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よそゆきの声

スマホがカバンにない!!
現代人にとってはサーっと青ざめる事態。
通勤途中の車の中で気がついた。

幸いまだ発進して1分経つかくらいの距離だったので、マンションへ取りに戻ったけど···ない。どこだ。
キッチンで立ち尽くしている時に思いついた。
あ、たぶん夫の弁当バッグの中だ。朝はいつも夫と一緒に出るのだけど、今朝はバタついていたから、スマホをパッと自分の弁当バッグに入れるつもりが夫の方に入れてそう。うん、きっとそうだ。


そう思いながらも、会社では仕事しながら「でももしどこかに落としていたら···」「指紋認証とパスワードのロックもしてるから大丈夫と思うけど···」「パスワードあれじゃ、まずいかな?」とソワソワしていた。

そんな時、会社に電話がかかってきた。事務職なので、反射的にとる。

「〇〇会社でございます」
「すみません、わたくしそちらで働いている△△さんの」

うわ、私の苗字!?私に電話かかってくることなんて全然ないのに!

「夫ですけども」

夫か!
電話だと声が全然違う!!話し方も違う!電話の人って感じ!(?)
ほどよいベテラン感ある!

「あっ、わたし···」
「え?よそゆきの声やね」

そっちこそ。

「スマホさ、俺の弁当のとこに入っとったけ。あと帰り遅くなるけど、そのときに」
「はい···ありがとう」

受話器を置く。なんとなく照れてしまって、周りに悟られないようにこそこそしちゃった。

その日はスマホがなかったけど、そんなに不自由なく過ごせた。
夫が21時頃に帰宅し、スマホとご対面。LINEが少し溜まっていた。

「電話だと、その人ってわからんもんやね」と2人で盛り上がった。

夫はあんな感じで仕事してるんだな。

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