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【ネタバレ!】映画「光」

えー、ネタバレしてますので、この映画をまだ見ていなくて、内容知りたくない方は、読まないでくださいね。お願いします。

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「光」(河瀨直美監督作品)

少し前に映画「あん」を観て、やっぱり永瀬さんカッコイイなぁと思い、同じく河瀨直美監督の映画「光」を観ました。

「あん」も河瀬監督作品で、主演は樹木希林さん、どら焼き屋の店長に永瀬正敏さん、どら焼き屋の常連客の中学生に希林さんのお孫さんである内田伽羅さんというキャスティング。
非常に映像が美しく、生きる意味を問うような、心にしみる映画でした。
いつかこのブログでも紹介してみます。


で、今回は「光」です。
主人公は水崎綾女さん演じる美佐子という女性。
彼女は視覚障害者向けに映画に音声ガイドを付ける仕事をしています。

もう一人の主人公は、永瀬正敏さん演じる中森というカメラマン。
中森は視力を失っていく中で、それでもわずかに届く光を頼りに写真を撮り続けています。

ある映画に音声ガイドを付けている美佐子。
そして、そのガイドのモニターとして参加しているのが中森です。

美佐子は悩んで考えて、また悩んでを繰り返しながらモニターの試写に望みます。
他の参加者は少しオブラートに包むような感じで意見を言うのですが、中森は「ガイドに君の主観が入るのが押し付けがましいんだ」と言い放ちます。
美佐子は「みんなのためを思って」と言い返しますが、中森に「それが押し付けがましいんだ」と言われてしまいます。


…僕もこうやって映画の感想など書いていますが、
「押し付けがましい」と思う人が、たくさんいるんでしょうね。
なので、僕なんかがあれやこれや書かずに、映画を観てもらった方が絶対いいと思ってます。

ただ、ホントに永瀬さんが素晴らしいです。
そして、水崎さんも(人として)美しいです。(もちろん女性としても)

演技を越えた演技というか…、
たぶんご本人たちも永瀬正敏なのか中森雅哉なのか、
水崎綾女なのか尾崎美佐子なのか、
どちらなのか分からなくなるくらいだったんじゃないかと思います。

実際、劇中で出てくる中森の写真は永瀬さんが撮ったものだそうですし、映画の音声ガイドの原稿は水崎さん本人によるものだそうです。

そして、やっぱり河瀨監督といえば、なんと言っても映像が美しいです。
たぶん僕は、また何度もこの映画を観たくなるんだろうな。

!!!!【裏話】!!!!

河瀨組の撮影方法は独特で、「役作り」ではなく、俳優さん達に「役積み」をさせるそうなんです。
撮影が始まる前から、住むところから何から、実際にその人物になりきって生活をさせる。
まさにその人物になるために役を積むという感じなのだそう。
そして「ヨーイ、スタート」や「カット」の掛け声もないまま、ずっとカメラや音声さんが隠れるようにして、その様子を撮るという感じの撮影方法らしいのです。

なので、人によっては無理だと思う人もあれば、余計な不純物(役と自分との乖離など)がない分、浄化されるという役者さんもいます。
いずれにしても、ある意味、過酷な現場だと思います。


で、この話は河瀨監督の「朝が来る」のインスタLIVEで永瀬さんがゲスト出演された時に話されていたんですが、
「光」の撮影中に、永瀬さんは本当に目が見えなくなったらしいです。
電車に乗っているシーンで、中森が完全に視力を失う(それこそ「光」を奪われる)シーンがあるんですが、この時、永瀬さん自身も本当に目が見えなくなったらしいです。
そして、しばらく立ち上がれず、そばに河瀨監督がずっと寄り添ってくれていたのだとか。
それを聞いた時、この映画はホンモノなんだなと思いましました。


!!!!【追記】!!!!

「光」の中の印象的なセリフの1つに、
「映画ってさ、誰かの人生とつながることじゃない? あたしは誰かの人生を演じて、生きて、救われてるの」というのがあるんですが、映画って、監督の目を通して世界を切り取って見せてくれているものだと思います。

それは音楽や文学、他の芸術でも同じだとも思います。
そして、それらによって僕らも知らない世界と繋がり、救われる事が多々あると思うんです。

…まあ、そんな分かりきった事を、僕なんかがあらためて書かなくてもいいんですけどね。


あと、美佐子が映画に付ける音声ガイドの最後の言葉、あれはやっぱり鳥肌モンで、ヤラれてしまいます。


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