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私が好きなシャーロック・ホームズ作品(小説・アニメ・ドラマ・映画)

はじめに

 有名すぎて説明不要の名探偵、シャーロック・ホームズ。私は子どもの頃からシャーロック・ホームズが好きです。でも、シャーロキアン(ホームズの熱狂的なファン)の域には達していないので、カジュアルなファンです。

 そんな私が好きなシャーロック・ホームズ作品、または関連する作品について書き留めておきたいと思います。もしあなたが急に「シャーロック・ホームズを浴びるように摂取したい」と思った時のお役に立てれば嬉しいです。

※以下、全て敬称略。



1.小説

子ども向け小説

 私が初めてシャーロック・ホームズ作品を読んだのは、岩崎書店から発行されていたこちらの表紙の『名探偵シャーロック・ホームズ1 赤毛軍団のひみつ』。図書館で見つけては読みふけっていたので、私の脳内のホームズとワトソンは、長い間この本の表紙のイラストでした。

※岩崎書店公式サイトでは新装版の表紙しか見つからなかったので、別サイトのリンクですみません……。

 『赤毛軍団のひみつ』は、タイトルからもわかるように原典の『赤毛組合(連合・連盟などとも訳される)』が元。ホームズ作品の中では入門編と言ってもいいお話でありつつ、ホームズの観察力が光るかつトリックが面白い作品なので、子どもが読むのにぴったりですね。

👇今時の子ども向けホームズはこんな感じみたいです。シュッとしている……!


原典

 そりゃそうだ。

 岩波書店の『名探偵シャーロック・ホームズ』を経た私は、新潮文庫の『シャーロック・ホームズの冒険』をはじめとする文庫に手を出しました。

こちらは改めて買い直したもので、そういうタイミングだったらしく『シャーロック・ホームズの冒険』だけ特装版カバー。でも、通常版デザインの方がホームズらしくて好きです。

 有名どころの『緋色の研究』、『四つの署名』、『バスカヴィル家の犬』ももちろん大好きなのですが、『シャーロック・ホームズの冒険』は短編集ということもあり、子どもの私でも読みやすかったのを覚えています。大人になった今でも気軽に読めるのでお気に入りの一冊。何度読んでも楽しめる本というのは貴重ですね。

👇初めて読んだ文庫の『シャーロック・ホームズの冒険』はこのデザインでした。懐かしい……。


パスティーシュ小説

パスティーシュ(仏: pastiche)は、作風の模倣のこと。音楽・美術・文学などにおいて、先行する作品の要素を模倣したり、寄せ集め、混成すること。先行作品の登場人物を流用して物語を構成する作品もある。

Wikipediaより抜粋

 シャーロック・ホームズには、多くのパスティーシュ小説があります。私はまだたくさんのパスティーシュを読む前なのですが、こちらのシリーズは大好きです。

 おわかりいただけただろうか?

 そう。こちらのシリーズは、クトゥルー神話とシャーロック・ホームズをマッシュアップしたパスティーシュ。私たちが知るホームズの物語は、本当はホームズ&ワトソン VS クトゥルーだった、という大胆な設定に基づいたストーリーです。

 一見するとトンデモ設定なのですが、これがまた見事に混ざり合っているんだ、ホームズとクトゥル―の世界が! 現代よりも影が濃いヴィクトリア朝であれば、クトゥルーが付け入る隙も多かったのかもしれない……、なんて思いました。

 ちなみに、私は特にクトゥルーに詳しかったわけではありませんが問題なく読めました(TRPGなどで何となく存在は知っていた程度です)。なので、「ホームズは好きだけどクトゥルーは知らないから心配……」という方もご安心を。
 もちろん、クトゥルーに精通している方もご満足頂ける禍々しさを帯びていることも付け加えておきます。三部作の結末、背筋がゾッとする終わり方は大変ようございます。

 こちらの三冊で一応は完結しているので、お読みになる前の方はぜひともお手に取って一気読みを。後悔はさせませんよ、いあ! いあ!

 そういえば、2024年にバリツに関する本が出ました。こちらも、広義のパスティーシュなのかもしれませんね……。

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2.アニメ

 ホームズは有名なコンテンツなので、あらゆるアニメに登場します。しかし意外なことに、シャーロック・ホームズが主役のアニメはそれほど多くありません。
 そんな中、私が一番おすすめしたいアニメのホームズはこちら。『名探偵ホームズ』、通称“犬ホームズ”です。

ベンツ・ヴィクトリアを乗り回すホームズ。モリアーティも出てきます(白いシルクハットをかぶっているのがモリアーティ)

 犬じゃん……と侮ることなかれ。実は結構原典の要素を盛り込んでいて、原典を知っている人ほど楽しめる作りです。ただ、子ども向けの作品なので、残忍な殺人事件が起きない・ホームズが社交的・割とコミカルなモリアーティ教授一味、といった原典との解離はあるのでご了承ください。

 本作、ホームズの見た目がかっこいいのはもちろんのこと、声を担当される広川太一郎の演技が最高に素晴らしいんです。洋画の吹き替えで活躍されていた方ですから、自然かつ飄々とした小気味よい台詞回しがかっこいい。依頼人やワトソンに対しては紳士的なのに、モリアーティ相手には「こんにゃろめ」なんて言うところがいいですね。

 余談ですが、彼はパイロットフィルム版の『ルパン三世』でルパンの声を担当していました。かっこよくも腹の底が見えない大人の男を演じるのが得意な方だったんだなあと思います。


3.ドラマ

私にとっての最高峰はグラナダ版

 私の中で、実写版シャーロック・ホームズの最高峰はグラナダ版『シャーロック・ホームズの冒険』の他にありません。イギリスの名優、ジェレミー・ブレットがホームズ役を務めた極めて原典に忠実なドラマです。

 頭はキレるけれど偏屈な変人、急に目を爛々とさせて飛び出して行ったかと思えば、疲れ切った顔で戻って来る……。理路整然としているけれど、冷酷なわけではない。そんなホームズを完全に再現し、ジェレミー・ブレットの実写版を見たことにより原典の魅力がさらに増す。素晴らしいドラマです。

 ジェレミー・ブレットはインタビューで「ホームズになろうとした」と答えていたそうで、ドイルの原典をそのまま演じる気概でいらしたとか。ありがとう、ジェレミー・ブレット……。私が見たかったものを見せてくれた、最高のホームズ作品です。


 また、2023年にはグラナダ版のドラマを題材にした『シャーロック・ホームズとジェレミー・ブレット』という本が刊行されています。

『シャーロック・ホームズとジェレミー・ブレット』で、「ジェレミー・ブレットのホームズは、原典ファンを増やした」という旨の文章を読んだ時は、首を赤べこのように縦に振ったものです。
 私もしばらくは、ジェレミー・ブレットのことをホームズとして認識していたくらい、彼はごく自然にホームズとして有るように見えるんですよね。
(ジェレミー・ブレットは若かりし頃、『マイ・フェア・レディ』『戦争と平和』であのオードリー・ヘップバーンと共演しています。もしかしたら、あなたも何かしらの映画で彼の雄姿を目にしたことがあるかも。)

『シャーロック・ホームズとジェレミー・ブレット』は、グラナダ版ドラマの各話を振り返りつつ、ジェレミー・ブレット本人の言葉や周囲の人たちの彼への思い、撮影裏話などをまとめた貴重な一冊です。
 既に知られている話題も多いのですが、シャーロック・ホームズとジェレミー・ブレットについての情報が日本語でひとところにまとまっていることが大変意義深く、読み応えがありました。

 また、ジェレミーの人生に敬意を表した立ち位置で彼について語っている(=ゴシップ的な扱いをしていない)のも嬉しかったです。

 グラナダ版、うちにあるDVD Boxよりも豪華そうな見た目のBlu-ray Boxを見つけて心が揺らいでいます👇


多種多様な展開を見せるドラマ

 ホームズのドラマ化は、本当に多種多様なパターンがあります。色々探ってみて、あなたにとっての“最高峰ホームズドラマ”を発掘するのも楽しそうです。

 まずは、時代を現代に移した作品。
 ホームズ現代版の中で最も有名と言っても過言ではないのは、初回放送2010年のBBC版『SHERLOCK シャーロック』
 私は、シーズン1は原典の要素を現代的に解釈して面白いなあと楽しく観ていました。それ以降は少しずつ、自分が見たい内容(=原典の要素を現代的に解釈して、事件解決に焦点を当てたドラマ)とは違う方向に行ってしまったなという印象です。

 性別が変わっている作品も多いです。
 ワトソンが女性になっている『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』(アメリカ合衆国のCBS)、二人とも女性が演じる『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』(Hulu×HBO Asia共同製作)。

 ちなみに、『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』でホームズを演じるジョニー・リー・ミラーは、BBC版ホームズで主演を務めたベネディクト・カンバーバッチとナショナル・シアターの舞台『フランケンシュタイン』にて共演しています。

 また、お国が変わってロシア版の『シャーロック・ホームズとワトソン博士』もあります。
 こちらはテレビ映画版というもので、最初に放送されたのは1980年。以降人気を博し、5本製作されたとか。こちらのホームズは変わり者だけど優しそうでもあり、若めのワトソンの保護者のようでもあり興味深いです。


4.映画

 ホームズ映画と言えば、ロバート・ダウニー・Jr. & ジュード・ロウの『シャーロック・ホームズ』を思い出す方が多いのでは(私もそうです)。

 私がこの映画を初めて観たのは、どこかへ行く飛行機の中。友人に「とにかくジュード・ロウが格好いいから観て!」とすすめられて鑑賞しました。“ムキムキで顔が濃いホームズ&物理で強い線の細いワトソン”という、斬新さと原典らしさを両立させつつも、エンタメとして振り切れている面白味があります。

 更に、ジュード・ロウは先述のグラナダ版『シャーロック・ホームズの冒険』の『ショスコム荘』に出演しています。きっと、キャリアを積み上げた先にワトソン役として再びホームズ作品に関われたことはかなりの喜びだったのでは。
 本作を鑑賞する前は、私の印象ではジュード・ロウの方がホームズっぽいと思っていましたが、この作品のホームズはRDJじゃなきゃいけなかったんだなと納得しました。

 また、かなり渋いホームズ映画と言えば、名優イアン・マッケランが老年のホームズを演じた『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』。真田広之も出演しています。

 この映画はホームズ作品ではありつつ、シニア映画として大変味わい深いです。かつての未解決事件に挑む老年・ホームズ。そりゃイアン・マッケランなら素晴らしいものを見せてくれるだろうという期待通りの作品です。


おわりに

 コナン・ドイルはそんなに乗り気ではなかったと言われるシャーロック・ホームズの物語。だけど、私が好きなものだけを挙げただけでもこんなにたくさんの展開が今でも続いているわけです。これはもう、永遠に愛されてしまうことでしょう。

 もちろん、今回取り上げ切れなかった作品はまだまだあります。ですがキリがないので、とりあえずこの辺りで。あなたにとって一番のシャーロック・ホームズ作品が見つかれば幸いです。



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