ではないようにも思えます。

いずれにせよ、多くの一般職を抱える大手金融各社は、これらの不公平エリアの解消を検討しているようですが、全体としての給与アップが見込めないとなると、歪み解消の方向性(将来予想)としては以下が考えられます。

人件費5

このようにすれば、総合職と一般職の差異が縮まり、「給与」「仕事の難しさ・責任の重さ」とのアンバランスも解消するのではないでしょうか。

ここで少しだけ釈明をしたいのですが、そもそも横軸に感覚的な「仕事の難しさ・責任の重さ」といった指標を入れていますので、正確に表現することが極めて難しいだけでなく、一般職でも大出世をして総合職並みの待遇を受けている人もいます。

一部の例外はご勘弁いただいたうえで、上記表を基に、過去と現在の比較と併せて将来の予想をすると、一定の示唆があるのではないでしょうか。具体的には、一般職と総合職の楕円形の範囲は、過去、現在、将来へ向かうにつれて、徐々に右下側の「人件費を抑えることができて、会社が嬉しいエリア」へシフトしていることが分かります。

このような状況変化を踏まえたうえで、改めてお金の話をすることは悪いことなのか、活躍推進という「やりがい」だけで納得できるのか、という点は再考の余地があるのかもしれません。とはいえ、人によって志向や解釈も異なると思いますので、まずは自分にとっての正解を模索することが重要ではないでしょうか。

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最大の試練 被害者面談

大阪にいた4か月間は何度かお客様(契約者様)と面談をしたのですが、事故の被害者の方(相手方)との面談をしたことはありませんでした。話術を巧みに駆使して、何としても面談を回避していました。だって怖いし・・・

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そんなある日、以下のような事故を受け付けます。

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田んぼの中の交差点はとっても見通しが良いにもかかわらず、割と事故が起きているんですよね。おそらく、これだけ見通しが良いと、みなさん油断しちゃうんでしょうかね。

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そして、お客様のお車が田んぼに突っ込んで、ガラスだらけになったとのことで、状況は以下のとおりです。

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原則的にはガラスの飛散した部分の土の入れ替え等をするのですが、被害者の方に電話をしたところ、猛烈に怒っています。

被害者の方「来年の収穫はどうなるんだ!こんな田んぼで農業できるか!」

ぼく「鑑定人にて現場を確認しましたが、ガラスの飛散部分の復旧が通常の範囲と思われます。」

被害者の方「そんなの納得いくか、一度、ここまで見に来い!」

ぼく「やべ・・・」


(続く)

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