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【映画感想】「悪は存在しない」監督濱口竜介×企画・音楽石橋英子2023年

チラシと映画館シネマポスト(山口県下関市)の情報の後に感想を書いています。映画の結末について触れていますので、未見の方はご注意下さい。


【作品基本情報】

チラシをご覧ください

他館ではまだ上映されています

 映画館シネマポストは、JR下関駅西口を出て左手、漁港側へ徒歩15分。
いちばん近い駐車場は下関漁港卸売市場前のコインパーキングです。
(平日24時間400円、土日祝日500円)
徒歩12、3分です。
 ペットボトルや水筒は持ち込み可ですが、館内に自販機はないので必要な方は持参すべし。徒歩5分位のところにコンビニがあります。
 座席は22席。うちゆったり座れるのは12席です。スツール席6席と壁際の座敷席が4席ありますが、大柄な方はきついかもしれません。

前日までネット予約可能で、前売り価格で購入できます。席の指定はできません。
 次回は 5/18~24「水平線」監督小林且弥/2023年/主演ピエール瀧
監督小林且弥氏の来館日もあるそうです。
詳しくは、「漁港口の映画館シネマポスト」で検索してみて下さい。

【感想】ネタバレあり

最終場面。
おそらく、巧 (大美賀均) は「このよそ者を消さなければ、娘が連れていかれてしまう」と瞬時に悟ったのだと思います。
 一途にそう思い込んで、高橋 (小坂竜士) を襲ったのでしょう。
襲われた高橋にとっては、不条理以外の何物でもないわけですが。
しかし娘・花 (西川玲)は鹿に蹴られて命を持っていかれてしまった。

 悪は存在しないが、罰(ばち)は当たる。
罰(ばち)を下した存在は、土地そのものでしょうか。

森林の植生を熟知して、湧き出る清水を誰よりも大事に思っていた巧と、同様に森に親しんでいた花の父子。何と酷な罰を当てるのか。

 冒頭とラストシーンは、雑木林の木々の間から空を仰ぎ見る映像が続きます。
洋画では、神の視点を象徴する映像として、空から街並みを見下ろす俯瞰図や、教会の天井に描かれているフレスコ画やステンドグラスのアップが使用されることが多いですが、
この映画では、木立の合間に見える空の映像が、大地から地上の出来事、人間の営みを見つめている存在を感じさせました。

 作品では、ずさんな計画でグランピング場開発をもちかける業者側の人間、高橋と黛 ( 渋谷采郁 ) の事情や気持ちの変化が丁寧に描かれていて、
“ 二人はただ仕事をまっとうしているだけ。敵か味方かの二項対立ではないのが現実社会だよね、タイトル「悪は存在しない」の意味はそうなんだよね ” と思って観ていましたが。
それこそ、そんな単純な物語ではありませんでした。

 高原の冷たく澄み切った空気が伝わってくるような映像と、父子を取り巻く町人たちの個性がそれぞれ伝わってくるような演出は現実的ですが、そこに人知を超えた何かの存在が登場することで、作品が一気に変調して不協和音を奏で始める。終演後もその残響がしばらく耳に響く。そんな終わり方でした。

写真は、映画館近くの下関漁港卸売市場入り口。

右手に有料駐車場あります

以上

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