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【お聴き逃しはありませんか】おすすめ2022年4月リリースアルバム

 2022年度が始まった4/1から早一か月……。時は既にゴールデンウィーク。今回は、4月にリリースされたアルバムの中から、興味関心目的に応じておすすめのアルバムをご紹介したいと思います。
 多少辛口/甘口な部分もありますが、それは音楽への愛故です。この記事がきっかけで興味が湧いたものがあれば、私の感想なんて放り投げて、音楽に没頭して頂ければこれ幸いです。


1. ベテラン勢の“今”を聴きたい

Swedish House Mafia / Paradise Again

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 おかえりなさい……!
 コーチェラでのパフォーマンスの記憶も新しい三人組。彼らの骨太ハウスミュージックが再び戻って来てくれたことは、2022年の吉報のうちのひとつ。それでいて埃を被った印象もなく、よりヘヴィーでダークな方向性を打ち出し、新しい音が詰まっている。今後の彼らの活躍が本当に楽しみ。これからも、末永く音楽を聴かせて欲しい。


Red Hot Chili Peppers / Unlimited Love

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 ファン待望のJohn Frusciante復帰作!ということ以外パッとしないな……というのが自分の印象。全体的になだらかな曲が多く、最初のうちはいいのだけど、次第に「この曲さっきも流れなかった?」と飽きてしまう。彼らは何がしたくてこのメンバーに戻ったんだろうか。
 それはそれとして、John Fruscianteのギターはレッチリによく似合う。また聴けて本当に嬉しい。帰って来てくれて本当にありがとう……!
 ちなみに、こんな捻くれたクソデカ感情を抱いたのは私だけだろうかと、自分の気持ちを固めた後にPitchforkのレビューを見た。だいたいPitchforkと自分は意見が合わないことが多いので(それが良い)、どんな風に言っているのか確かめたかった。

 私とPitchforkの意見が概ね合っている、珍しいことになっていた。


Jack White / Fear of the Dawn

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 私は結局、今もThe White Stripesの幻影を追い求めてるんだな……。と気付かされたアルバム。バリバリにかっこいいギターサウンドが聴ける一方、「ああ、いつもの彼ね」となる。大御所が故に期待値が高い分、物足りなく感じてしまう。観客というのは贅沢で貪欲だ。


2. とにかくかっこいい音が聴きたい

Organ Tapes / 唱着那无人问津的歌谣(Chang Zhe Na Wu Ren Wen Jin De Ge Yao) 

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 上海とロンドンを行き来して活動しているBritish-Chinese、Organ TapesことTim Zhaの17曲入りのアルバム。タイトルの意味は"Sing the Song That No One Cares About"だとかで、楽曲タイトルや歌唱はほぼ英語。
 アンビエント、ベッドルーム・ポップ、エレクトロニカ、チル、カントリー……その辺りの空気感があって暖かみはあるけれど、全体的にクール。淡々とした彼の歌声(これがとにかくかっこいい。男性だったらこんな声で歌ってみたくなりそう)の雰囲気のせいだろうか。心地よく、かつ自分が男前になった気持ちになれる一枚。


Ben Marc / Glass Effect

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 ロンドンを拠点としたプロデューサー/マルチ・インストゥルメンタリスト、Ben Marcのデビュー作。流石の技巧をさりげなく聞かせて来るこの感じ。
 ジャズ、ヒップホップ、エレクトロニカなどの要素をまとめて、ひんやりエレクトロニカに仕上げた最高にクールなアルバム。それでいて、お高くとまった音ではなく踊れる温度も兼ね備えていて、本当にありがとう。


Weval / Time Goes

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 アムステルダムのエレクトロニカ・デュオがリリースしたEPで、前作から世界観が続いている作品。収録曲は4曲と少ないながらも、低音強めのエレクトロニカはダークな気配とスタイリッシュな雰囲気が共存していて聴きごたえある。
 どんな感じだろうと思った方は、リードシングル”Minute By Minute”をどうぞ。Underworldの"Born Slippy"冒頭にインスピレーションを受けて作った曲で、彼らなりの解釈を感じ取れるため、自分との相性の良さがわかりやすいと思う。この曲でピンと来たら、それはもう運命。


3. 特に今話題のアーティストに触れておきたい

Wet Leg / Wet Leg

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 猫も杓子も彼女たちの話題でいっぱい。あまりのゴリ押し振りは、若干、マーケティング先行の流行感が拭い去れない。(世の中のものはなんでもそういう要素があるけれど。)
 仮にそうだったとしても、ここまで話題になり続けるのは、それに負けない個性があるからだろう。実際、“Wet Dream”の甲高いサビは一度聴いたら耳から離れなくて、中毒性がある。
 無計画に女友達の家に泊まってダラダラ話している、あのどうしようもなくかけがえのない時間みたいなアルバム。そういう時間が、人生には必要だ。
 来日ライブも予定されているとかで、今後ますます人気になりそう。


4. 何はなくとも癒されたい

Sontag Shogun & Lau Nau / Valo Siroutuu

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 ニューヨークとフィンランド、それぞれ違うバックグラウンドを持つアーティストのコラボ作。
 森の中、街の中、色んな“身の回り”から自然と聞こえて来る音を交えて、自然な流れで音楽に導いてくれる。広い大地に伸びる白夜の空のように、淡く美しい音色。浸るほど、身も心も癒される。
 最近、本作とは無関係だが、フィンランドの現代ホラー映画『ハッチング ー孵化ー』を見た。このアルバムにホラー要素はないけど、景色の一つとしてふと思い出す。あんな風に美しく鬱蒼とした森と住宅街が隣接した地域で生まれ育てば、この音色もごく当たり前のものに聞こえるのだろうか。


Seabear / In Another Life

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 アイスランドのインディー・フォーク・ポップバンド、この名義では12年ぶりのリリースだとか。
 ぽかぽか暖かい、晴れた日の芝生のようなアルバム。フォークらしいギターの響きは軽やかで、柔らかなボーカルによく合う。
 このアルバムからは、春が来た音が聴こえる。みんなが好きな春風の音。小高い丘の上、青々とした草原の中で大きく深呼吸する自分を思い描く。


Whatever The Weather / Whatever The Weather

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 イギリスのエレクトロニックプロデューサー兼ミュージシャン、Loraine Jamesの別名義。Ghoslty Internationalからのリリースで、マスタリングはひんやりエレクトロニカの重鎮Telefon Tel Aviv!
 その内容は、期待を裏切らない繊細で美しいアンビエント・エレクトロニカ。
 何かの始まりを予期させる一曲目“25℃"が緩やかに終わると、アルバムは段々とビートを刻み、色んな楽器の音が鳴り響く。その全体の流れに心を奪われ、我を忘れる。奥行きを出すのが得意な音響で聴きたい。


James Heather / Invisible Forces

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 コンテンポラリー・ピアニスト。
 元々、美しくかつ内省的な音楽が印象的だった所へ、本アルバムの”彼のパーソナルな経験の反映”という要素によりさらに特徴が強まったアルバムに仕上がっている。2008年に自分をトラックで轢いた運転手への赦しの曲"Hidden Angel"、脳震盪になった父についての曲"Balance"などは、その傾向が顕著だと思う。


S. Carey / Break Me Open

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 Bon Iverのドラマー/サポートボーカリスト。
 パンデミック後、苦悩や喪失を題材にしたアルバムはこの世に多く放出されているけれど、その中でも特に美しく、悲しみと未来への希望を奏でたアルバム。自分との相性は、1曲目"Dark"を聴けばわかるはず。この曲で心を鷲掴みにされたら、通しでじっくりとアルバムを聴いて頂きたい。

※最後の2枚はこちらの記事でもピックアップしている。


 うっすら気付いていましたけれど、4月だけでもいい音楽ぞろいで書き出したらきりがないですね。ですから、今回はこの辺りで。


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© 2022 Aki Yamukai

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